市場調査データ

ネットショップ(電子商取引・EC)

2022年 6月29日

2020年より長引くコロナ禍の影響を大いに受けた「ネットショップ」。移動や外出の自粛要請などに伴い旅行などを含む「サービス分野」の商取引が大幅減となったものの、「物販系分野」「デジタル系分野」はいずれも大幅増。「非接触」に対する社会的ニーズも高まる今、消費者はいかに「ネットショップ」と向き合っているのか。男女1000人に対するアンケート調査の結果を紐解いていく。

1. 現在の利用状況

〈図a〉ネットショップの利用状況(n=1000)
〈図a〉ネットショップの利用状況(n=1000)

「ネットショップの利用状況」(図a)を見ると、「ほぼ毎日利用している」〜「月に一度以上利用している」という定期的なユーザーが1000人中579人に及んでいる。最も多いのが「必要に応じて利用するが定期的ではない」の344人で、最も少ないのが「以前利用したことがある」の34人だ。つまり、一度利用した人のほとんどがリピーターになっていることがわかる。また「まだ一度も利用したことがない」は43人にとどまっており、大部分の消費者にとって、ネットショップはもはや消費の選択肢の一つになっているといっても言い過ぎではないだろう。

2. 性別・世代別の利用状況

〈図b〉性別・世代別の利用状況(n=992※不明者・対象外の世代を除く)
〈図b〉性別・世代別の利用状況(n=992※不明者・対象外の世代を除く)

「性別・世代別の利用状況」(図b)を見ると、「ほぼ毎日利用している」〜「月に一度以上利用している」という定期的なユーザーの割合が多いのは、30代男女と40代男性がいずれも60%を超えていて、次に多いのが40代女性。つまり、性別関係なく、いわゆるミドル世代がネットショップ定期ユーザーの中心といえる。

3. 利用分野

〈図c〉ネットショップの利用分野(n=1000)
〈図c〉ネットショップの利用分野(n=1000)

続いて、ネットショップで何を取引しているかを聞いた「利用分野」(図c)について見てみよう。これは「衣食住に関わる生活必需品関連」が565人と圧倒的多数を占めた。記述式回答では「お米などの重いものを運んでくれて助かる」といった声が多く、「生活に不可欠な重いものを家まで運んでくれる」といった点が、ユーザーがネットショップを利用する大きな要因の一つといえそうだ。また、2番目に票を集めたのが「趣味嗜好品関連(消費者間取引サイトの利用を含む)」の144人であることは、ユーザー同士で取引する「個人間EC」の隆盛とも無関係ではないだろう。

4. コロナ禍の影響

〈図d〉コロナ禍のネットショップ利用への影響(n=1000)
〈図d〉コロナ禍のネットショップ利用への影響(n=1000)

コロナ禍による利用頻度の変化を聞いた設問では、「ほとんど変わらなかった」が555人と最も多かったものの、「利用頻度が大きく増えた」が193人、「一時的に増えたが元に戻った」が163人といずれも少なくない数を誇っており、やはりコロナ禍がネットショップのビジネス領域に与えた影響は小さくなかったことがわかる。

〈図e〉コロナ禍のネットショップ利用への影響の性別・世代別割合(n=992※不明者・対象外の世代を除く)
〈図e〉コロナ禍のネットショップ利用への影響の性別・世代別割合(n=992※不明者・対象外の世代を除く)

中でも「利用頻度が大きく増えた」「一時的に増えたが元に戻った」を合わせた割合が50%を超えた20代女性と、それに次いで高い30代女性は、コロナ禍を契機にネットショップとの向き合い方になんらかの変化があったと考えられる。記述式解答では「コロナ禍で各企業が色々な取り組みをしている」「コロナ禍の今、対面しなくていいのは安心」を利用の動機づけとする回答も見られた。

5. 消費に占めるネットショップの割合

〈図f〉消費に占めるネットショップの利用割合(n=1000)
〈図f〉消費に占めるネットショップの利用割合(n=1000)

「消費に占めるネットショップの利用割合」を聞いた設問において、半分以上の消費をネットショップが占めると答えた人数は147人(14.7%)に及んだ。ネットショップのヘビーユーザーの定義を「消費行動の3割以上をネット経由が占めるユーザー」とするならば、すでに355人(35.5%)がヘビーユーザーということになる。

〈図g〉消費に占めるネットショップの利用割合の性別・世代別割合(n=992※不明者・対象外の世代を除く)
〈図g〉消費に占めるネットショップの利用割合の性別・世代別割合(n=992※不明者・対象外の世代を除く)

「消費に占めるネットショップの利用割合の性別・世代別割合」(図g)が示す通り、中でも30代女性、20代女性、30代男性は、消費行動の3割以上をネットショップ経由が占める割合が50%近くとなっており、ヘビーユーザー率の高さが顕著に表れる結果となった。

6. 今後の利用意向

〈図h〉ネットショップに対する今後の利用意向(n=1000)
〈図h〉ネットショップに対する今後の利用意向(n=1000)

「ネットショップに対する今後の利用意向」(図h)では、「ぜひ利用したい」「どちらかといえば利用したい」を合わせた人数は840人(84%)。一方で「あまり利用したくない」「全く利用したくない」を合わせても35人(3.5%)にとどまり、ほぼ全てのユーザーがネットショップを今後何らかの形で利用したいと考えていることがわかった。その理由として前述の「重いものの配送」を挙げる人のほか、「24時間いつでも使える利便性の高さ」「店頭より安いし楽」「遠方にしかない商品も買える」「探す手間が省ける」「ポイントが貯まる」といった声が目立った。

7. まとめ(ビジネス領域としてのネットショップ)

今回のアンケート結果を踏まえると、ネットショップは今も今後も有望なビジネス領域と考えて間違いないだろう。定期ユーザーが57.9%、消費の3割以上をネットショップ経由で取引するヘビーユーザーが35.5%、今後も利用の意向も持つ人が84%という数字の上でも確実性の高さが伺えるビジネス領域であり、コロナ禍により非接触などを求める消費者意識の変革が、ビジネスの根幹をさらに強固にしたとも考えられる。全世代がターゲットになり得るなか、コアターゲットとしては30〜40代のミドル世代。そして、ニーズの中心は生活必需品関連だ。新規参入を検討するなら、この辺りの状況やターゲットへの意識を押さえておきたい。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします。)

調査概要

調査期間:

2022年5月20日〜5月21日

調査対象:

国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。サンプル数(n)1000人※一部不明者、対象世代外の回答者も含む

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2022年6月