省エネQ&A

LED照明へ更新を図ることによる省エネ効果は?

回答

LEDは半導体であることから、その特性上温度が低いほど明るくなる傾向があり、蛍光灯が苦手とする低温環境での使用が可能です。そのため、庫内の照明を低温用LED照明(ベースライト型)に変更することで、ランプ消費電力と冷凍機消費電力の節減に加え、器具の取替費用と手間を同時に削減できます。

冷凍・冷蔵(倉)庫内のような低温環境では、蛍光灯が安定して点灯できない上に立上り時間も遅く(下左図:出典はパナソニックホームページ)、結果として低温効率が著しく低下します(下右図:出典は電気技術者協会ホームページの電気技術解説講座)。そのため、これまで冷凍・冷蔵(倉)庫内への照明対策として、保温効果を施した蛍光灯器具や白熱電球が用いられてきました。

(左図)蛍光灯の特性(立ち上がり時の光東比)、(右図)周囲温度と相対光東特性の関係 (左図)蛍光灯の特性(立ち上がり時の光東比)、(右図)周囲温度と相対光東特性の関係

一方、同じ照明器具でもLEDは半導体であることから、その特性上温度が低いほど明るくなる傾向があり、蛍光灯が苦手とする低温環境での使用が可能です。そのため、庫内の照明を低温用LED照明(ベースライト型)に変更することで、ランプ消費電力と冷凍機消費電力の節減に加え、特徴のランプ寿命の長さから、器具の取替費用と手間を同時に削減できます。

なお、以下の計算例に基づき、冷蔵庫内における照明器具の年間電力消費量と、LED活用時の年間電力消費量を求めることができるため、それぞれ比較することで定量的な省エネ効果(電力削減量)を明らかにすることができます。

試算例
  • 点灯時間と点灯率:5,110時間(14h/日×365日)×80%
  • 冷凍機のCOP(推定):1.5
  • 現状の冷凍・冷蔵(倉)庫内(管理温度:-25℃)の白熱電球仕様と灯数:90W/台(光束1,520lm)×16台
  • 年間消費電力量:0.09kW/台×16/台×5,110h/年×0.8=5,887kWh/年
  • 白熱電球による冷凍機負荷:0.09kW/台×16/台×5,110h/年×0.8÷1.5=3,924kWh/年
  • 現状の白熱電球による消費電力量:5,887kWh/年+3,924kWh/年=9,811kWh/年
  • 更新するLED照明の仕様と灯数:33W/台(光束3,610lm)×8台←現状の白熱電球より光束が高いので照明器具数を削減できます
  • 年間消費電力量:0.033kW/台×8/台×5,110h/年×0.8=1,079kWh/年
  • LED照明による冷凍機負荷:0.033kW/台×8/台×5,110h/年×0.8÷1.5=719kWh/年
  • LED照明に更新後の消費電力量:1,079kWh/年+719kWh/年=1,798kWh/年
  • 年間削減電力量:9,811kWh/年—1,798kWh/年=8,013kWh/年
回答者

技術士(衛生工学) 加治 均