市場調査データ

金券ショップ(2025年版)

2025年 1月 31日

チケットショップとも呼ばれる金券ショップ。取り扱う商品は、商品券やギフトカード、交通系ICカードや回数券、株主優待券、施設の入場券や旅行券、希少な切手やコインなど幅広い。不況に強いと言われていたが、コロナ禍も影響して金券やチケットの急速なデジタル化が進み、状況が変わりつつある。金券ショップについての現在の消費者の利用状況や利用意向を、アンケート調査を元に探っていく。

1. 現在の利用状況

〈図a〉金券ショップの利用状況(n=1,000)
〈図a〉金券ショップの利用状況(n=1,000)

金券ショップの利用状況について聞いたところ、回数にかかわらず利用しているユーザーの数は28.3%、現在は利用していないが以前利用したことがある人は43.2%、一度も利用したことがない人は28.5%という結果になった<図a>。現在のユーザー数(利用率)は全体の3割弱で、2009年に当サイトで行った同種の調査時の39%と比ベると10ポイント以上ダウンしている。まったく同じ条件の調査ではないため単純に比較することはできないが、以前に比べて利用率はやや下がっていると推測される。

現ユーザーの利用頻度を見ると、「年間で数回程度利用している」が最多で16.2%、次いで「半年に数回程度利用している」が8.2%で、月に何度も利用するようなヘビーユーザーは5%に満たない。

2. 性別・年齢別に見た利用状況の内訳

〈図b〉性別・年齢別に見た金券ショップの利用状況の内訳(n=1,000)
〈図b〉性別・年齢別に見た金券ショップの利用状況の内訳(n=1,000)

性別・年齢別の利用状況を見ると、どの年代も女性に比べて男性の利用率が高い<図b>。20代を除く各年代の男性の利用率は3割を超えているのに対し、女性は利用率が高い50代・60代でも3割に届かず、40代以下では2割程度にとどまっている。

男性の年代別の利用状況を見ると、「以前は利用していた」率は年代が高いほど上がる傾向にあるが、現在の利用率は20代がやや落ちるものの、30代以上は同程度となっている。

3. 利用の理由(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図c〉金券ショップを利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=715)
〈図c〉金券ショップを利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=715)

金券ショップを「利用したことがない」と回答した人を除く715人(現ユーザーおよび利用経験者)に利用する理由を聞くと、最多回答は「乗車券、搭乗券などをお得な価格で購入するため」の352人(49.2%)で5割近くを占めている<図c>。次いで「使わない金券類を買い取ってもらうため」が226人(31.6%)で、この2つの理由で利用する人がほとんどであるようだ。

4. 利用にかける費用(現ユーザー)

〈図d〉金券ショップ1回の利用にかける費用(現ユーザーのみ)(n=283)
〈図d〉金券ショップ1回の利用にかける費用(現ユーザーのみ)(n=283)

現ユーザーに金券ショップ1回の利用にかける費用を聞いた設問への回答では、「1,000円〜1,500円未満」の52人(18.4%)と「500円〜1,000円未満」の50人(17.7%)がほぼ同数で並び、比較的低価格がボリュームゾーンとなっている<図d>。

ただ、「3,000円~5,000円未満」38人や「5,000円~10,000円未満」37人もそれぞれ13%以上を占め、「10,000円以上」と答えた人も28人(9.9%)と、高価格帯の利用者も多い。「3.利用の理由」では「乗車券、搭乗券などをお得な価格で購入するため」と回答した人が5割近くを占めたが、利用者が何を購入し、あるいは売却するかにより利用料金にはばらつきが出るようだ。

5. 利用の基準(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図e〉金券ショップの利用基準(現ユーザーおよび利用経験者)(n=715)
〈図e〉金券ショップの利用基準(現ユーザーおよび利用経験者)(n=715)

現ユーザーおよび利用経験者に金券ショップを選ぶ際に重視するポイントを聞くと、最も多かった回答は「低価格、お得感」で282人(39.4%)と4割を占めた<図e>。次いで「家や職場、最寄り駅といった生活圏内からの距離」が130人(18.2%)、「販売・買取の金券の種類」が120人(16.8%)が続き、サービスの内容よりは価格と利便性、取扱商品の内容を見て店を選ぶ人が多い。なお、「店舗への入りやすさ」と回答した人も72人(10.1%)と1割を占めることには留意したい。

6. 今後の利用意向

〈図f〉金券ショップの今後の利用意向(n=1,000)
〈図f〉金券ショップの今後の利用意向(n=1,000)

金券ショップの今後の利用意向を聞いたところ、「ぜひ利用したい」は25.6%、「どちらかと言えば利用したい」は30.8%であり、これらを合計すると全体の5割以上(56.4%)が積極的な利用意向を持っていることがわかった<図f>。現ユーザーの割合(28.3%)に対してほぼ2倍の利用意向となっている。

記述式自由回答欄では「お得だから」「節約になる」と費用面の利点を挙げる回答が圧倒的に多い。また、「不必要な商品券を買い取ってくれるから」「株主優待券を使う機会がないから(売りたい)」など買取を利用するという回答も比較的多い。なかには「買取などで即現金化してくれるスピード感が助かる」という回答も寄せられた。

一方、利用に消極的な人は109人(10.9%)であった。その理由を見ると、「これまで利用したことがなく、今後も利用する機会がないから」「必要性を感じないから」が多いが、なかには「交通機関のチケットの取り扱いがなくなったから」「最近はお得感が薄いから」「キャッシュレス決済のほうが楽になったから」「お得な電子マネーがあるから」など、近年の状況の変化によって利用しなくなったといった回答も寄せられた。

また、「どちらとも言えない」と回答した人は32.7%で最も多いが、その理由としては「利用したことがないためわからない」という回答が多かったほか、消極的な人の回答と同様にキャッシュレス決済について触れる回答も見られた。

7. 性別・年代別の今後の利用意向

〈図g〉性別・年代別の金券ショップの今後の利用意向(n=1,000)
〈図g〉性別・年代別の金券ショップの今後の利用意向(n=1,000)

性別・年齢別の今後の利用意向〈図g〉を見ると、現在の利用率は男性の方が高いのに対し、利用意向は全年代で女性の方が高いという結果となった。女性は30代の52.9%を除いてほぼ6割前後の利用意向を示している。男性は20代・30代の利用意向がやや低いが、40代以上は6割近い利用意向を示している。

8. まとめ(ビジネス領域としての金券ショップ)

今回のアンケートでは、金券ショップの利用率は28.3%で2009年の調査に比べて10ポイント程度低い結果となった。しかし今後の積極的な利用意向がある回答者の割合は男女ともに5割を超え、現在よりユーザーの拡大は期待できる。

一方、金券ショップを取り巻く状況は近年大きな変化を見せており、ビジネスとして展開していくためには対応が求められるところだ。主要商品であった新幹線の回数券は、ネット予約サービスの普及によって順次廃止が進んでいる。また、クレジットカードの普及やQRコードなどのキャッシュレス決済の利用増加により、紙の金券の需要は縮小傾向にある。それは今回のアンケートの自由回答からも見て取れる。

今後の展開として考えられるのはオンラインの活用だ。例えばデジタル金券やQRコード型商品券を取り扱うサービスを導入したり、店舗型ビジネスからWebサイトやアプリを通じたオンライン販売へシフトしたりすることが考えられる。

また、従来の商品群の拡大や新たなサービスを導入することで、他店や競合他社に負けない独自性を確立することも一手である。暗号資産関連ギフトやゲーム内課金用カードなどがその一例だ。現状でも比較的利用者が多い買い取りサービスを充実したり、SNSなどを活用して、金券ショップのサービス自体をよく知らない消費者に向けて「こんなお得なサービスがある」とPRを図ったりすることも考えられる。

繰り返すが、消費者の金券ショップの今後の利用意向は決して低くはない。デジタル技術の活用と新たなニーズをいかに取り込むかが成功の鍵となるだろう。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします)

調査概要

調査期間:

2024年7月5日〜7月22日

調査対象:

国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。
サンプル数(n)1,000人

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2025年1月

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