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大阪・関西万博で開催中の「未来航路」 中小企業の技術に高い関心:中小機構
2025年 10月 6日

大阪・関西万博で、中小機構と中小企業庁が共催する体験型展示「未来航路-20XX年を目指す中小企業の挑戦の旅-」は、盛況のうちに開幕から4日目を迎えた。これまでに、家族連れや海外からの来場者など多数の人が訪れ、中小企業が技術の粋をこらした未来思考の製品に感嘆の声をあげていた。会期は7日まで。
未来航路は自社の強みを活かして社会課題の解決に挑戦し、未来へ進んでいく中小企業を「未知の大海への航海に繰り出す挑戦者」に見立て、未来思考の製品、サービス、技術などを5つの価値(テーマ)に分けて紹介している。
「最先端デジタルテクノロジー」をテーマにしたゾーンでは、株式会社白獅子(岡山県)の災害シミュレーションVR(バーチャル・リアリティ)のコンテンツ体験に行列ができていた。VRゴーグルを装着すると、地震・津波・水害・土砂災害・火災など、あらゆる災害を高精度な3DCGとリアルタイム演算で再現し、視覚と没入体験を通じて災害を疑似体験できる。ある家族は、子どもが迫力ある映像に驚く姿を両親が見守っていた。子どもにとっては、記憶に残る体験になっただろう。

株式会社人機一体(滋賀県)の巨大人型重機ロボット「零式人機ver.1.3」は、多くの人がスマホを向けて撮影する姿が見られた。アニメの世界から飛び出してきたような外観のロボットだが、同社とJR 西日本、日本信号が共同研究開発を行っているもので、鉄道分野における高所作業の機械化を実現させるなど、実用化が近いものだ。災害時のレスキューなど、人ができない危険な作業をロボットが代替する未来を実感することができる。

Spiber株式会社(山形県)は、タンパク質繊維素材を使用して優れた吸湿性と放湿性をもつ繊維「Brewed ProteinTM」ファイバーを展示している。この繊維は主にサトウキビ由来の糖が使用されており、分解されて栄養素に変わり、新たなBrewed ProteinTM素材の生産に再利用することが可能な循環型となっている。こうした未来型の素材であることが評価され、著名なデザイナーやアパレルブランドが相次いで採用している。会場には、この素材を使った宇多田ヒカルさんのツアー衣装が展示されている。

270°映像シアターエリア「未来への航海」は、未来思考の製品や技術・サービスが実現する“20XX年の未来”を、没入感ある映像で体感できる。また、ラップアップエリア「未来ポート」では、全国の中小企業約1,830社から届いた「未来への挑戦メッセージ」が大きな画面いっぱいに次々と現れ、見る人を圧倒していた。