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伴走支援の有効性を共有、経営力再構築シンポ:中小企業庁

2023年 2月 27日

2月24日開かれた「経営力再構築伴走支援シンポジウム」

中小企業庁は2月24日、中小企業の経営支援にあたる担当者らを対象にした「経営力再構築伴走支援シンポジウム」(後援・中小機構など)を東京都中央区のベルサール東京日本橋イベントホールで開催した。会場には、支援機関・団体などの支援担当者や中小企業診断士、税理士ら約500人が参加したほか、オンラインでも配信され、伴走支援の有効性を共有するとともに実践から得られるノウハウを学んだ。

シンポジウムを主催する中小企業庁の角野然生長官は「地方の経済社会の衰退を食い止めるのは、地域を支える中小企業や小規模事業者。しかし、経営者単独で意識を変えることは難しく、信頼できる第三者による伴走支援が必要となる。経営者が信頼できる支援者と出会い、互いに会話と傾聴を重ねたときに大きな力を発揮できる」と語り、伴走支援の知見・ノウハウの結集を呼びかけた。

基調講演では、組織開発、人間関係トレーニングを専門とする南山大学人文学部心理人間学科教授の中村和彦氏が「伴走支援と組織開発~中小企業の自己変革を促すプロセス・コンサルティング~」をテーマに講演した。

中村氏は、経営支援を依頼した経営者自らが現状に気づき、変革に向けた行動を起こす「プロセス・コンサルティング型」の支援の有効性を指摘。「課題解決よりもまず課題設定が大事。課題設定から進めていき、経営者が『それが課題なんだ』という気づきを起こすことが(伴走支援の)第一歩」と述べ、専門家が前面に立って課題解決にあたるのではなく、経営者が自分たちで課題を考え実行する支援環境構築の重要性を説いた。

また、数多くの企業の経営支援にあたってきた埼玉県商工会議所連合会広域指導員の黒沢元国氏は、「経営力再構築伴走支援の実践~企業の自走化を促す支援の在り方とは~」をテーマに講演。黒沢氏は経験を踏まえ、「支援の9割はコミュニケーション力で決まってしまう。コミュニケーション力は事業者理解力と置き換えられる」と指摘。コミュニケーション力を高める秘訣として「相手を知るためにどんな対話をしたらいいのか、頭に浮かべながらコミュニケーションを図る。対話・傾聴などで『この人だったら本音で話せる』という人間関係を作る。この2点がうまくサイクルとして回ると、事業者理解力が進む」と語りかけた。

このほか、実際の伴走支援を受けた企業経営者が参加し、その経験を紹介するパネルディスカッションや、支援担当者らがそれぞれの活動を紹介するパネルディスカッションが開かれ、具体的な事例や経験に基づいた話に参加者らは伴走支援の重要性や有効性を改めて再認識していた。