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2020年 9月 18日
省エネ法に基づく工場等判断基準は、「基準部分」と「目標部分」から成っています。 「基準部分」には、工場等が遵守すべき事項が記載されています。「目標部分」には、省エネの目標値とそれを達成するために取り組むべき措置が記載されています。 令和2年4月1日(施行)の改正により、最新の技術水準に基づいて目標部分に追加された項目があります。また、従来、目標部分に含まれていた項目のうち、広く導入が進んだ項目は、基準部分に移されました。 変更内容のうち、主なものは以下のとおりです。
はじめに、「工場等」とは、「工場又は事務所その他の事業場」をいいます。この工場等判断基準は、経済産業大臣が、工場等でエネルギーを使用して事業を行う事業者に向けて、省エネルギーの目標を達成するため取り組むべき措置等に関して判断の基準を公表したものです。
なお、省エネルギーの進捗度などを記した定期報告書の提出が義務付けられているのは、一定量以上エネルギーを使用する事業者ですが、この工場等判断基準はエネルギーを使用するすべての事業者が対象となっています。 工場等判断基準の構成は図1のようになっており、その内容は次のとおりです。
(1)省エネ大賞や最新の省エネ診断の事例等を参考に、大きな省エネポテンシャルがあり、かつ今後普及が期待できる設備等として目標部分に追加された項目があります。
ここでは、以下のような新たな設備・システムが追加されています。
*1 デシカント外気処理機:図2のような、空気中の湿分を乾燥剤により処理するシステム *2 タスク・アンビエント空気調和設備:作業(タスク)のための空調とそれを取り巻く環境(アンビエント)の空調から成る空調の設備 *3 熱源のハイブリッド化:ガスエネルギー+電気エネルギーなど、2つ以上のエネルギー源を組み合わせ省エネ化すること。
(2)再生エネルギーの活用や他の事業者と連携した省エネルギーへの取り組みに関する内容が目標部分に追記されました。
(3)従来の「情報技術の活用」については、「IoT・AI の活用」という表記になり、新たな項目が追加されました。
目標部分の記載のうち、広く導入されるようになった省エネ対策については、今後は事業者に遵守を求める項目とするため、基準部分に移行されました。
基準部分の 2-2 工場等の(4)熱の動力等への変換の合理化に「蒸気駆動の動力設備」の項が追加されました。 これは、熱を動力に変換する設備のうち電気を使用しない設備として、蒸気駆動のポンプやコンプレッサー等が当てはまるにもかかわらず、工場判断基準に規定されていなかったためです。
基準部分では、2-1 事務所と 2-2 工場等の両方で、「〇〇設備の新設に当たっての措置」という項目がありました。 これが今回の改正で「〇〇設備の新設・更新に当たっての措置」のように、「更新」が加わりました。 これは、新設のときのみならず、更新の際にも設備の省エネ性能を高めることが必要であるためです。
工場等判断基準はエネルギーを使用するすべての事業者にとって、省エネルギーのための羅針盤のようなものであるといえます。すべての業種の、日常の設備管理から新設・更新の検討時までカバーされています。 今回の改正を機会に、改めて工場等判断基準に目を通していただければ、基準部分で実施していなかったこと、目標部分で改善の着眼点などが見つかると思われます。
【参考資料】 1) 工場等におけるエネルギーの使用の合理化等に関する事業者の判断の基準、令和 2 年 3 月 31 日 経済産業省 告示第 69 号 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/summary/pdf/190401_handankijun.pdf 2) 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー課、工場等判断基準及び中⾧期計画作成指針の改正について.月刊 省エネルギー、2020,vol 72,No.8、p.44-46 3) 昭和鉄工(株)カタログ (1901SS-2000H)、「ヒートポンプ外気処理機」、p.14
エネルギー管理士 本橋 孝久