市場調査データ

英会話教室(2024年版)

2024年 3月 6日

コロナ禍は、対面スタイルの英会話教室に大きな打撃を与えたといわれている。一方で、テレワークの浸透などで増えた在宅時間の有効活用により、オンラインスタイルの英会話教室の受講者が増加したケースもあるようだ。国内でも社内の公用語を英語化する企業も現れるなど、英語力の重要性がますます高まっている昨今、英会話教室に対する消費者の意識に変化はあるのか。20代以上の男女1,000人に聞いた。

1. 現在の利用状況

〈図a〉英会話教室(オンラインを含む)の利用状況(n=1,000)
〈図a〉英会話教室(オンラインを含む)の利用状況(n=1,000)

英会話教室の現在の利用状況は、「まだ一度も利用したことがない」が80.3%を占めた。それに続いたのが「かつて利用したことがある」の13.0%。つまり、現在のユーザー割合(利⽤率)は残りの6.7%ということになる。ちなみに、2008年に当サイトで実施したアンケート調査での英会話の利用率は3%。若干ではあるが、当時に比べてユーザー数は増えているといえるかもしれない。

現ユーザーの6.7%のうち、4.5%が「週に1回(コマ)以上利用している」というのも興味深い。全体における利⽤者の割合は⼩規模だが、利用者にはヘビーユーザーが多いという英会話教室の利用実態が見える結果となった。

2. 利用しない理由

〈図b〉英会話教室を利用しない理由(n=1,000)
〈図b〉英会話教室を利用しない理由(n=1,000)

英会話教室を利用しない理由について、最多となったのは「そもそも英会話の必要性を感じない」の22.9%。続いて「コストが高い」の18.6%、「英会話教室を利用中なので利用しない理由はわからない」の14.0%、「その他」の13.9%、「効果に疑問がある」の11.4%の順となった。また、「他の方法で勉強している」の6.6%、「自分の目的に合った教室が生活圏にない」の6.4%、「教室ごとの違いやメリット、システムなどがよくわからない」の6.2%も、設問1での現ユーザー割合(6.7%)を踏まえると、決して少ない数字ではない。ビジネスとして捉える場合、どのユーザー課題と向き合うかで、戦略は大きく変わってきそうだ。

3. 英会話教室の利用にかける費用

〈図c〉英会話教室の受講にかける月額の費用(n=1,000)
〈図c〉英会話教室の受講にかける月額の費用(n=1,000)

英会話教室の受講にかける月額の費用については、「利用したことがない」の75.3%を除くと、「5,000円〜1万円未満」が10.2%、「3,000円〜5,000円未満」が6.4%、「3,000円未満」が4.0%の順となった。一方で、月額1万円以上をかけるユーザーは計4.1%。多くの利用者を抱えるか、あるいは利用者は少なくしてサービスの付加価値を上げるか。どちらの道にもビジネスの糸口はあるかもしれない。

4. コロナ禍の影響

〈図d〉コロナ禍が英会話の利用に与えた影響(n=1,000)
〈図d〉コロナ禍が英会話の利用に与えた影響(n=1,000)

コロナ禍が英会話の利用に与えた影響に関しては、「利用頻度にも利用の基準にも影響はなかった」の90.7%を除くと、「一時的に影響はあったが今はまた元に戻った」の3.6%、「利用頻度に影響はなかったが、利用の基準が変わった」の2.9%に続き、「利用頻度が減った」も2.4%に上った。現ユーザー割合を踏まえると、これらの数字も決して小さくはない。やはりコロナ禍は英会話教室のビジネスに少なからず影響を与えたことが見て取れる結果となった。

5. 今後の利用意向

〈図e〉今後の利用意向(n=1,000)
〈図e〉今後の利用意向(n=1,000)

今後の利用意向に関しては、「ぜひ利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」を合わせた利用に積極的な人の合計は18.1%と、設問1における現ユーザーの6.7%を大きく上回った。これに「どちらとも言えない」の33.1%を加えた層は、アプローチの方法や利用者の置かれている状況次第では、ビジネスの対象になる可能性はある。実際、記述式回答欄では「今は必要ないが、いずれ必要になるかもしれない」といった声が多かった。こうした声に耳を傾けていけば、現状の非ユーザーを取り込んでいくといった道は開けてくるかもしれない。

6. 性別・年齢別の今後の利用意向

〈図f〉性別・年齢別の今後の利用意向(n=1,000)
〈図f〉性別・年齢別の今後の利用意向(n=1,000)

性別・年齢別の今後の利用意向を見てみると、「ぜひ利用したい」「どちらかと言えば利用したい」を合わせた割合が最も高かったのは30代女性で、20代女性、40代女性の順となった。60代以上のみ例外となるが、それ以外の全年代で女性の方が英会話教室の利用に積極的なようだ。一方で、「全く利用したくない」「あまり利用したくない」を合わせた割合が最も高かったのが60代以上女性で、次に60代以上男性が続いた。

7. まとめ(ビジネス領域としての英会話教室)

英会話教室における現ユーザー割合の6.7%は、大きな数字とはいえないかもしれないが、15年前の調査時からは倍以上に増加している。また、今後の利用に積極的な層が18.1%で、これに「どちらとも言えない」を加えたターゲット層が過半数ということを踏まえると、決して今後が見通せないビジネス領域ではないと考えられる。恐らくはコロナ禍をきっかけに教室を離れた層も存在しており、コロナ禍を契機に英会話教室の利用基準を見直したというユーザーも比較的多い。こうした層を含むターゲット層の声に耳を傾け、例えばオンラインの活用など今の時代に即したニューノーマルな英会話教室を開くことができれば、その価値が高く評価されるようなことも期待できるかもしれない。

記述式回答欄への利用に積極的な層からの意見としては「子供がオンライン英会話教室で日々上達している」「子供の将来を考えて」「(他の方法で学ぶより)効果が期待できる」「仕事で必要になったら通いたい」「コロナも落ち着いてきたので海外旅行のために」「英語を話すのが普通の時代になったから」「将来の選択肢を広げるため」「英語力を維持したい」など。一方、利用に消極的な層からは、「英会話の必要性がない」「費用が高い」「時間とお金に余裕がない」「他に優先すべきことがある」「今からでは遅いと感じている」「高い月謝の割に効果が低かった」「オンラインやアプリなど無料のものでもできる」「独学で学んでいる」「近くに教室がない」「教室選びが大変そう」といった声が寄せられた。

アプローチする上で、どちらかといえば女性の方が利用に積極的で、高齢層になるほど利用に消極的であるという傾向は、頭に入れておいて損はないだろう。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします)

調査概要

調査期間:

2023年10月3日〜10月10日

調査対象:

国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。
サンプル数(n)1,000人

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2024年3月

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