市場調査データ
レンタサイクル(貸し自転車)
レンタサイクル(貸し自転車)は、観光地のみならず都市部でも広く展開されている。また、東日本大震災では、交通機関が麻痺する中で多くの人が非常時の足として利用し、その利便性が注目された。以下では、レンタサイクル(貸し自転車)についての消費者の利用状況や利用意向を、アンケート調査結果を元に探っていく。
1. 現在の利用状況
現在の利用状況を見ると、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた「利用率」は、全体で4%、男性6%、女性2%となっている(表1、図1)。
年代・性別に見ると、利用率が比較的高いのは20代・30代男性(8%)である。逆に、30代~50代女性の利用率は1~2%と極めて低い。
また、「利用経験あるが、現在利用していない」の割合が利用率に比べて高いことから、リピート率が低いことも窺われる。
表1 現在の利用状況
(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)
図1 現在の利用状況
利用頻度に関しては、全体的に「3年に1回未満」が多く、利用経験者の中の66%を占めている(図2)。
年に1回以上利用しているユーザーは、20~40代男性に多く、20代男性利用経験者の27%、30代男性利用経験者の39%、40代男性利用経験者の29%が、年に1回以上利用している。
図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)
1回あたり利用金額は、「無料」から「2,000円~3,000円未満」までと幅が広い(図3)。
全体的には、「500~700円未満」と「700~1,000円未満」の境がグラフの50%程度の位置にあることから、700円あたりが1回あたり利用金額の一般的な相場(中央値)だと考えられる。
図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)
2. 今後の利用意向
今後「ぜひ利用したい」と「まあ利用したい(どちらかといえば利用したい)」を合わせた比率(積極的利用意向)は、全体で14%、男性12%、女性16%であり、女性の方が利用意向が高い(表2、図4)。積極的利用意向は、全ての年代・性別にほぼ均等に存在していると考えられるが、とくに50代・60代女性で高いといえる。
レンタサイクル(貸し自転車)の利用に否定的な意向を持たない人の比率(消極的利用意向を持つ人の比率)は、60代男性以外の全ての年代・性別で40%を超えている。
表2 今後の利用意向
(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)
図4 今後の利用意向
積極的利用意向から実際の利用率を除いた潜在需要(積極的潜在需要)は、全ての年代・性別でプラスとなっている(図5)。
レンタサイクル(貸し自転車)の利用に否定的な意向を持たない層を加味した潜在需要(消極的潜在需要)に関しても、全ての年代・性別でプラスとなっている。
潜在需要は、年代・性別を問わず幅広い層にほぼ均等に存在している。そのため、たとえば、「学生による学校近辺での利用」や「郊外の公園でのサイクリング」など、観光以外の様々な利用シーンを創造してゆくことも新規需要の開拓には効果的であると考えられる。
図5 潜在需要
(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものです。個別の施策等を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)
調査概要
- 調査期間:
-
2012年6月2日~6月29日
- 調査対象:
-
国内在住の20~60代男女(有効回答数:1,084人)
- 調査方法:
-
インターネットによるアンケート調査
最終内容確認日2013年10月