イベント

中小機構 ベンチャーの成長を加速化する「FASTAR」で初ピッチ

2020年 11月 25日

セルジェンテックのピッチ
セルジェンテックのピッチ

中小機構は11月24日、東京都港区の赤坂インターシティコンファレンスで、ベンチャー・中小企業の成長加速化を支援するアクセラレーションプログラム「FASTAR」のピッチイベントを初めて開催した。新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、会場には招待した約40人の参集にとどめたが、オンラインで約220人が視聴。約260人を集客して支援した。

「FASTAR」は2019年の開始。将来の株式公開(IPO)や大手企業との事業提携を視野に、成長産業分野を見据えた技術・サービスを持つ事業優位性のある企業、グローバル展開の可能性を秘めた企業、新規事業(第2創業)で地域中核企業を目指す企業などの成長を、専門家の伴走支援をはじめとする多彩なプログラムでサポートしてきた。

「1st DemoDay」と題した同ピッチイベントは、第1期(19年秋)のプログラムに参加した15社中13社が、半年から1年間のプログラムの受講の成果でブラッシュアップされた成長戦略・事業計画をプレゼンテーション。投資家らに自社の強みなどをPRし、支援を求めた。

中小機構のインキュベーション施設である農工大・多摩小金井ベンチャーポートに入居しているコネクテッドロボティクスは、「調理をロボットで革新する」をテーマに、飲食店での調理に特化したロボットサービスを提供している。

ディープラーニングを活用したセンシングと学習技術の組み合わせで既製の産業用ロボットを知能化し、キッチンで働く従業員の仕事を支援すると同時に、人件費の大幅な削減も実現する。

自らも飲食店で働いた経験を持つ沢登哲也代表取締役CEOは、「外食産業における人手不足はますます深刻化している。調理の省力化や自動化に貢献したい。増加が予見される競合他社には、ソフトウエアを知財化することで対処していく」などと語った。

同じく中小機構のインキュベーション施設である千葉大亥鼻イノベーションプラザに入居しているセルジェンテックは、ヒト脂肪細胞を使用した遺伝子導入細胞医薬品(GMAC)の研究開発に取り組んでいる。

患者から採取した脂肪細胞にタンパク質や酵素を生成する遺伝子を組み込んだうえで自家移植することにより、患者が必要とするタンパク質や酵素を体内で長期的に分泌し続けられるようになることが期待できる。善玉HDLコレステロールを上昇させる「LCAT」欠損症治療用GMACを17年に世界に先駆けて移植。効果は今も持続しているという。

麻生雅是代表取締役社長は、「GMACは、細胞に導入する遺伝子を変えることで、さまざまな疾患治療に応用できる。薬を飲み続け、通院し続ける日々から難病患者を解放したい。22年の上場を目指している」などとPRした。

各社のピッチに先立ち、貸し会議室から野球場まで各種レンタルスペースの賃借サービスを提供しているスペースマーケットの重松大輔代表取締役による特別講演「~IPO とスタートアップ発のトレンドの作り方~」も実施した。

重松氏は、平日昼間の結構式場や週末のセミナールーム、増え続ける空き家、廃校舎などの稼働率などを引き上げたいと思い立ったことが起業のきっかけと自己紹介。14年に約100件でサービスを開始し、15年に自らが協会の代表理事に就いて普及させたシェアリングエコノミーなどを追い風に成長してきた。

3度の資金調達などを経て、19年12月に東証マザーズに上場を果たした経緯を振り返り、「多くのピッチに登壇してシーズを得たこと」「最高財務責任者(CFO)を招き入れて強い管理体制を構築できたこと」などをターニングポイントに挙げた。

一方、初の決算を発表した直後の3月にコロナショックに見舞われ、業績が悪化したことから「新規上場はタイミングが重要。企業価値を上げながら、できる時にしておくべき。当社の上場が数カ月遅れていたら、あと数年は上場できなかっただろう」と述べ、上場を目指す経営者には、本気で準備するよう促した。

「FASTAR」では、20 年度支援先企業の2次公募を12月11日まで受け付けている。