冷媒とは、冷蔵庫やエアコンなど機器の中で、熱を温度の低い所から高い所へ移動させるために使用される流体の総称です。液体が気体になるときには周囲から熱を奪います。逆に、気体が液体になるときには周囲に熱を放出します。多くの機器では、液体が気化するときに周囲の熱を奪うという性質を利用して、冷媒の液化と気化のサイクル(蒸気圧縮冷凍サイクル(注))を繰り返しながら、冷却しています。
(注)冷凍サイクルには、蒸気圧縮冷凍サイクル以外にも、ガス冷凍サイクル、吸収式冷凍サイクル、熱電冷凍システムなどがあります。
ジエチルエーテルやアンモニアなど初期に用いられた冷媒には引火性や毒性の強い危険なものが多かったので、安全な冷媒の開発は大きな課題でした。
1920年代に米国で炭素、フッ素と塩素だけから成るフロン族(CFC)が開発されました。代表的なフロン族の冷媒はCFC-12(R-12)であり、不燃で毒性が殆ど無いものでしたが、オゾン層を致命的に破壊し生物に重大な影響を与えることが1970年代に明らかになりました。その後、CFC族の代替として登場したのがHCFC族で、代表的なHCFC族の冷媒はHCFC-22(R-22)です。HCFC族はCFC族に水素を含ませることでオゾン層を破壊する力は弱くはなっていますが、ゼロではありません。CFC族とHCFC族は特定フロンと呼ばれ、その生産は先進国では2020年までに全廃されることになっています。
現時点での冷媒の主流は水素とフッ素と炭素の化合物(HFC:代替フロン)であり、代表的なHFC族の冷媒はHFC-410A(R-410A:HFC-32とHFC-125の混合物)です。代替フロンは塩素を含まないためオゾン層破壊係数(ODP)はゼロですが、温室効果(GWP:温暖化係数)は二酸化炭素の140~11,700倍もあり、代替フロンの適正管理と新たな冷媒の開発が求められ、国を挙げ取り組んでいるところです(下図:出典は経済産業省資料)。
※1:オゾン層保護法等に規定された値
※2:IPCC第4次報告書100年値(<>は温暖化対策推進法施行令上の値、( )はそれ以外の数値)
(これまでのフロン対策の経緯)
次世代の冷媒に要求される特性として、潜熱が大きい、圧力損失が小さい、化学的安定性、不燃性、毒性が無い、ODPがゼロ、GWPが小さい、経済的に安価、オイルとの相性が良い、電気的に絶縁物、などです。ただ、例えば、ODPの小さいことは、大気中での分解性が要求されるため、不燃性や化学的安定性と相反するなど全てを満足する冷媒を見出すのは極めて困難で、用途・目的により種々の冷媒が使われるようになるかも知れません。