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第1回強靱化シンポジウムを開催:中小機構

2022年 7月 21日

BCP作成の手順を説明する鳥越商店の鳥越代表社員(右)と中小機構災害対策支援課の藤田朋幸職員
BCP作成の手順を説明する鳥越商店の鳥越代表社員(右)と中小機構災害対策支援課の藤田朋幸職員
中小企業を激励するアイリスオーヤマの大山会長
中小企業を激励するアイリスオーヤマの大山会長

中小機構は7月20日、2022年度第1回目の「中小企業強靱化シンポジウム」を熊本県人吉市の人吉市まち・ひと・しごと総合交流館からオンラインで配信した。アイリスオーヤマ(仙台市青葉区)の大山健太郎会長が、中小企業がBCP(事業継続計画)に取り組む重要性について講演。実際にBCPの簡易版「事業継続力強化計画(通称ジギョケイ)」を作成した熊本県内の複数の事業者が、作成したきっかけや苦労した点、その効果などについて紹介した。

大山会長はまず、事業継続の点で「火災を出さないことが何よりも大事になる」と強調。その上で工場を展開する際、エリアを分散させることや、大雨でも水害に遭わない土地を選ぶことが重要だと説明した。また中小企業のメリットとして、トップダウンで小回りが利く点を挙げ、「経常利益の半分を新しい分野に投資し、どのような経営環境になっても利益を出せる仕組みつくりが重要だ」と語った。

続いて、実際に簡易版BCPを作成して認定を受けた通宝(熊本市、食品製造業)の塚田一平経営企画開発室長と、味岡生コンクリートグループ(熊本県人吉市、生コン製造業)の味岡和國代表取締役、味岡章徳専務が、具体的にどう取り組んだかを紹介した。作成のきっかけは2016年の熊本地震と20年の球磨川氾濫による水害で、その効果について塚田室長は「社内のことを知るきっかけになった」、味岡専務は「社員の一体感と士気を上げるのに有効だった」と話した。

さらに鳥越商店(熊本県人吉市、球磨焼酎卸問屋)の鳥越英夫代表社員がライブで登壇し、簡易版BCPを作成する過程を紹介。策定の手引きやツールを使いながら約3時間で作成し、「あらためて資金繰りやデータの保全などを顧みるきっかけになり、従業員との対話にもなった」と感想を述べた。NPO法人事業継続推進機構の堀越繁明副理事長は、各事業者の取り組みを解説し、BCP作成に際して重要となるハザードマップの使い方などを伝授した。

2022年度の強靱化シンポジウムは全4回開催を予定。第2回目は9月1日の「防災の日」に宮城県気仙沼市、第3回目は10月下旬に神戸市、第4回目は2023年3月上旬に福島県の各会場からライブ配信する予定だ。

詳しくは中小機構のホームページへ。