ビジネスQ&A

ラーメン屋を開業したいのですが、まずは何をすればよいですか?

現在26歳の会社員ですが、近々脱サラしてラーメン屋を開業したいと思っています。ラーメンが大好きでよくラーメン屋巡りをしているうちに、自分でラーメンを作ってみたいと思うようになりました。ラーメン屋を開業するためにはどのような点に注意すればよいのか、開業における留意点についてのアドバイスをください。

回答

まったく経験のない業界ですぐに独立するよりも、一度ラーメン屋で経験を積んでから独立しても遅くはありません。また、独立する前には、ターゲットの選定、立地の選定、営業時間、資金計画、利益計画などの開業計画をしっかりと立てましょう。また、飲食店出店に必要な許認可の取得も行いましょう。

【その業界で経験があるかどうか】

ラーメン屋巡りをしているうちにラーメンを作ってみたいと思うようになったそうですが、実際にラーメン屋や飲食店での業務経験があるのかどうかがポイントになります。ラーメン屋を実際に開業した際には、外部から見ただけではわからない経営ノウハウが数多くありますので、あらかじめ経験しておくことで、事業の失敗のリスクを減らすことができます。

開業する際のポイントとしては、まずは品質面があげられます。品質面とはまさしくラーメンの味です。基本中の基本であるおいしい(ターゲットに合った)ラーメンの味を出せるかどうかが大変重要になるでしょう。

次に、原材料の仕入方法や調達ルートなどの確保が重要になります。実際にラーメン屋での経験があれば、独立の際には仕入ルートを紹介してもらったり、ある程度、原材料の調達先も目処が立ちますが、ラーメン屋や飲食店の経験がまったくない場合には、この調達でさえも苦労する可能性があります。

ラーメンが好きだから開業したいと思っても、実際に開業する際にはさまざまな困難がつきまといます。したがって、数ヵ月から数年ラーメン屋で修行し、経営のノウハウを学んでから独立開業することで、失敗のリスクを大きく減らすことができます。

【開業前の計画をしっかりと】

ラーメン屋(飲食店)を開業するには、しっかりとした計画を立てておく必要があります。開業にかかる費用や、開業時の資金調達、開業後の売上見込みなど事前に計画を立てておくことで、実際に開業した後にある程度余裕をもって店舗経営ができます。それでは開業準備はどのようにすればよいのか、ポイントをいくつか紹介します。

(1)誰にラーメンを食べてもらいたいのか?(ターゲット顧客を決める)

ラーメン屋を開業するにあたり、ターゲットとなる顧客を設定する必要があります。たとえば、OL向けであれば女性受けしそうな健康志向のラーメンにすることや、サラリーマン向けであればボリューム満点のこってりラーメンにするなど、ターゲットに合わせた味を出す必要があります。

(2)ラーメン屋の立地

立地の選定も重要です。上記のターゲット顧客と連動しますが、OL向けであればOL層が多いオフィス街の立地がよいわけですし、サラリーマン向けであれば駅前の立地などが適しています。

(3)営業時間の設定

ラーメン屋の場合は、深夜の集客も見込める業種ですので、立地によっては深夜までの営業を検討してもよいでしょう。

(4)資金計画を立てる

開業して店舗を運営していくには、開業資金が必要となります。まずは最低どのくらいの資金が必要なのかを計算することが必要です。たとえば、15坪程度の店舗を開業する場合を考えてみましょう。

事業形態により異なりますが、一般的には店舗の内装費や看板などの外装費、厨房設備費などを含めて概ね800万円から900万円ほどは必要となります。また、これ以外にも運転資金として、従業員に払う給料や毎月の家賃、チラシなどを作成するための広告宣伝費などで毎月100万円程度の資金が必要となり、合計で1,000万円程度の資金が必要になることが分かります。この開業費用を自己資金でまかなえればよいのですが、自己資金だけでは不足する場合には、公的融資などを活用して開業資金を調達しましょう。

(5)利益計画を立てる

実際に営業を開始する前には、利益計画を立てておく必要があります。利益計画とは、毎月の儲けがいくらになるのか、計画を立てておくことです。たとえば、年間営業日数300日、客単価800円、客数/日100人、1ヵ月の必要経費100万円とした場合は、年間の売上は2,400万円となり、1ヵ月あたり200万円の売上となります。ここから経費を引いた100万円が営業利益となります。こうしてあらかじめ利益計画を立てることで、本当に実現性がある事業かどうかをチェックすることができ、店舗を運営していくために最低限必要な売上高や必要経費の概算を把握することができます。

【食品衛生法に基づく営業許可要件を満たす】

飲食店を開業する際には、食品衛生法に基づいた営業許可を得る必要がありますので、店舗内装や食品衛生責任者の取得などを管轄の保健所や消防署などと相談しながら開業準備を進める必要もあります。

回答者

中小企業診断士 渋谷 雄大