ビジネスQ&A

託児所を開設したい!どうすればよいですか?

私は子どもが大好きです。設立資金も貯まったので、夢だった託児所を開設したいと思います。託児所の新規開設には何をすればよいか教えてください。

回答

託児所開設にあたって、認可保育施設とするか無認可保育施設とするかを選択する必要があります。認可保育施設は助成が手厚いのですが制限が多く、無認可保育施設は、助成は少ないのですが、比較的自由な経営ができます。まず、経営計画をしっかりと立てることが必要です。

託児施設には、児童福祉法第45条に定められた基準を満たした認可保育施設(通例、保育園、保育所という)と、認可基準を満たしていないか認可申請を行っていない無認可保育施設(認可外保育施設)があります。託児施設の開設については、国の設置基準に適合しているか、都道府県や市町村の条例や通達により、国の基準以上に厳しい独自の基準や手続きなどが定められているか、よくチェックする必要があります。

【児童福祉法などで定められた基準】

  • 基準
    児童福祉法第45条に基づく省令で定められている(児童福祉施設最低基準)
  • 保育者数
    乳児3人に1人、1・2歳児6人に1人、3歳児20人に1人、4歳以上30人に1人
  • 原則保育に従事する者はすべて保育士
  • 保育所面積
    2歳未満児 乳児室1人あたり1.65平方メートル
    2歳以上児 保育室および屋外遊技場1人あたり1.98平方メートル

ただし、認可基準は都道府県でさらに厳しい基準が設けられていたり、運用が細かく規定されていたりするケースがあります。認可基準の細目と手続き方法については、都道府県や市町村の児童課や子育て課と呼ばれる部署で確認する必要があります。また、認可保育施設(保育園)を設置する場合には、全国私立保育園連盟の都道府県事務局などに手続きや施設などについての相談をするとよいと思います。

【認可外保育施設とは】

認可外保育施設は、設置基準を満たしていないか認可申請をしていない保育施設のことで、非合法な施設ではありません。認可外保育施設においても、地方自治体へ届け出を義務付けています。届出を怠っている場合は、過料を課されますので注意してください。地方自治体では、毎年最低1回は立ち入り調査を実施し、改善指導や監督が行われます。

【届け出対象外保育施設】

児童福祉法では、乳幼児が5人以下の施設および臨時に開設された施設(6カ月を限度、たとえばスキー場)については、届け出の対象外になっています。これらの施設は、事業の対象としての重要性が低いと見られているためです。ただし、人の子どもを預かっていることには違いがありませんので、保育管理や安全・衛生面での注意義務は免れません。

【認可外保育施設の届け出、運営上の注意】

東京都の例をとりますと、保育に従事する常勤職員は2人を下回ってはいけない、3分の1は保育士(2人の施設では1人)であること、保育室の面積は乳幼児1人あたり1.65平方メートルなどと指導監督基準が定められています。所在する都道府県あるいは市町村に内容を確認する必要があります。届け出の主な内容は、所在地、提供する保育サービスの内容(時間、定員その他)、施設の構造・設備、管理者と保育従事者の配置などです。

【経営計画をしっかりと立てる】

託児所であろうと会社には変わりなく、通常の起業と同じように、しっかりとした経営計画を立案する必要があります。まず、認可を取るか取らないかで戦略は大きくかわります。認可を取ると助成金など行政からの補助が手厚いのですが、保育時間は原則8時間といった制限があります。認可を取らないと、行政からの補助はあまり期待できませんが、保育料や保育時間、保育内容などが比較的自由に設定できます。

さらに、立地が託児所においては重要です。駅前とそうでない場合とでは売上に大きな差が出ます。ただし、駅前は賃貸ですと賃料や保証料が高いといった資金面でのデメリットがあります。企業や病院との提携などを考える必要もあるでしょう。保育内容においても、延長保育や夜間保育といった保護者のニーズに合わせた多様なサービスを展開する必要があります。

なお、経営計画策定については、中小企業基盤整備機構や都道府県等中小企業支援センターなどによる無料経営相談などを活用されるとよいでしょう。

回答者

中小企業政策研究会