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強靱化シンポジウムをオンライン開催:中小機構

2021年 2月 25日

中小機構は2月24日、頻発する自然災害や新型コロナウイルス感染症に対する事業継続力強化を促すため、2020年度「第2回中小企業強靱化シンポジウム」(日本政策金融公庫、商工中金など共催、経済産業省中小企業庁など後援)をオンラインで開催した。未曽有の大災害である東日本大震災が発生して3月で10年となるのを機に、被災企業の経営者らが、大きな被害を受けながらも事業の早期再開に成功した実例などを紹介した。1000人を超えるライブ配信の申し込みがあった。

講演する齊藤会長
講演する齊藤会長

まず岩手県の銘菓「かもめの玉子」を製造する、さいとう製菓(岩手県大船渡市)の齊藤俊明会長が「事業と地域を守る事業継続マネジメントとは」と題して講演した。齊藤会長は1960年のチリ地震と2011年の東日本大震災による2度の津波を経験しており、11年の災害で本社と5店舗が津波で流失した様子を紹介。「当初はすべて終わったと観念したが、お客さまから多くの励ましの手紙をいただき、再起を決意した」と語った。

被災後4日目に約3000万円相当となる在庫商品を各避難所に配布して感謝されたことや、製造再開に当たり原料の生卵の調達に苦労したこと、再開後は売り上げが一気に回復し、ネット通販では売り上げが倍増したことなどを披露。厳しい時代を生き残るためには「信頼」こそが最も重要だとし、「コロナ禍の環境でも必ずニーズはあり、ニーズに対応できる企業こそ大きなチャンスを得られる」と述べた。

パネル討論に参加した赤羽社長(左)と幸徳専務(中央)
パネル討論に参加した赤羽社長(左)と幸徳専務(中央)

続いて、ティ・ディ・シー(宮城県利府町、精密金属加工)の赤羽優子社長と、八幡台やまたまや(福島県いわき市、冠婚葬祭業)の幸徳信市専務が「危機は乗り越えられる—強靱な経営のススメ」をテーマにパネル討論した。

赤羽社長は、震災時に工場建屋や設備の損害が最小限で済んだことを紹介し、「あらかじめ近隣に断層が存在することを知っていた父が、工場建設の際にそれに対応するレイアウトにしていたことを後で知って驚いた」と話した。一方で、自社内にサーバーを置いていたため、長期の停電により生産・顧客情報が分からなくなった失敗談を話し、その後、情報をクラウド化したことで「コロナ禍のリモート・在宅勤務もスムーズに移行できた」と語った。

あいさつする梶山経産相
あいさつする梶山経産相

幸徳専務は、震災時の避難所に指定されていた自社施設が損壊し、保有バスをすべて集めて約400人に4日間待機してもらったことや、亡くなった人のために一時的に葬祭業に専念する決断をした際、原発事故で自主避難勧告が出ている中で多くの従業員が残ってくれたエピソードを話した。現在策定に取り組んでいる「連携事業継続力強化計画」については、「絵にかいた餅にならないように、実行可能なものにすることが大事だ」と述べた。

小此木防災・国土強靱化担当相
小此木防災・国土強靱化担当相

シンポジウムに先立ち、梶山弘志経済産業相は「自然災害やコロナの影響で大変厳しい状況にある中小企業の事業継続力の強化を全力で支援していく」と強調。

小此木八郎防災・国土強靭化担当相は「頻発する地震や大雪などにより防災意識は確実に高まっており、震災を経験された生の声を聴く貴重な機会だ」と話した。主催する中小機構の豊永厚志理事長は「被災企業の皆さんがどのように立ち直られたか参考にしてほしい」とあいさつした。

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