調査

前月比0.8ポイント改善、物価高と人手不足で一進一退:日商の11月業況

2023年 12月 4日

日本商工会議所がまとめた11月の「商工会議所LOBO(早期景気観測)調査」によると、全産業合計の業況DI(好転と回答した割合から悪化と答えた割合を差し引いた値)はマイナス9.7となり、前月比0.8ポイント改善した。原材料価格や人件費の高騰などのコスト高に見合う十分な価格転嫁ができない中、人手不足も深刻化し、中小企業の業況は一進一退の足踏みが続いている。

業種別にみると、建設業はマイナス11.7となり、2.6ポイント改善した。受注が堅調な公共工事が下支えした。卸売業は、飲食・宿泊業からの飲食品関連の引き合いが増加し、マイナス12.0と8.6ポイント改善した。

一方、製造業はマイナス10.2となり、0.9ポイント悪化した。自動車関連が好調な半面、円安による輸入部材の高騰で横ばい圏内にとどまった。サービス業はプラス0.2となり、0.2ポイントの改善。飲食・宿泊業で客足が回復基調にあるものの、エネルギー価格の上昇などのコスト増が足を引っ張っている。小売業はマイナス18.7となり、2.7ポイント悪化した。物価高による買い控えが継続していることが反映された。

12月~2024年2月の先行き見通しは、マイナス13.6で11月に比べて3.9ポイント悪化すると見込んでいる。クリスマスや年末年始の個人消費の拡大、インバウンドをはじめとする観光需要が期待されるものの、コスト増が企業収益を圧迫する状況が続いている。欧州・中国の景気減速など先行きの不透明感はぬぐえず、慎重な見方が続いている。

調査は、全国328商工会議所の会員 2474社を対象に11月14~20日に実施され、有効回答数は1929社(回答率78.0%)だった。

詳しくは、日本商工会議所のホームページへ。

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