支援

経営指導員を質量ともに充実、県の強みをさらに高める:馳・石川県知事

2023年 3月 17日

知事室でインタビューに答える石川県の馳知事(右)

石川県の馳浩(はせ・ひろし)知事は、中小機構北陸本部の笹岡健治本部長のインタビューに応じ、中小企業診断士の資格を有する県内商工会・商工会議所職員の割合が全国トップクラスであることを強調し、「経営指導員を質量ともにさらに充実させるなど、人の手当てを図ったうえで、県内中小企業の支援を進めていきたい」と述べた。また昨年8月に県と中小企業庁、中部経済産業局、中小機構の4者で中小企業・小規模事業者に対する伴走支援連携協定を締結したことを受け、馳知事は「中小企業を取り巻く環境が激しく変化している中、国や中小機構と一丸となって支援に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

馳知事は中小企業支援の強化を進める

馳知事は、プロレスラーから衆参の国会議員を経て昨年3月の知事選で初当選。同8月には、4者による伴走支援連携協定を締結し、県内の中小企業・小規模事業者の振興に向けて4者が連携してセミナー・イベントの開催や支援人材の育成、中小企業への専門家派遣などの取り組みを進めることとなった。

今年2月には就任後初めてとなる来年度当初予算を発表。今年秋ごろに策定される県の新たな総合計画「石川県成長戦略(仮称)」を先取りした形で、手厚い産業振興策を講じることがひとつの特徴だ。そのなかで、新たに創設される「成長戦略ファンド」(700億円規模)は従来の2つのファンド(次世代産業創造ファンド、中小企業チャレンジ支援ファンド)を統合、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション=脱炭素社会に向けた取り組み)、スタートアップ創出など時代のニーズに対応した内容にリニューアルされる。

また、DXやGXに加え、人材不足の恒常化や原油・原材料価格の高騰など中小企業・小規模事業者の経営課題が高度化・複雑化するなか、支援機関が事業者に寄り添いながら継続的にサポートしていく伴走支援の強化も産業振興策に盛り込まれている。

馳知事は就任直後から伴走支援の重要性に着目しており、「昨年の6月補正予算で支援機関の体制強化を図るなど、他の自治体に先行して伴走支援の強化に取り組んだ」という。さらに7月には、経済産業省官僚で中小企業庁小規模企業振興課長や特許庁審査業務部長などを歴任した西垣淳子氏を副知事に起用し、人事面でも中小企業支援強化の体制を整えた。昨年8月の伴走支援連携協定の締結は、「こうした県の取り組みを高く評価してもらったもので、とても大きな意義がある」(馳知事)としている。

来年度当初予算では、伴走支援の体制強化のため、商工会・商工会議所の経営指導員の増員や資質向上をサポートする。石川県では元々、商工会・商工会議所の職員に占める中小企業診断士資格取得者の割合が高く、商工会は35.4%(全国平均5.6%)と全国1位。商工会議所も12.8%(同4.9%)と全国平均を大きく上回っている(昨年3月末時点)。馳知事は「経営指導員の質の高さは県の強み。人の手当てを図り、指導員を質量ともにいっそう充実させ、県の強みをさらに高めていきたい」と述べた。

馳知事は“空飛ぶ補助金”にも言及。これは国から独立行政法人を経由するなどして市町村等に交付される補助金で、「これをいかに確保するかが地域の産業振興にとって重要」と強調する。そのため「伴走支援の強化など県の取り組みを進めたうえで、経営指導員などを通じて事業者にも“空飛ぶ補助金”を知ってもらい、獲得につなげてほしい」と述べた。

中小機構北陸本部の笹岡本部長(左)と握手する馳知事

最後に馳知事は、4者による伴走支援連携協定を踏まえ、中小企業庁や中部経済産業局、中小機構に対して「日本全国から県内事業者の実情に合ったアドバイスができる専門家を紹介してもらうほか、人材育成研修やビジネスマッチングなど、経営課題に即応した切れ目のない支援を、地域の支援機関と緊密に連携を図りながら、提供してもらいたい」と期待。「中小企業を取り巻く環境が激しく変化し、予見が困難な中で、成長に向けて事業を力強く進めてもらうためには、経営者をはじめ、企業自らが本質的な課題に気づき、自立的かつ柔軟に対応してもらうことが重要。事業者をそうした方向に導いていけるよう、国や県、中小機構などの支援機関が一丸となって取り組んでいきたい」と訴えた。