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2020年 8月 17日
冷水の温度が高いほど冷水をつくる冷凍機の消費電力は下がります。冷房用機器は、通常、盛夏の冷房のピーク時に対応できるように(ある程度の余裕率を掛けて)能力が設定されています。この時期以外であれば、冷房能力に余裕があり、冷水の温度を上げることにより冷凍機の消費電力が下がります。
ビル、施設や工場の空調は、マルチパッケージ型空調システム等を使用した「個別空調」と、冷温水をつくる熱源機器と空調機から成る「セントラル空調」に分けられます。本件は「セントラル空調」の場合の冷房に関するものです。
冷房の場合、図1のように、冷凍機で冷水をつくり、空調機の冷水コイルに流します。室内から戻る空気と外気から取り入れた空気をこの冷水コイルの間を通すことにより冷やします。この冷えた空気を室内に送ります。 空調システムは、通常、冷凍機出口の水温を7℃に設定して納入されています。冷凍機が現場で運転されている際もそのまま、常時7℃としている例を多く見かけます。
ここで、冷水出口温度と冷凍機の消費電力の関係を示すものとして図2があります。冷凍機にはインバータを経由して電気を供給していますので、図2の縦軸のインバータ入力の変化は、冷凍機への入力の変化を表していると考えられます。傾向として、冷水出口温度が上がるのに伴ってインバーター入力が下がっているのがわかります。
具体的には、図2で、冷水出口温度を通常の7℃から9℃に上げると、インバータ入力が7.5%減少することを示しています。これは、冷凍機の消費電力が7.5%減少していることになります。
図2はターボ冷凍機の場合ですが、吸収冷温水機でも、冷水出口温度を7℃から9℃に上げることにより、ガス消費量が7%減少した事例もあります。1)
このように、冷水出口温度を上げることは省エネ効果が大きいため、実施を検討したいものです。盛夏の冷房がピークになる時期を考慮して7℃に設定されていますので、夏季の盛夏時以外、および中間季であれば、水温を上げられます。
なお、水温を上げた場合、図1の空調機冷水コイルでの熱交換量が減少するのをカバーするため、制御システムが冷水ポンプの流量を増し、冷水の循環量を増やすことがあります。しかし、一般的に、冷凍機の消費電力の減少の方が冷水ポンプの消費電力の増加より大きいため、全体として省エネルギーになります。2)
【参考資料】 1)(一財)省エネルギーセンター.2019 ビル省エネ手帳 2)(一財)省エネルギーセンター.2008 新版 省エネチューニングマニュアル
エネルギー管理士 本橋 孝久