市場調査データ

ペットシッター(2024年版)

2024年 2月 16日

2020年以降、コロナ禍における在宅時間の増加などを背景に、新規にペットを飼う人が一時的に増えたという。一方で、アフターコロナのテレワークの減少などにより、ペットシッターの定期利用者が増えているという民間調査の結果もある。では実際、ペットシッターサービスの利用実態はどう変化しているのか。20代〜60代以上の男女1000人に聞いた。

1. 現在の利用状況

〈図a〉ペットシッターの利用状況(n=1000)
〈図a〉ペットシッターの利用状況(n=1000)

ペットシッターの現在の利用状況について聞いた〈図a〉を見ると、ペットを飼っている人は24.4%いるが、そのうち20.4%がまだ一度もペットシッターを利用したことがなく、残りの4.0%のうち2.3%はかつてのユーザーで現在は利用していないという結果になった。ちなみに、当サイトで2008年に実施したアンケート調査でのペットシッターの利用率は2%。当サイトでのアンケート結果を見る限り、過去15年間でペットシッターの利用動向にはほとんど変化がないということがわかった。

2. 利用しない理由

〈図b〉ペットシッターを利用しない理由(n=1000)
〈図b〉ペットシッターを利用しない理由(n=1000)

ペットシッターを利用しない理由について聞いた設問において、「ペットを飼っていないため」と「ペットシッターユーザーなので、利用しない理由はわからない」を除くと、最も多かったのが「必要性を感じない」の10.4%。その後に「他人を家に入れることに抵抗がある」の6.8%、「ペットシッターの存在を知らなかった」の6.2%、「コストが高い」の2.9%が続いた。

3. ペットシッターの利用にかける費用

〈図c〉ペットシッター一回の利用にかける費用(n=1000)
〈図c〉ペットシッター一回の利用にかける費用(n=1000)

ペットシッター1回の利用にかける費用については、「利用したことがない」の92.5%を除くと、5000円未満が5.6%、5000円以上が1.9%という結果になった。5000円未満のユーザーの方が多いが、総ユーザー数を考慮すると、高額ユーザーの割合も決して少ないというわけではなさそうだ。

4. コロナ禍の影響

〈図d〉コロナ禍がペットシッターの利用に与えた影響(n=1000)
〈図d〉コロナ禍がペットシッターの利用に与えた影響(n=1000)

コロナ禍がペットシッターの利用に与えた影響に関しては、「必要性を感じることも、影響もなかった」が94.9%とほとんどを占めた。それ以外の回答は、「利用頻度が減った」が1.9%、「必要性は感じたが結局、利用頻度は変わらなかった」が1.8%など、回答は分かれたが、設問1におけるユーザーの全体に占める割合(4.0%)を踏まえると、ペットシッターユーザーのほとんどの人に何らかの影響があったことがうかがえる結果になった。

5. 今後の利用意向

〈図e〉今後の利用意向(n=1000)
〈図e〉今後の利用意向(n=1000)

今後の利用意向に関しては、「ぜひ利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」を合わせた利用に積極的な人の合計は4.6%。一方で、「あまり利用したくない」と「全く利用したくない」の合計は67.8%となった。ただ、現状の非ユーザーが96.0%であることを踏まえると、そのうちの3割近くが少なくとも今後の利用に消極的ではないということになる。「どちらともいえない」を選んだ27.6%の記述式回答欄では「今後ペットを飼ったら検討する」という声が多く挙がったほか、「今は必要ないが、自分かペットが年老いた場合などは検討するかもしれない」という声もあった。

6. 性別・年齢別の今後の利用意向

〈図f〉性別・年齢別の今後の利用意向(n=1000)
〈図f〉性別・年齢別の今後の利用意向(n=1000)

性別・年齢別の今後の利用意向を見てみると、「ぜひ利用したい」「どちらかと言えば利用したい」を合わせた割合が最も高かったのは20代女性。これに「どちらとも言えない」を合わせた割合は全年代で唯一5割を超え、その次に20代男性が続いた。ペットシッターに関しては、男女ともに20代の若年層の方が今後利用する可能性を考えているようだ。反対に、「全く利用したくない」と「あまり利用したくない」の合計が全年代で唯一8割を超えたのが60代以上女性で、次に60代以上男性が続いた。男女ともに60代以上の高齢層ほど、ペットシッターの利用に後ろ向きであるといえそうだ。

7. まとめ(ビジネス領域としてのペットシッター)

今回のアンケート結果を見る限り、ペットシッターは一般消費者にとって、まだまだ身近なサービスにはなっていないと考えられる。15年前の調査と比べても、数字上にほとんど変化は見られなかった。ペットを飼っている人の割合は全体の4分の1程度と決して少なくないが、そのうちの多くがまだペットシッターの必要性を認識していない状態にあるといえそうだ。記述式回答欄では、ペットを預ける必要がある場合、ペットホテルや動物病院、身内といった他の選択肢を優先するという声が多く、ペットシッター特有の価値があまり浸透していないと考えられる。

一方で、自分が体調不良で面倒を見られないケース、ペットをホテルなどまで移動させる負担、生活環境が変わるペットのストレス面などを考慮して、今後の利用の可能性を指摘する声も少なくなかった。また、現在ペットを飼っていないが、いずれ飼いたいと思っていると書き込んだ方からも、ペットシッターに対する好意的な反応が多く寄せられた。

記述式回答欄に寄せられた利用に積極的な層からの意見としては「旅行などで家を空ける時に利用したい」「なるべく自分で面倒をみたいが、単身なのでやむをえず不在にする場合などには利用したい」「仕事や学業に集中するため」など。一方の消極的な意見には、「価格が高い」「他人を家にあげるのは抵抗がある」「大切な家族を他人に任せるのは不安」「よくない噂も聞く」「そもそもどんなサービスを提供してくれるのかわからない」などが寄せられた。

全体として、利用の可能性を検討する層は20代に多く、反対に60代以上の高齢層は利用に消極的な割合が多い。この辺りを意識することも、サービスの内容やPR戦略を考える上でのヒントになるかもしれない。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします)

調査概要

調査期間:

2023年10月3日~10月10日

調査対象:

国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。サンプル数(n)1000人

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2024年2月

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