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気仙沼から強靱化シンポジウム:中小機構

2022年 9月 2日

BCPの重要性を説くコメリの捧社長
BCPの重要性を説くコメリの捧社長

中小機構は9月1日、2022年度の第2回目となる「中小企業強靱化シンポジウム」を宮城県気仙沼市の気仙沼まち・ひと・しごと交流プラザからオンラインで配信した。「つくっただけではもったいない!いつでも“使える”BCPとは!」がテーマ。ホームセンターを全国展開するコメリの捧雄一郎社長が「企業経営とBCP(事業継続計画)について」と題して講演した。また中小企業経営者ら2人が、東日本大震災時の経験や、簡易型BCP(事業継続力強化計画:略称ジギョケイ)を作成したきっかけ、その効果などを紹介した。

シンポジウムを司会するバイリンガルアナウンサーの藤村由紀子氏(左)と、中小機構災害対策支援課の江口知聡職員
シンポジウムを司会するバイリンガルアナウンサーの藤村由紀子氏(左)と、中小機構災害対策支援課の江口知聡職員

捧社長はまず、コメリが沖縄を除く46都道府県に1200店超のホームセンターを展開し、これまでに地震を始めとしたさまざまな自然災害を経験してきた点を指摘。「当社の災害対策マニュアルは机上で考えたものではなく、すべて経験したことを体系化したもの。(地震や豪雨など)災害の種類や時間の経過に応じて、実際に何が必要かを深掘りしてマニュアル化した」と語った。

作成に当たって情報を収集・共有する際、例えば現場の被害状況を「たくさん」と表現するのではなく「3割」など定量化して共有するといった工夫が必要と強調。また、マニュアルは常に更新して最新の状態にアップデートすることが重要とし、「BCPは事業と同様、永遠に未完成ととらえ、常にもっと良いやり方がないか考えてほしい」とアドバイスした。

(上)花とギターの西岡運営責任者(上)(下)オノデラコーポレーションの小野寺社長
花とギターの西岡運営責任者(上)とオノデラコーポレーションの小野寺社長

続いて、実際にジギョケイを作成して認定を受けた、花とギター(東京都渋谷区、レディースアパレルブランド店運営)の西岡智子運営責任者が、取り組んだきっかけを披露。すでに認定を受けた知人から「何もやらなければ事業再開まで6カ月かかり、下手をすれば潰れてしまうが、これをすれば再開まで1~3カ月に短縮できると勧められた。これはやるしかないと思った」と振り返った。

オノデラコーポレーション(宮城県気仙沼市、コーヒー店運営)の小野寺靖忠社長CEОは、東日本大震災時は出張先のイタリアにいた。津波で5店舗が2店舗に減少したが、そこから一つ一つ積み重ねて、22年8月には仙台駅前に9店舗目をオープンした。「常に諦めずに継続を心がけている。西岡さんの言われた短縮効果は説得力があり、ぜひとも取り組んでいきたい」と述べた。

次回の第3回は「経営者の集まる"ジギョケイCAFE"そうだったのか!BCP」をテーマに、11月5日~11日にオンラインで配信する予定。

詳しくは中小機構の特設サイトへ。