ビジネスQ&A

司法書士は、どのように中小企業の経営をサポートしてくれるのでしょうか。

不動産登記や街の法律の専門家といったイメージが強い司法書士は、どのように中小企業の経営をサポートしてくれるのでしょうか。

回答

不動産登記や会社設立時の商業登記といった各種登記申請は、司法書士が行うケースがほとんどです。このほか「誰に相談したらいいかわからない」というようなお困りごとを抱えた中小企業に対し、状況に応じて適切な専門家を紹介したり、あるいは自ら法律の専門家として問題解決に努めることで、スムーズな企業経営をサポートします。

企業法務のパートナー。そして専門家との仲介、時には自ら問題解決も

日本の専門家制度は、弁護士、税理士、公認会計士、ファイナンシャルプランナーなど、分野ごとに非常に細かく分かれており、それぞれの分野において高度なサービスが提供できるようになっています。その中で、不動産などの権利や義務を社会に公示するための登記業務を主に任されているのが司法書士です。この登記業務は、弁護士による申請も可能ではありますが、司法書士が行うケースがほとんどです。企業に対しては、会社設立時の登記申請から接点があり、企業法務パートナーとして経営の伴走者にもなります。一方で、上記の通り専門家制度が細かく分かれているために「どの専門家に相談したらいいかわからない」と悩む中小企業と、適切な専門家を結びつけることも司法書士の役割の一つになってきたと言ってもいいでしょう。

司法書士の仕事を企業経営の各シーンに当てはめてみると、会社設立時には、新会社の商号が他社で使われていないかを調べた上で登記関連の業務を担当し、商標出願や許認可取得の要望があれば、弁理士や行政書士といった専門家に依頼する。平常時には法律顧問や相談窓口として適切な企業運営、トラブル回避をサポートし、万が一訴訟になった場合も、140万円以下であれば自ら対処する。さらに、事業承継やM&A、解散時などには、税理士や公認会計士、社会保険労務士、行政書士といった他の適切な専門家とチームを組んで対応する──。このように司法書士は、会社の設立から解散まで、企業経営のあらゆるシーンに貢献することができます。

司法書士の上手な選び方とは

とはいえ、司法書士にも当然強みや個人差があります。相談の内容に応じて、いかに適切な司法書士を選べるかもポイントの一つと言えます。インターネット上で検索すれば、多くの司法書士事務所にたどり着くと思いますが、インターネットで探すのが不安な場合は、各都道府県の司法書士会などに相談してみるといいでしょう。

また、司法書士を選ぶ上では、勉強量に着目することも一つかもしれません。移り変わりが激しいビジネスの舞台で活躍する企業の相談相手としては、新しい知識の吸収が必要になります。司法書士には年間12単位(12時間)の所定研修があり、この研修の受講状況は各地の司法書士会のホームページに掲載されるなど、司法書士は常に知識の吸収が求められる職業の一つです。あとはどれだけ企業の相談に親身に耳を傾けてくれるかという点。企業側の相談内容をきちんと受け止めた上で、良いことも悪いことも含めて適切にアドバイスしてくれるような司法書士を選ぶといいでしょう。

中小企業には、マネージメントに加えてプレーヤーを兼務している経営者も多いですから、「やりたいことは多いのに時間が足りない」という悩みも少なくないと思います。問題解決業務においては、司法書士の活用も有効な選択肢の一つ。解決の方法を検討する時間や労力を軽減できるのと同時に、すぐに相談できる法律の専門家が近くにいることで、経営者のストレス解消面でもプラスに作用します。変化の激しいこれからの時代を中小企業が生き抜いていくためのパートナーの選択肢に、司法書士も加えてみてはいかがでしょうか。

回答者

司法書士/あなたのまちの司法書士事務所グループ代表
佐藤 大輔

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