イベント
中小企業応援士全国大会を開催:中小機構
2025年 2月 18日
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中小機構は17日、「第2回中小企業応援士全国大会」をTKP東京駅カンファレンスセンター(東京都中央区)で開催した。55人の応援士が地域の垣根を超えて一堂に会し、全国の多種多様な経営者等との意見交換やネットワークの構築に取り組んだ。
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宮川正中小機構理事長が開会のあいさつとして「今日は北海道から沖縄まで多くの応援士の方に集まっていただいた。応援士制度は令和元年から始まり、応援士の方の先進的な実体験を他の中小企業に共有してもらい、地域を盛り上げていただくために発足した。中小機構の施策でこれは良いと思ったことを他の中小企業に勧めていただくことも期待している。現在約170名が現役として活動している。大会を通じて全国規模で相互に交流していただき、今後の活動に役立てていただきたい」と開催の狙いを語った。
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基調講演には佐々木茂喜オタフクホールディングス株式会社会長が登壇し「広島で生まれ世界中で愛される、100年以上続くオタフクソースの経営戦略」をテーマに講演した。佐々木会長は、経営戦略として「モノ売りではなく、コト売りをやってきた。ソースを売ることよりもお好み焼きを広めることを追求してきた」と述べ、お好み焼きの良さを伝える活動や、スーパーの売り場にお好み焼きコーナーの設置を提案することで、販路開拓を進めたことを紹介した。社員を大切にする経営の一環として、「キャベツ畑での栽培体験や無人島でのサバイバル体験など、体験型の研修を通じて学んだことをしっかりと記憶にとどめる工夫をした」ことや「30年前から入社式に家族を招いて、わが子がどんな企業に就職したのかを知ってもらう取り組みを続けている」など、先進的な活動を紹介した。また、同族経営で成長する中で課題となる事業承継について、「私は3代目だが、次の世代に向けて円滑に経営が移行できるよう、株式の保有割合や後継者の決定方法などを『家族憲章』として明文化し、親族間で共有している」といった興味深い内容についても説明した。講演を聞いた応援士は、自社の経営課題に通じる内容にうなずいたり、スライドを撮影したりと、熱心に聴き入る姿が見られた。
その後の懇談では、応援士同士が様々なグループに分かれて、経営課題について語り合うなど、積極的に交流を深めていた。
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中小機構は、令和元年度から企業経営や地域の発展に顕著な功労のあった各地の経営者や支援機関に「中小企業応援士」を委嘱している。中小企業応援士は、地域の企業に関連施策の紹介や共有、相談や助言などを行い、地域経済の発展と中小企業・小規模事業者の活躍をめざしている。これまでに累計で353名に委嘱している。全国大会は昨年に続き2回目。各地の応援士が直接顔を合わせ、それぞれの経営の悩みや自社の経営ノウハウを率直に話し合う貴重な機会となった。