BCP策定のメリットと、BCP策定上の留意点について紹介していきます。
【BCP策定のメリット】
BCPを策定するメリットについてですが、大きく分けて2つあります。1つめは当然のことですが、緊急事態の発生時に早期復旧に向けて速やかに対応できることです。計画を策定する過程で自社の業務フローや想定されうるリスクなどが明らかになり、あらかじめ緊急時の行動計画を講じることによって、最小限のダメージで抑えることができます。また、計画で想定していなかった緊急事態が起こった場合であったとしても、自社のリスクを把握していたのであれば、臨機応変な対処が可能になります。
2つめのメリットですが、対外的、特に取引先からの信頼が高まることです。BCPを策定して緊急時に対して万全の準備を行っている大企業や中堅企業にとって、サプライヤーである中小企業の事業継続能力に不安があれば、それだけで自社のBCPの実効性は弱まるでしょう。そのため、大企業は取引先に対してBCPへの取組み状況を確認したり、BCP策定を勧めることもあります。つまり、中小企業がBCPを策定することは大事な顧客の事業中断リスクの低減に寄与して、信頼度の向上や競争力の強化、また企業として社会的責任を果たすことにもつながります。これから大企業は、取引先選定基準として、BCPを策定して事業継続能力のある企業を優先する傾向が出てくることも考えられます。特に東日本大震災によって、この傾向はさらに強まっていくでしょう。
その他としては、計画策定を通じて企業の業務改善の効果も期待できるでしょう。
【留意点】
次にBCP策定にあたっての留意点です。まずは自社で「実現可能な」計画にすることです。最初から完璧な計画を求めて事細かいことまで策定しようとしたら、策定途中で挫折してしまうばかりか、策定されたとしても、難しすぎていざ災害が発生した際に運用ができない恐れもあります。また、簡易な計画や他の企業の計画を流用したような計画であれば、これも役に立たないでしょう。つまり、BCP策定にあたっての留意点は、自社の経営環境に適合した、自社で「できる」計画を策定するということです。
また、企業にとってBCPを策定するのがゴールではなく、自社にとって常に有効なものにブラッシュアップしていくこと、そして役員から従業員にいたるまで、BCPに対する理解を深め、平時から緊急時に対して高い意識を持っている企業文化を定着させることも重要です。そのため、BCPには定期的な点検・見直しや教育・訓練についてもしっかりと盛り込むことです。BCPを運用管理して、企業文化への定着を図るマネジメントを、特にBCM(事業継続マネジメント)ということもあります。
図1 BCP策定のメリットと留意点
| BCP策定のメリット |
BCP策定の留意点 |
- 大災害などの緊急事態の発生に対して対応力が高まる。
- BCP策定の過程で、想定できるリスクが明らかになり、臨機応変な対応が可能となる。
- 緊急時の行動計画を作ることで、損害の最小化を図ることができる。
- 顧客からの信用度が高まる。
- 取引先企業のBCP策定の貢献ともなる。
- 相手先の取引先選定においてプラスの要素となる。
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- 自社にとってふさわしいBCPの策定をする。
- 実現可能なBCPを策定する。他社のBCPを流用するようなことはしない。
- 策定後も定期的に点検・見直しを行う。
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