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原油価格抑制へ石油国家備蓄を放出:政府

2021年 11月 25日

政府は石油の国家備蓄を初めて放出する。石油供給を一時的に増やし石油製品の価格高騰を抑えるのがねらい。米の要請に応じ、中国やインド、韓国、英国と計6カ国が協調して行う。放出量は国内需要の2~3日分に相当する420万バレル程度で、放出する石油を販売するための入札を年内にも実施し、22年3月末までに市場に出す方針。必要に応じ追加放出も検討する。原油価格が落ち着けば、ガソリンのほか原材料や資材などの値下がりも期待されるが、効果は不透明だ。

備蓄には国が保有する国家備蓄と石油会社に義務付けている民間備蓄などがある。石油備蓄法は、国家備蓄は輸入量の90日分以上、民間備蓄は消費量の70日分以上としており、21年9月末時点で国家備蓄は国内需要145日分の2億8000万バレル、民間備蓄は同90日分の1億7000万バレル、国内施設を産油国に貸し出す協働分を含め241日分を備蓄している。民間備蓄は1991年の湾岸戦争や2011年の東日本大震災などで過去5回放出されたが、国家備蓄放出は初。価格抑制目的も初めてとなる。

今回の協調放出は、ガソリン価格上昇で国民の不満が高まり支持率が低迷している米バイデン政権の要請によるもの。日本は22年度に予定していた余剰備蓄の入れ替えを21年度に前倒しする。