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大阪・関西万博で中小企業の挑戦の旅を体験できる「未来航路」が開幕:中小機構

2025年 10月 3日

開会式の画像
開会式にはミャクミャクも登場し、盛り上げた

大阪・関西万博で、中小機構と中小企業庁が共催する体験型展示「未来航路-20XX年を目指す中小企業の挑戦の旅-」が3日、開幕した。自社の強みを活かして社会課題の解決に挑戦し、未来へ進んでいく中小企業を「未知の大海への航海に繰り出す挑戦者」に見立て、未来思考の製品、サービス、技術などを5つの価値(テーマ)に分けて紹介する。来場者は、中小企業が提供する繊細な技や、あっと驚くような未来型のサービスに見入っていた。

開催に先立ち行われた開会式で、山下隆一中小企業庁長官が武藤容治経済産業大臣のあいさつを代読し「日本全国から集結した83社による社会課題の解決に挑む製品やサービスを体験していただける展示や、1800を超える中小企業から届いた未来社会に対する挑戦メッセージを見ていただける映像など、挑戦する中小企業の姿が、いのち輝く未来社会の実現につながっていく様子を見ていただける内容となっています。5日間にわたって開催するイベントを通じて、日本の中小企業のもつ価値や魅力が世界に認知され、新たなビジネスチャンスが創出されることを期待します」とあいさつし、中小企業が描く未来への航路に期待感を示した。
また、宮川正中小機構理事長が「革新と挑戦を続ける中小企業の姿は、私たちの社会の希望であり、未来そのもの。中小機構は、こうした企業の可能性を広げるため、会期後も販路開拓や経営支援、人材育成を全力で支援し続けていく」と述べ、「未来航路」の開会を宣言した。テープカットには、万博の公式キャラクター、ミャクミャクも登場し、開会式を盛り上げた。

希少な引箔技術を世界のアーティストに提供したいと意気込む岡本専務

今回の展示は、来場者が島を巡りながら社会課題の解決を目指す中小企業の技術・サービス等を体験するというストーリー仕立てとなっている。
来場者はまず、出港受付をし、航海に乗り出し、参加企業83社の展示エリア「挑戦を巡る航海」にいざなわれる。自社の強みを活かして社会課題の解決に挑戦し、未来へ進んでいく中小企業を「未知の大海への航海に繰り出す挑戦者」に見立て、未来思考の製品、技術、サービス等を5つの価値(テーマ)ごとに島に分けて展示している。
「伝統の継承と革新」ゾーンでは、岡本織物株式会社(京都府)が、西陣織の若手技術者と若手マンガクリエイターがコラボして手がけた西陣織タペストリーが展示されている。岡本絵麻岡本織物専務取締役は「織る順序に合わせて箔を裁断する引箔(ひきはく)という希少な伝統技術と、インクジェットプリンターなどの新しい技術を融合させて、今までにない作品ができた。これから世界のアート作家にこの技術を提案して、一緒に緻密なものづくり、アート作品をつくっていきたい」と意気込んでいた。

視覚障がい者の歩行を支援する技術を体験

「包摂的なアイデア」ゾーンでは、株式会社Raise the Flag.(香川県)の視覚障がい者向けの次世代型感覚デバイス「SYNCREO(シンクレオ)」が、関心を集めていた。このデバイスは、独自開発のカメラシステムと視覚障がいに特化したAIを用いて、周囲の空間や障害物を検知して、視覚障がい者に音響と振動で伝えるというもの。増田優子執行役員CSOは「重度の視覚障がい者の方が単独行動できるようにする。来場者の方にも体験をしてもらいたい」と言い、説明に力を入れていた。

月面探査車を砂地で走行させる体験に、来場者は苦労しながらも楽しそう

「最先端デジタルテクノロジー」ゾーンでは、株式会社ダイモン(東京都)による月面探査車「YAOKI」の操作体験ができるコーナーが人気だ。YAOKIは、2025年2月に、実際に月の南極付近に着陸し、地球からのリモート操縦による月面走行および月面画像データを取得するといった実績を残した。操作を体験した来場者は、砂地での走行に苦労しながらも、楽しみながら、月世界に思いをはせていたようだ。

開幕早々から多数の来場者が列をつくった

会場には開会初日から多数の来場者が訪れた。中小企業があらゆる場面で活躍する未来を描く「未来航路」により多くの方に体験してもらいたい。会期は7日まで。