省エネQ&A

省エネ法での(発熱量)換算係数は、誤差を持った測定値それとも定数?

回答

省エネ法では、使用量にエネルギーの種類ごとに定められた(発熱量)換算係数を掛けることで、熱量を求めています。(発熱量)換算係数は誤差を持った測定値として捉えるのではなく、「法的・制度的に定義された換算係数(=定数)」と考え、計算で得られた全ての桁数で有効と考えるほうが妥当と思われます。

省エネ法では、使用量に(発熱量)換算係数を掛けることで、熱量を求めています。そして、換算係数は下表のとおりエネルギーの種類ごとに定められています(出典:資源エネルギー庁作成「エネルギーの使用の合理化等に関する法律 第15条及び第19条の2に基づく定期報告書記入要領」)。

エネルギーの種類ごとの熱量 エネルギーの種類ごとの熱量

上表から、(発熱量)換算係数はいずれも3桁で表現されています。そして、いずれも純成分ではなく、測定することで(発熱量)換算係数を求めています。

使用量は購買伝票からの数値であり、表示された数値は全て有効と考えられます。したがって、もし、測定精度に起因して(発熱量)換算係数を定めていると考えるなら、有効数字3桁の(発熱量)換算係数に使用量を掛けた熱量の有効桁数は3桁となります。そして、原油換算係数も0.0258kL/GJと3桁であることから、原油換算量も有効数字3桁となります。つまり、1,000kLの原油換算量では十の位の数字までが有効で、一の位の数字は信頼できない数値となってしまいます。

ところが、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律 第15条及び第19条の2に基づく定期報告書記入要領」によると、「原油換算量は、小数点以下を四捨五入して整数値で記入」との記載があります。つまり、定期報告書での原油換算量は、一の位の数字まで記入することを求めています。

一の位の数字まで求めていることを考えると、(発熱量)換算係数は誤差を持った測定値として捉えるのではなく、「法的・制度的に定義された換算係数(=定数)」と考え、計算で得られた全ての桁数で有効と考えるほうが妥当と思われます。

回答者

技術士(衛生工学) 加治 均