RoHS指令の基礎

EUその他の規制-RoHS指令の基礎

2021年12月 内容改訂

1.ELV指令(2000/53/EC)(廃自動車指令)

ELV(End-of Life Vehicles Directive)指令は、2000年に公布された指令で、自動車に関するリサイクル要求と、特定有害物質の含有制限のWEEE指令とRoHS指令に類似した2つの要求があります。

ELV指令は、RoHS指令(2002/95/EC)と廃電池指令(2006/66/EC)と同時期に検討されたリサイクルと重金属規制を課した規制法です。
ELV指令の解釈がRoHS指令や廃電池指令に大きな影響を与えました。

有害物質規制は、以下の重金属の4物質群です。RoHS指令で規制対象となっているPBB、PBDEは規制されていません。

  • 水銀
  • カドミウム
  • 六価クロム

最大許容濃度はRoHS指令と同じ均質材料の重量比の値で、カドミウムは0.01wt%、そのほかの鉛、水銀、六価クロムは0.1wt%で、電気・電子業界と自動車業界の最大許容濃度は同じです。

第4条(予防)[1(a)で 加盟国の奨励事項として以下を示しています。
自動車メーカーは、材料・設備メーカーと連絡をとり、自動車への有害物質の使用を制限し、自動車の着想から可能な限り削減することで、特に環境への放出を防ぎ、リサイクルを容易にし、有害廃棄物の処理の必要性を回避する;

「有害物質」とは、以下となります。
物質および混合物の分類、表示および包装に関する2008年12月16日の欧州議会および理事会規則(EC) No 1272/2008(CLP規則)の附属書Iに定める以下の有害性クラスまたは区分のいずれかについての基準を満たす物質をいう(1);

(a) 危険有害性パート2.1~2.4、2.6および2.7、2.8タイプAおよびB、2.9、2.10、2.12、2.13カテゴリー1および2、2.14カテゴリー1および2、2.15タイプA~F;
 (パート2:物理的ハザード)
(b) 有害性パート3.1~3.6、性機能および生殖能または発生に対する有害影響3.7、麻酔作用以外の影響3.8、3.9および3.10;
 (パート3:健康ハザード)
(c) 危険有害性パート4.1;
 (パート4:環境ハザード)
(d) 危険有害性パート5.1;
 (パート5.1 オゾン層有害性)

適用除外用途

RoHS指令の場合と同じではありませんが、ELV指令においても適用除外用途が付属書II(Annex II)に規定されています。附属書IIは定期的に見直されており、最新版を確認する必要があります。

(1)合金元素としての鉛

1(a)機械加工目的の鋼
1(b)と亜鉛めっき鋼(鉛≦0.35wt%)

2(c)機械加工目的のアルミニウム(鉛≦0.4wt%)
3銅合金(鉛≦4wt%)

2(c)及び3の有効期限は2021年に見直される

(2)部品中の鉛、鉛化合物

5(b)バッテリー 有効期限は2021年に見直される

8(e)高融点はんだ(鉛 85%以上) 有効期限は2024年に見直される
10(a) ガラスまたはセラミック中、ガラスまたはセラミックマトリックス化合物中、ガラスセラミック材料中、またはガラスセラミックマトリックス化合物中に鉛を含有する電気および電子部品
この免除は、鉛の使用を含めない:
— スパークプラグ及び釉薬中のガラス、10(b)、10(c)及び10(d)に掲げる成分の誘電性セラミック材料
(エンジン内のピエゾ以外のコンポーネント用)
(車両当たり60グラムの平均閾値を超える場合は取り外す。
製造業者が製造ラインで取り付けしていない電子機器は考慮に入れないものとする。)

10(b)集積回路または個別半導体の一部であるキャパシタのPZT系誘電体セラミック材料中の鉛
(2016年1月1日以前に型式承認された車両およびこれらの車両用の予備部品)

10(c)125 V ACまたは250 V DC未満の定格電圧を有するキャパシタの誘電体セラミック材料中の鉛
(2016年1月1日以前に型式承認された車両およびこれらの車両用の予備部品)

10(d)超音波ソナーシステムのセンサーの温度関連偏差を補償するコンデンサーの誘電体セラミック材料中の鉛
(2017年1月1日より前であって、その日以降、これらの車両用の予備部品として認可された車両)

車両当たり60グラムの平均閾値を超える場合は取り外す。
製造業者が製造ラインで取り付けしていない電子機器は考慮に入れないものとする。

(3)六価クロム

14. 冷却液中の重量比で0,75%までの吸収式冷凍機における炭素鋼冷却システムの防食剤としての六価クロム:

(i) 電気ヒーターで完全にまたは部分的に動作するように設計され、一定の運転条件で平均利用電力入力<75Wを有する;
(2020年1月1日以前に認可された車両タイプおよびこれらの車両用の予備部品)

(ii) 電気ヒーターで完全にまたは部分的に動作するように設計され、一定の運転条件で平均利用電力入力≧75Wを有する;
(2026年1月1日以前に認可された車両タイプおよびこれらの車両用の予備部品)

(iii) 非電気ヒーターで完全に作動するように設計されている。

(4)水銀

過去に承認された車両のスペアパーツなどの除外規定がある。

(5)カドミウム

過去に承認された車両のスペアパーツなどの除外規定がある。

2.ErP指令(2009/125/EC)

エネルギー使用製品に対してエコデザイン要求事項を設定する枠組み指令EuP指令

(1)ErP指令の要求概要

この指令は、エネルギー使用製品のエコデザインに関する指令(EuP指令)に替わり発効した指令でエネルギー消費に影響を及ぼす製品にまで拡大し、製品の原料の採取から廃棄に至るまでのライフサイクルについて環境配慮の設計を義務付けた指令です。
この指令の目的は、「域内での自由移動を確実にする目的でエネルギー関連製品に対する共同体エコデザイン要求を設定する枠組みを確立し、上市および/またはサービスのため実施措置によりエネルギー関連製品が実行しなければならない要求事項を規定する」としています。
「エネルギー関連製品(「製品」) とは、使用時のエネルギー消費に影響を及ぼす物品であって、上市および/またはサービスに供されるものをいい、 この指令の対象となるエネルギー関連製品に組み込まれることを目的とする部品であって、エンドユーザー向けに上市および/またはサービスに供され、環境性能を独立して評価することができるものを含む」」と定義されており、幅広い製品が規制されています。

対象製品は、エネルギー自体を消費、発生、移動、測定する製品だけでなく、建物の冷暖房に影響を与える窓枠や、エネルギーの節減に寄与する蛇口なども該当します。
指令の枠組みとして、
1)EU域内の販売量または取引量が年間20万ユニット以上あり、
2)EU域内の環境に重要な影響を与え、
3)過剰なコストをかけず環境への影響が改善できる可能性のある製品が規制対象となります。
特定の製品ごとに環境適合設計、エネルギー使用量、エネルギー効率の制限値などが実施措置(IMs:Implementation Measures)にて別途定められます。

対象製品は、実施措置の要求事項を満たしている必要があります。その適合の宣言として、技術文書を作成し管理するとともに、CEマーキングが義務付けられています。

(2)最近改定された実施措置

欧州委員会(次の8製品種のエコデザイン要件を改正する委員会規則((EU)2021/341)を官報公示しました。

  • (EU)2019/424)サーバーおよびストレージ機器
  • (EU)2019/1781)電気モータおよび可変速度ドライブ
  • (EU)2019/2019)冷蔵機器
  • (EU)2019/2020)光源および個別制御機器
  • (EU)2019/2021)電子ディスプレイ
  • (EU)2019/2022)食器洗浄機
  • (EU)2019/2023)家庭用洗濯機および洗濯乾燥機
  • (EU)2019/2024)顧客向けに商品を販売・展示する冷蔵機器

    例えば、電子ディスプレイのエコデザインの要件では、次のような省エネ基準以外の要求もあります。
  • ハロゲン化難燃剤
    ハロゲン化難燃剤は、電子ディスプレイのエンクロージャおよびスタンド内での使用は許可されない。
  • 修理と再利用のための設計
    電子ディスプレイの製造業者、輸入業者、または正式な代表者は、専門の修理業者が少なくとも次のスペアパーツを上市後少なくとも7年間について利用できるようにする必要がある。
    内部電源、外部機器(ケーブル、アンテナ、USB、DVD、ブルーレイ)を接続するコネクタ、コンデンサ、バッテリー、アキュムレータ 、DVD /ブルーレイモジュール(該当する場合)およびHD / SSDモジュール

製造業者、輸入業者、または正式な代表者は、専門の修理業者およびエンドユーザーが少なくとも次のスペアパーツをモデルの最後のユニットの上市後、最低7年間は外部電源およびリモートコントロールを 利用できるようにするものとする。

これらの要求は、EU グリーンディール政策が背景ですので、電子ディスプレイいがの他の製品にも拡大されるものと思われます

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。
情報提供:一般社団法人 東京環境経営研究所