省エネQ&A

省エネ法でのLPG(液化石油ガス)の立方メートルからトン(t)への換算について

回答

購買伝票でのLPGの数量は立方メートル(m3)で表されることが一般的ですが、省エネ法ではLPGの熱量を求める際の数量のLPガスの単位はトン(t)です。省エネ法での定期報告書にLPGの数量を記載するためには、立方メートル(m3)をトン(t)に換算する必要があり、そのための換算係数が「産気率」です。

省エネ法では、LPGの熱量を求める際の数量のLPガスの単位はトン(t)です。
一方、購買伝票でのLPGの数量は、立方メートル(m3)で表されることが一般的です。したがい、省エネ法での定期報告書にLPGの数量を記載するためには、立方メートル(m3)をトン(t)に換算する必要があります。

資源エネルギー庁が作成した「エネルギーの使用の合理化等に関する法律 第15条及び第19条の2に基づく定期報告書記入要領」によると、LPGとは、「石油精製・化学工場における原油や石油製品の処理過程において発生するガスの成分中から回収したプロパン、ブタン等を主成分とするガス及び可燃性天然ガスから得られた物質」と定義され、燃料の使用量を熱量換算する際は、50.8GJ/tの発熱量を使用することが定められています。そして、「使用量が帳票類において立方メートルで表示されている場合には、LPGの供給事業者に、立方メートル当たりのトンへの換算係数を確認してください。供給事業者への確認が困難な場合は、以下の数値を用いてトンに換算してください」との注記が記載されています。

LPGの種類

1立方メートル当たりのトンへの換算係数

プロパン

1/502トン

ブタン

1/355トン

プロパン・ブタンの混合

1/458トン

上表の換算係数の分母は「産気率」と呼ばれています。産気率は、一定質量のLPガス(液体)が気化した場合、どれだけの体積を占めるかという割合を示す数値です。ここでは、立方メートルからトンに換算する係数として用い、その産気率は、「気象庁発表の全国平均気温14.9℃(1971年から2000年の30年間の平均気温)を適用して、ボイル=シャルルの法則に基づき算出した。ただし、気温については、産気率の計算において季節変動及び気化潜熱効果による容器内温度の低下を考慮して実測値を基に平均気温から4℃差し引いている(出典:日本LPガス協会)」そうです。

わが国は南北に長く、平均気温も北海道と沖縄では相当に異なっています。この点を考慮し、経済産業省告示第九十号 「簡易ガス事業供給約款料金算定規則(平成二十六年四月二十一日から施行)」では、全国を3地域(北海道、青森県、岩手県及び秋田県に所在する供給地点群、沖縄県に所在する供給地点群、その他に所在する供給地点群)に分け、燃料種(い号液化石油ガス、ろ号液化石油ガス、い号・ろ号併用)ごとに産気率を定めています。

以上から、LPG(液化石油ガス)の立方メートルからトン(t)への換算を正確に行うなら、LPGの供給事業者に、立方メートル当たりのトンへの換算係数を確認し、自ら、重量に換算し、定期報告書に記載することをお勧めします。

なお、プロパン、ブタン、プロパン・ブタンの混合物の使用量算定のための単位発熱量は下記のとおりです(出典:日本LPガス協会)」。

【プロパン:プロパン100%とする】51.24GJ/t
【ブタン:ブタン100%とする】49.7GJ/t
【プロパン・ブタンの混合物:プロパン70wt%、ブタン30wt%とする(70:30は最近の輸入比率)】50.8GJ/t

回答者

技術士(衛生工学) 加治 均