事業承継・事業再生

事業承継総合支援事業

2023年1月内容確認

中小企業庁「事業承継ガイドライン」(令和4年3月版)によると、「中小企業の経営者年齢の分布(年代別)」の2020年のデータでは、経営者年齢の多い層が「60歳~64歳」「65歳~69歳」「70歳~74歳」に分散しています。これは、日本の中小企業者等の経営者年齢の上昇に伴い、「事業承継」を実施した企業と実施していない企業とで二極化してきていることが考えられます。

また、日本政策金融公庫総合研究所が2020年に公表した調査によると、調査回答企業4,759社のうち経営者の半数以上が「廃業を予定している」と回答しています。これには、日本の少子高齢化に加えて、企業の将来が不透明であること、子どもの職業選択の自由を尊重する考え方の広がりなどの背景があります。よって、後継者の確保が次第に困難になってきています。

「そろそろ現役を引退して誰かに会社を受け継いでほしいが、親族にも社内の従業員にも候補者候補がいない」「どこかにうちの会社を渡したいが、買ってくれる会社はあるだろうか」。このような悩みを抱えている中小企業・小規模事業者の経営者は少なくないのではないでしょうか。

その一方で、近年では、M&A(合併・買収)を行う企業が増えています。これには、国内市場の競争激化の中で生き残るための経営資源(ヒト・カネ・モノ・情報ノウハウ)の獲得、多角化のための手段といった背景があります。

ここでは、事業承継における後継者不在の悩みを抱えている中小企業者等を支援する「事業承継・引継ぎ支援センター」について紹介します。

事業承継・引継ぎ支援センターとは

「事業承継・引継ぎ支援センター」は全国47都道府県に設置されており、中小企業者等の円滑な事業承継やM&Aを促進するため、相談対応をはじめ、事業承継計画の策定支援、専門家派遣、マッチング支援等を行います。

事業承継・引継ぎ支援センターで受けられる具体的な支援

事業承継・引継ぎ支援センターでは、後継者がいない中小企業・小規模事業者が次世代の後継者を見つけ、円滑に事業をバトンタッチできるように、相談窓口を設けています。そこでは、事業承継計画の策定支援、課題解決に向けた専門家派遣(税理士、弁護士、中小企業診断士等の専門家)、後継者不在の企業には、M&Aを行う登録機関(金融機関、M&A専門の仲介会社等)や後継者人材バンクによるマッチング支援、適切な支援機関への取り次ぎ等を行います。また、事業承継における大きな悩みの1つである経営者保証の解除についても、経営相談や専門家派遣等の各種支援を行っています。

事業承継・引継ぎ支援センターによる支援の流れ

後継者がいない中小企業・小規模事業者は、まずは地元の事業承継・引継ぎ支援センターの窓口に相談に行きます。相談は原則無料です。事業者はセンター内に常駐している専門家と面談し、取引内容、財務状況、社内、社外に後継者候補がいないなど、事業引継ぎに関する情報を伝えます。その後、センター内の専門家は、ヒアリングの内容からセンターとして事業引継ぎができるか否かを判断します。

センターとして事業引継ぎに対応できる場合、センターに登録している支援機関やM&A専門の仲介会社等は、事業承継・引継ぎ支援センターのデータベースに登録されている事業者の情報を共有し、事業引継ぎのマッチングを行います。ここでの費用は有料となります。1回でマッチングがうまくいくことは少なく、会社の規模、売却金額、後継者の能力や資質、従業員の継続雇用等の条件が合わずに、何度かマッチングを行うこともあります。マッチングによって両社が互いの条件を確認して納得できれば、事務手続きにより事業引継ぎ成約となります。

【事業承継・ 引継ぎ支援センターによる支援の流れ】

事業引継ぎ支援事業の流れ

事業承継・ 引継ぎ支援センターの各地域の相談窓口

中小企業、小規模事業者には、事業承継の準備を早めにしておくことをおすすめします。

後継者がいない事業者は、全国47都道府県にある事業承継・引継ぎ支援センターに問い合わせ、お気軽に窓口相談をしてみてください。

まとめ

  1. 近年、後継者不在が深刻化している一方で、M&Aを希望する企業が増加している
  2. 事業承継・引継ぎ支援センターは、後継者の発掘や企業の売却・買収を希望する中小企業・小規模事業者の登録情報をデータベース化しており、マッチングをサポートする外部の支援機関やM&A専門の仲介会社、士業等の専門家とのネットワークがある
  3. 後継者がいない中小企業・小規模事業者が外部で後継者を探す場合、全国47都道府県にある事業承継・引継ぎ支援センターを利用するのも1つの手段である