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2020年 6月 2日
当社は研究施設で使用する試験分析機器のデータの解析装置を製造しています。UAEの商社からUAEやサウジラビアなどに販売したいとのオファーがありました。条件にRoHSの認証マークの貼付の要求があり、CEマーキングは通用しないと言われました。 湾岸諸国の認証制度について教えてください。
UAEやサウジラビアなどは、GCC(Gulf Cooperation Council 湾岸協力会議)加盟国です。GCCは技術規則としてRoHS規則案を作成してWTOに通告しています。 対象製品や特定有害物質は、EU RoHS指令と同じです。GCCにおいては技術規則に適合している製品には“G Mark”の貼付が要求されます。 “G Mark”の認証は、日本企業の場合は認定代理人が認証機関に申請することになります。 しかし、現時点でRoHS規則案は正式に公布されていません。 一方、UAEはすでにRoHS規則を運用しています。GCC RoHS規則が発効すれば、UAE RoHS規則はGCC RoHS規則と調和させることになります。 UAE RoHS規則は、対象製品や特定化学物質はEU RoHS指令と同じです。UAE RoHS規則への日本企業の対応はECASによる強制適合性評価を得てECAS マークを製品に貼付する必要があります。 ECASの適合宣言は、CAB(Conformity Assessment Body:登録認証機関)により、若干ながら運用が違いますので、日本に進出しているCABと相談することが肝要です。
UAEやサウジラビアなどは、GCC(Gulf Cooperation Council 湾岸協力会議)加盟国です。GCCは、2018年3月28日にGCC RoHS規則(Gulf Technical Regulation for Prohibition of Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment)をWTOに通告*1*2しました。 WTOのTBTによるEUのコメントとGCCの回答*3を読みますと、EU RoHS指令についての製造者としての適合宣言とGCC RoHS法の認証機関による認証への適合宣言の方法の差異は埋まりませんが、他の運用面は類似しています。
GCC RoHS規則は、GCCからGCC加盟国に宛てた技術規則で、The Gulf Cooperation Council Standardization Organization (GSO)が発行します。 GCC RoHS規則は、電気電子機器の有害物質使用制限に関するGSO技術規則(ドラフト)CDT-180024*4としてWTO通告されました。 基本的な要求内容は、EU RoHS(II)指令と同じで、電気電子機器に特定有害物質(10物質群)の含有を制限し、適合マークの貼付が要求されます。 構成は前文47文節、条項8章33条、附属書7文書となっています。
「このガルフ技術規則(Gulf Technical Regulation)は、人の健康と環境を保護するために電気電子機器における有害物質の使用を禁止し、環境リサイクルや廃電気電子機器の適切な処分について規制する。」が目的で、EU RoHS(II)指令と同様の理念となっています。
対象製品は、用語の定義(第1条)で、交流1,000V、直流1,500V以下で稼働する電気電子機器で、具体的には附属書Iに11製品群に区分し、各製品群の対象製品がリストされています。 リスト収載製品のみが対象製品と思える記述になっていますが、例えば第1製品群(大型家電)では、“Other large appliances used for refrigeration, conservation and storage of food(その他の食品の冷凍、保存、保管に使用される大型機器”“Other large appliances used for cooking and other processing of food(その他の調理、食品加工大型機器)”など、特定の製品群にだけ“Other”があります。
EU RoHS指令と同じ10物質群で、最大許容濃度(()内数値)も同じです。
GCC RoHS規則は発効日が未定ですが、特定化学物質の1.~6.と7.~10.の非含有義務を2段階の日程で行うとしています。
第3条の要件を満たしていることが証明された電気電子機器は、本規則の要件に適合するGCC標準規格に含まれる試験、測定又は評価の方法を用いて検討されるものとする。 有効なGCC標準のリストについては、GSOのWebサイト*5を参照する。 EU RoHS指令などのニューアプローチ指令と同じ考え方です。
GCCの適合マークは、GCC規格“CONFORMITY MARKINGING FOR THE GCC COUNTRIES”(The Gulf Cooperation Council (GCC) Standardization Organization (GSO):Issue No.: (5) Date: (2/21/2008))*6により規制されています。
この規則は、GCC諸国の標準化団体が発行した技術規則に規定された要件への適合性表示を要求するすべての製品に適用されます。 製品に適合マーク(G-Mark)(図)を付ける意味について、次のような説明がされています。
適合マークは 安全、公衆衛生、環境に関する技術的要件に限定されないとしています。 EUのCEマーキングは、製品の消費者、使用者の健康、安全、環境に関する保護が目的ですので、G-Markはより幅広いと言えます。 なお、G-Markは5mm以上で表示しなくてはなりません。
GCC RoHS法はWTOに通告されましたが、その後の動きは技術規則を管理するGSOのサイト*7でもDraftのままです。
GCC諸国の中でUAEはRoHS法規則を既に運用しています。GCC RoHS規則が発効すればUAE RoHS規則もGCC RoHS規則と調和されますが、現時点ではUAEの商社はUAE RoHS規則による義務を果たす必要があります。 UAE RoHS規則(電気電子機器の制限有害物質の濃度管理の首長法に関する2017年閣僚決定第10号)は2017年4月15日に公布 1)されています。
UAE RoHS規則は、2020年1月1日から全ての電気電子機器について、EU RoHS指令の6物質が制限され、カテゴリ8、9及び11製品群を除く8製品群(以下製品群はCatと略記)は10物質の制限が開始されます。
GCC RoHS規則、EU RoHS指令と同じ10物質群です。
適合評価はEU RoHS指令と類似しています。
UAE RoHS規則は、ESMA(Emirates Authority for Standardization and Metrology:エミレーツ認証局)による ECAS認証 *8が必要となります。 ECASの認証のガイド(英語版)*9も発行され、数は少ないのですが英語版のFAQ *10もあります。
i.ECASによる強制適合性評価 *11
ii. 自発的なスキームEQM(エミレーツ品質マーク)のフォームHによる適合性評価 *12
フォームHは、EUの768/2008/ECのモジュールH(総合品質保証)に相当し、ISO9001の第三者認証が必須要件となっています。日本企業にとっては、ハードルが高いフォームです。
UAE RoHS規則はEU RoHS指令に準じていますが、幾つかの点で違いがあります。 例えば、CABから要求した場合は重要なコンポーネントのテストレポートが要求されます。しかし、重要度の決定などは、CABによりますがCABの解釈が異なることを指摘 *13しているものもあります。 UAE RoHS規則は、自己宣言ながら認証が必要となり、EU RoHS指令と差異があります。 CAB/Notified BodiesはWebで公開*14されていますが、Scopeを確認する必要があります。
UAEの輸入者が代理人として、認証を実施するのであれば、技術文書を提供することで済みます。 認証を貴社で実施することを要求されるのであれば、貴社がCABに認証を申請する必要があります。CABの日本の代理店が多くありますので、相談するとよいと思います。 どちらにしても技術文書が必要です。 技術文書は、フォームA( CEマーキングのモジュールA)とIEC63000になります。IEC 63000は、EU RoHS指令の整合規格と調和していますので、内容的には流用できます。IEC 63000は引用規格にIEC62476があります。IEC62476はISO9001をベースにした有害物質のものづくり全プロセスの要求です。 技術文書はマネジメントシステムをベースとして記述する必要があります。
中小企業診断士 松浦 徹也