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SDGs、DX…万博記念研修「未来の経営」を体感:中小企業大学校

2025年 5月 23日

研修風景の画像
初日の研修では、SDGsやDX、カーボンニュートラルに取り組む意義など「未来思考」の経営について学んだ

中小機構が運営する中小企業大学校は5月20、21日の2日間、大阪・関西万博記念研修「未来の経営を考える!」を開催した。全国から中小企業経営者を中心に26人が参加。中小企業にとってビジネスチャンスにもつながる「カーボンニュートラル」を中心とした未来志向の経営を学ぶとともに大阪・関西万博の会場などを視察した。

研修は、世界的に重要な課題である「カーボンニュートラル」の取り組みの先進事例を学ぶことによって、中小企業経営者に企業価値の向上やさらなる成長を目指すきっかけにしてもらうことを目的に開催された。近畿地区にとどまらず、北海道から長崎県まで14都県から参加の申し込みがあり、製造業や小売・卸、情報通信・運輸など幅広い業種の経営者が参加した。

初日の20日は、大阪市中央区の中小企業大学校関西校で未来志向の重要性を考える講義やカーボンニュートラルを推進する中小企業の事例紹介や大阪ガスの取り組みが紹介された。

中小機構中小企業アドバイザーの吉村正裕氏は「老舗に学ぶ! VUCAの時代における未来思考の持続可能経営」をテーマに講義。変動性(Volatility)・不確実性(Uncertainty)・複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)が増す時代の中で、中小企業がSDGsやDXに取り組む意義や求められる経営について解説した。吉村氏は「VUCAの時代には何が起こるか分からない。その中で、30年後も残る課題がある。それをSDGsは示している。自社が長期的な社会課題にどう取り組むか。新たな価値・ビジネスを創出するための参考書になる」と指摘した。

続いて、中小企業診断士で脱炭素まちづくりアドバイザーの小西豊樹氏が登壇。二酸化炭素の排出量に応じて課税する炭素税や、二酸化炭素の排出に価格を設定するカーボンプライングの動向などを解説した。カーボンニュートラルが競争力の強化やコストの削減など中小企業の経営にもたらすメリットを強調するとともに、パリ協定に基づき企業が削減目標を設定する「SBT認証」取得の重要性を説いた。さらに実際にSBT認定を受けた企業の経営者2人が事例企業として登壇し、SBT認証を受ける意義や苦労などについて語った。

最後に都市ガス大手、大阪ガスのカーボンニュートラルの取り組みが紹介され、都市ガスのカーボンニュートラルのカギを握る「e-メタン」という水素と二酸化炭素を合成して作り出す新たな燃料活用の取り組みが紹介され、参加者の関心を集めていた。

ガスパビリオン おばけワンダーランドの外観画像
2日目の研修では、大阪・関西万博の「ガスパビリオン おばけワンダーランド」などを視察した

2日目は、大阪市此花区にある大阪ガスの研究開発拠点、カーボンニュートラルリサーチハブを見学した後、大阪・関西万博会場に移動し、「ガスパビリオン おばけワンダーランド」の体験や会場を視察した。研修の参加者からは「今まで距離があったカーボンニュートラルの取り組みが非常に身近になった」「自社でやれることがあることを理解した。始められることからすぐに始めたい」という声が聞かれた。