調査

宣言解除で2期ぶり上昇:10-12月期の中小企業景況調査

2021年 12月 10日

経済産業省中小企業庁と中小機構が12月10日に発表した2021年10-12月期の「中小企業景況調査」によると、全産業の業況判断DI(「好転」と回答した企業比率から「悪化」と回答した企業比率を引いた値)はマイナス23.3(前期差5.1ポイント増)となり、2期ぶりに上昇した。新型コロナウイルス感染者の減少に伴う緊急事態宣言解除が影響したとみられる。2022年1-3月期の見通しはマイナス11.5と、11.8ポイントの上昇を期待している。

一方で、原材料・商品仕入単価DI(前年同期比)は49.1(前期差13.7ポイント増)と、6期連続して上昇した。上昇幅はバブル経済時の1989年4-6月期に次ぐ過去2番目に高い値となっており、原材料の価格上昇や在庫不足を懸念する声が強まっている。

このうち、非製造業の業況判断DIはマイナス24.6(前期差7.5ポイント増)となり、2期ぶりに上昇。サービス業、小売業、卸売業、建設業のすべての産業で上昇した。サービス業の内訳を見ると、コロナの影響を大きく受けていた飲食業がマイナス22.3(同32.7ポイント増)、宿泊業はマイナス26.1(同26.5ポイント増)と、大幅に持ち直しているのが目立つ。

これに対し、製造業はマイナス19.7(前期差2.2ポイント減)と、2期連続してマイナス幅が拡大した。業種別に見ると、14業種のうち食料品、窯業・土石製品、家具・装備品の3業種で上昇した半面、輸送用機械器具、化学、繊維工業、金属製品など11業種で低下した。

企業からは「原材料の⾼騰に加え、⼊荷の不安定さがあり、材料在庫を増やしているため、採算性が悪化している」(油圧・空圧機器製造業)、「原材料の単価上昇が⽌まらないが、売値を上げるとお客様が離れていく気がする」(菓⼦⼩売業)、「原油価格の変動で仕⼊価格が上昇し、売上は増加するが利益が伴わない」(燃料⼩売業)、「材料や製品が不⾜しており、予定通りに進まない。材料費の上昇で利益を圧迫している」(建築⼯事業)などの声が挙がっている。

中小企業景況調査は全国の中小企業約1万9000社を対象に四半期ごとに実施している。今回は11月15日時点の景況感を全国の商工会、商工会議所の経営指導員らが訪問して聴き取り、1万8238社から有効回答を得た。

詳しくは中小機構のホームページへ。

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