調査
価格転嫁率「都道府県別ランキング」初公表:中小企業庁・9月フォローアップ調査
2025年 12月 3日
経済産業省中小企業庁は、9月の「価格交渉促進月間」に実施したフォローアップ調査の結果を公表した。コスト全体の価格転嫁率は53.5%となり、3月調査時点よりも1.1ポイント増加した。また、今回初めて都道府県別の価格転嫁率ランキングを作成。上位と下位の都道府県で10%以上の差が生じていることが明らかになった。
価格交渉について、「発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた」とする割合は、前回3月調査に比べ3.1ポイント増の34.6%となった。一方、「価格交渉が行われなかった」割合は、10.6%で前回に比べ0.2ポイント減少した。ほぼ横ばいの状況が続いており、「協議に応じない一方的な価格決定の禁止を盛り込んだ『中小受託取引適正化法』の施行と厳正な執行などを通して、価格交渉・転嫁への更なる機運醸成が重要」と分析した。
コスト全体の価格転嫁については、「一部でも転嫁できた」とする割合は83.2%だった。「転嫁できなかった」「マイナスになった」とする割合は16.8%でほぼ横ばいだった。
今回初めて集計した都道府県別のランキングでは、発注企業の所在地ごとに集計した価格転嫁率は、上位が島根県(58.6%)、大分県(56.5%)、鳥取県(56.5%)の順。下位は、岩手県(45.5%)、群馬県(45.8%)、山梨県(46.0%)となった。一方、受注企業の所在地ごとでみると、上位は島根県(56.5%)、広島県(56.3%)、兵庫県(56.3%)の順。下位は宮城県(40.4%)、山梨県(44.7%)、群馬県(46.0%)となった。
業種別ランキングをみると、発注企業の業種ごとに集計した価格交渉の実施状況では、上位が1位「建設」、2位「化学」、3位「造船」の順で、下位は30位「トラック運送」、29位「廃棄物処理」、28位「建材・住宅設備」となった。また、価格転嫁の実施状況では、1位「化学」、2位「電機・情報通信機器」、3位「機械製造業」「造船」の順。下位は30位「トラック輸送」、29位「放送コンテンツ」、28位「廃棄物処理」となった。
一方、「価格転嫁してもらいやすい業種」がわかる受注企業サイドからの集計では、上位が1位「化学」、2位「機械製造業」、3位「卸売」。下位は30位「製薬」、29位「飲食サービス」、28位「放送コンテンツ」の順となった。
調査は、30万社の中小企業を対象に9月24日から11月7日に実施。回答企業数は6万9988社、回答から抽出される発注側企業数は、のべ8万6538社となっている。
詳しくは、経産省のホームページへ。