市場調査データ

100円ショップ(2025年版)

2025年 8月 15日

「100円ショップ」市場の拡大が続いている。民間企業が2024年に発表した調査結果によると、大手4社を中心とした国内市場規模(事業者売上高ベース)は初めて1兆円を突破。店舗数はこの10年間で約3,000店増加し、2024年3月末時点で約8,900店に上るという。今や生活インフラの一部ともいえる存在になった100円ショップ。人々はどのような目的や基準で100円ショップを訪れているのか。20代以上の男女1,000人を対象にアンケート調査を実施した。

1. 現在の利用状況

〈図a〉100円ショップの利用状況(n=1,000)
〈図a〉100円ショップの利用状況(n=1,000)

まず、100円ショップの利用状況をたずねたところ、最多回答が「月に2~3回程度利用している」の372人(37.2%)となり、以降、「月に1回程度利用している」の331人(33.1%)、「半年に数回程度利用している」の118人(11.8%)、「週に1~2回以上利用している」の108人(10.8%)が続いた。現在の100円ショップ利用者数は、「週に1~2回以上」から「年に数回程度」の利用者を合算すると974人(97.4%)となった。

2. 性別・年齢別に見た利用状況の内訳

〈図b〉性別・年齢別に見た100円ショップの利用状況の内訳(n=1,000)
〈図b〉性別・年齢別に見た100円ショップの利用状況の内訳(n=1,000)

100円ショップの利用状況を性別・年齢別に示したのが〈図b〉である。調査結果によると、女性は全体的に利用頻度が高く、特に20代〜40代では「週に1~2回以上」や「月に2~3回程度」といった高頻度の利用が目立つ。

一方、男性は全体的に利用頻度が低く、「年に数回」「半年に数回程度」といった層が中心である。特に注目されるのは、20代・30代の男性に「一度も利用したことがない」と答えた人の割合が高い点である。100円ショップが広く普及している現代においても、若年男性の一部にはまったく接点のない層が存在していることが分かる。

年代別に見ると、男女を問わず、比較的若い年代ほど高頻度で利用する傾向がある。60代以上では「年に数回程度」や「一度も利用したことがない」とする回答が多く、利用は限定的である。40代・50代はその中間に位置し、頻度の高い層と低い層が混在している。全体として、年代が上がるにつれて利用頻度が下がる傾向が見て取れる。

3. 利用の基準(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図c〉100円ショップを選ぶ基準(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)
〈図c〉100円ショップを選ぶ基準(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)

「1.現在の利用状況」の設問で、100円ショップを利用している、または利用したことがあると回答した992人を対象に、100円ショップを選ぶ際に重視するポイントを聞いた。最多得票となったのが「商品の種類の多さ・豊富な品ぞろえ」の330人(33.3%)で、その次に「価格の安さ・お得感」の299人(30.1%)、「自宅・職場・学校からの距離」の282人(28.4%)が続いた。品ぞろえの充実度に加え、経済的メリットや店舗の利用しやすさが重視されていることが示された。

4. 性別・年齢別に見た利用の基準の内訳(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図d〉性別・年齢別に見た100円ショップを選ぶ基準の内訳(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)
〈図d〉性別・年齢別に見た100円ショップを選ぶ基準の内訳(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)

100円ショップを選ぶ際のポイントを、性別・年齢別に示したのが〈図d〉である。女性では、20代・30代を中心に「商品のデザイン性」や「SNSでの口コミ」「通販の可否」など、感覚的・利便的な要素を重視する傾向が強い。年齢が上がるにつれ、実用性や生活への取り入れやすさを重視する傾向が強まり、「価格」「距離」「品ぞろえ」といった基本的な項目の割合が高くなる。

男性では全年代を通じて「価格」や「距離」への関心が高く、判断基準が明確かつ実用的であることがうかがえる。20代には「商品のデザイン性」を求める層がいるものの、60代以上の男性では実利的な要素が突出している。

若年層女性は多様な価値観で店舗を選んでいるのに対し、男性や高年齢層では実用性を重視する傾向が強いことが明らかとなった。

5. 利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図e〉100円ショップ1回の利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)
〈図e〉100円ショップ1回の利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)

100円ショップを訪れた際に、1回で使用する金額を聞いた。最も多かった回答は「300円~500円未満」の407人(41.0%)で、「500円~1,000円未満」の287人(28.9%)、「300円未満」の217人(21.9%)と合わせて、1,000円未満が9割以上を占めた。

6. 性別・年齢別に見た利用にかける費用の内訳(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図f〉性別・年齢別に見た100円ショップ1回の利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)
〈図f〉性別・年齢別に見た100円ショップ1回の利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)

100円ショップ1回の利用にかける金額を性別・年齢別に見たのが〈図f〉である。女性は20代では幅広い価格帯を利用しているが、年齢が上がるにつれて500円未満に集中する傾向がある。一方、男性はどの年代でも「300円~500円未満」の割合が高いものの、30~50代では3,000円以上の利用が見て取れる。

年代別に見ると、若年層ほど購入金額にばらつきが目立ち、高額商品を買う層もいる傾向があるが、30~50代になるにつれて300~1,000円未満の価格帯が中心となっていく。60代以上は1,000円未満の割合が多く、控えめな支出傾向がうかがえる。

7. 利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図g〉100円ショップを利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)
〈図g〉100円ショップを利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)

100円ショップを利用する理由をたずねたところ、最多の回答となったのが「必要な日用品が手軽にそろうから」の511人(51.5%)。次点で「安く買いたいから」の344人(34.7%)が続き、この2つの理由で全体の8割以上を占める結果となった。一方で、「とりあえず見に行くのが楽しいから」の40人(4.0%)、「話題の商品・便利グッズを探すため」66人(6.7%)のように、新商品や便利グッズが豊富に並ぶ100円ショップならではの魅力から利用している人も一定数いる。

8. 性別・年齢別に見た利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図h〉性別・年齢別に見た100円ショップを利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)
〈図h〉性別・年齢別に見た100円ショップを利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=992)

100円ショップを利用する理由については、男女で明確な違いが出た。男性は「安く買いたいから」と答える割合が高く、特に20代男性で54.1%、30代男性で44.4%を占めている。一方、女性は「必要な日用品が手軽にそろうから」と答える割合が高く、日常生活に欠かせない買い物の場として100円ショップを利用していることが分かる。さらに、女性の中では「とりあえず見に行くのが楽しいから」という理由が20代を中心にあり、楽しさや気軽さを求める傾向がある。

世代別に見ると、若い世代ほど「とりあえず見に行くのが楽しいから」と答える割合が高い傾向がある。「必要な日用品が手軽にそろうから」という理由はすべての年代で高く、中年層で特に強い。さらに高齢層では「話題の商品や便利グッズを探すため」や「季節商品やイベントグッズを探すため」といった目的がやや増える傾向が見られる。

9. 今後の利用意向

〈図i〉100円ショップの今後の利用意向(n=1,000)
〈図i〉100円ショップの今後の利用意向(n=1,000)

アンケートの全対象者1,000人に今後の利用意向をたずねたところ、「ぜひ利用したい」が770人(77.0%)で最多回答となった。これと「どちらか言えば利用したい」の192人(19.2%)を合わせると、およそ9.5割(96.2%)を占める。これは100円ショップが性別・年代を問わず広く受け入れられていることを示しており、日常生活に欠かせない存在として高いニーズがあるといっていいだろう。

10. 性別・年齢別の今後の利用意向

〈図j〉性別・年齢別の今後の利用意向(n=1,000)
〈図j〉性別・年齢別の今後の利用意向(n=1,000)

今後の利用意向を性別・年代別のグラフで示した。女性は全体的に利用意向が非常に高い。全年代で「ぜひ利用したい」と回答する割合が80%以上で、特に20代女性は突出している。一方、男性は女性より利用意向がやや低く、特に30代・50代で「ぜひ利用したい」の割合が約65%と女性より控えめである。加えて、「あまり利用したくない」や「全く利用したくない」と答える人も一定数存在し、女性に比べて利用に対して慎重な姿勢が見られる。

年代別には、若い世代ほど利用意向が高い傾向があるが、男性では60代以上でも比較的高い意欲が見られる。

11. まとめ(ビジネス領域としての100円ショップ)

本調査「3.利用の基準」で見たように、100円ショップでは日用品を手軽にそろえられることが利用者にとって大きな魅力となっているため、日常生活に欠かせない商品提供がビジネスの基盤であることが分かる。若い世代や女性を中心に新商品や季節・イベント商品への関心が高いことから、トレンドを反映した品ぞろえや限定商品の展開が差別化の重要な要素だ。また、女性の若年層では商品のデザイン性やSNSでの口コミを重視する傾向が強いため、デジタルマーケティングやSNS活用を強化することが効果的と考えられる。一方、利用者は店舗の立地やアクセスの良さも重視しているため、地域密着型の店舗展開や利便性の向上もビジネス戦略には欠かせない。

「5.利用にかける費用」の調査結果からは、価格の安さが支持されている一方で、1回あたりの利用金額は低めに抑えられていることが分かる。セット販売やまとめ買いの促進などで顧客単価を向上させる取り組みも必要であろう。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします)

調査概要

調査期間:

2025年4月26日~6月10日

調査対象:

国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。
サンプル数(n)1,000人

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2025年8月

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