一般的に、企業「提携」と「連携」の言葉の定義に関してですが、「連携」は協力して行動をともにする関係のこと、「提携」は「連携」よりも一歩踏み込んだ協力関係になります。
今回は、「提携の話があった」ということなので、「連携≒提携」としてご説明をさせていただきます。
大企業間で提携や提携解消が行われると、新聞紙上で「〇〇の分野でA社とB社が提携した。提携を解消した」などと報道されます。この報道により、株価が大きく上下する場合があります。企業提携には、それほど大きい影響力があります。
【提携とは】
「提携」という手法には色々ありますが、以下のように整理することができます。
主に、(1)契約書を交わすことで提携する場合、(2)出資などの資本関係を伴う場合、の2つに分類することができます。
事業規模が違っても、対等の立場で利害を一致させ、目的に合った提携の形態を選択してください。
図1 提携の類型
一般的に、契約による提携の場合、大会社の事業部門単位との提携、資本移動を伴う場合には全社的な提携となります。資本提携の場合、上場企業では会計上のルールにより、その持ち分の割合によって開示等の必要があるためです。
図2 業務提携と資本提携の違い
貴社の場合、契約書ベースの提携なのか、資本提携まで踏み込んだ申し出を受けているのか分かりませんが、貴社の成長戦略を含めて考える必要があります。
出資を伴う提携の場合、一度資本提携すると資本提携解消などは難しいのでよく考えてください。
【提携のメリット・デメリットなど】
業務提携や資本提携を下記にまとめてみますので、参考にしてください。
本来は、貴社のヒアリングにもとづいたメリットやデメリットを抽出しますが、一般的な内容をまとめておきます。
表1 本ケースにおける提携のメリット・デメリット
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業務(事業)提携 |
資本提携 |
| 特徴 |
- 企業聞の信頼関係を基に、共同研究開発や販売活動など、お互いの利益になる協力関係を契約する。
- お互いの経営資源の不足を補完する、強みにさらに磨きをかける、コスト削減を図る等、シナジーの発揮を目的とする。
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- 一方的な資本受入れや資本相互持合いなどのケースがある。
- 経営支配権を有しない程度(持ち株比率10%程度が目安)に提携先企業の株式を保有することを通じて、事業上の協力関係を築くケースや一定の経営権の取得を目指して資本を投下するケースがある。
- 資本提携は業務提携よりも企業間の結びつきが強くなる。信頼関係というよりは、経営権が発動できることに意義がある。
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| メリット |
- 上場企業の販売力などを活用することが期待できる。
- 経営資源の補完が期待できる。
- 契約内容の遂行に留意すれば良く、お互いの経営に対して独立性が保てる。
- 提携解消が資本提携と比較して容易である。
- 対等な関係が基本である。
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- 相手企業の開発・販売等に関する経営資源やネットワーク、ノウハウの提供が期待できる。
- 独自で事業展開するよりも早期の事業立ち上げが期待できる。
- 組織面、財務面の整備ができる。
- 財務面の支援が期待できる。
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| デメリット |
- 温度差がある場合、企業間で意見の対立や主導権争いが起こることがある。
- 責任の所在が不明確になる場合がある。
- 提携解消のタイミングが不一致になる場合がある。
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- 開発や利益等の成果がみられないと、株主の立場から経営に対して口を出される可能性がある。
- 出資比率によっては経営戦略立案に対し、出資者の意向を無視できず、機動的な経営がしにくくなる可能性がある。
- 出資比率によって、内部統制、IFRS対応等の負担が増加する。
- 出資比率によって、役員の受け入れが必要となる。
- ノウハウ等の機密情報の開示が必要となる。
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出所:筆者作成
まず、「何のために提携するのか」提携の目的を明確にしてください。
提携する範囲、目標、スケジュールなどを検討し、目的達成のためにどのような形態が良いのか検討してください。また、契約書を作成する場合は、必要な資金負担の割合や提携解消の条件・タイミング・負担割合などの事項を盛り込んでおくと良いと思います。
資本提携の場合には、中期的な成長戦略と資本政策の策定も必要です。上場企業の一事業部の位置づけで存続を図るのか、IPOなどを目指すのか、経営権をどのように確保するのか、など短期間にさまざまな角度から検討する必要があります。
経営権を確保するためには、議決権の3分の2以上を貴社または貴社の関係者で保有することが必須です。
株価算定だけでなく経営戦略立案など判断の難しい部分もありますが、多角的に最良の提携方法を検討してみてください。貴社だけで、判断が難しい場合、ぜひ信頼のできる専門家に相談してみてください。
提携する時には、ポジティブな考えだけで進めてしまいがちですが、行き詰った場合でも企業の存続を図っていかなければなりません。その時の検討も忘れずにしておきましょう。