【監査役の職責】
監査役の職責については、監査役監査基準2条1項に「株主の負託を受けた独立の機関として取締役の職務の執行を監査することにより、企業の健全で持続的な成長を確保し、社会的信頼に応える良質な企業統治体制を確立する義務を負っている」(出所:社団法人日本監査役協会)と記されています。
大企業だけではなく、中小企業にも適正なコーポレートガバナンス(企業統治)体制の確立、コンプライアンス(法令遵守)が求められ、監査役にはそれを担保する役割を期待されています。
【監査役の権限として考えられるもの】
監査役は株主総会で選任され、原則として会社の規模にかかわらず、一般的には「取締役の職務の執行を監査する業務監査」と「計算書類等の監査を行う会計監査」の両方の権限を有するものと考えられています(会計参与がある場合、会計参与の業務も監査します)。
具体的には、監査役は
- 「取締役が職務を執行するにあたり、適正に善管注意義務、忠実義務を履行し、法令・定款違反や不当な行為を行っていないか」
- 「取締役会決議・株主総会決議に則った職務執行を行っているか」
- 「会社法が定める計算関係書類等の記載内容が、計算書類規則や企業会計原則などに則って適正に処理されているか」
などの監査を行います。
いつでも、取締役および会計参与などに事業の報告を求め、監査役設置会社の業務および財産の状況の調査をすることができます。
監査役の義務としては、取締役会出席と取締役会での意見陳述が規定されています。また、監査役は、監査の過程で取締役の職務執行に違法な事実を発見した場合、
- 取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)への報告
- 株主総会への報告
- 取締役の違法行為の差止請求
- 会社の違法行為是正および取締役の違法行為による損害賠償請求のための会社訴訟提起
などの行動をとります。
【監査役権限の限定と株主権限の強化】
非公開会社(大会社を除く)で、かつ会計監査人および監査役会のいずれも設置していない株式会社の場合、定款でその旨を定めることで、監査役の権限を会計監査に限定することができます。
定款で監査役の権限を会計監査に限定している会社では、株主が直接業務監査をできるように、株主の権限が以下のように強化されました。
- 裁判所の許可なく取締役会の議事録を閲覧することができる
- 緩和された要件下で取締役の違法行為差止請求を行使できる
- 取締役に法令・定款違反の行為がある、またはそのおそれがある場合、取締役会の招集を請求することができ、取締役会に出席し、意見を述べることができる
相続問題などを機に、友好的であった株主が敵対的な株主になるかもしれません。そのような場合、監査役の権限を会計監査だけに限定していると、上記のような株主の権限を振り回す株主がでてくる可能性があります。
【監査役の任期】
監査役の任期は原則として4年(選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする)ですが、非公開会社の場合には、定款の定めによって任期を選任後10年まで伸長することができるようになりました。