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支援者の功績にも光:中小機構「Japan Venture Awards 2020」

2020年 2月 27日

パネルディスカッションに参加した手嶋氏(中央)と野内氏(右)
パネルディスカッションに参加した手嶋氏(中央)と野内氏(右)

「Japan Venture Awards 2020」を主催した中小機構は、式典でベンチャー育成に貢献した人材に功労感謝状を贈呈し、ベンチャーの成長に多大な貢献を果たしたことへの謝意を表した。同賞は今年で20年目だが、ベンチャーを支援する同機構のファンド出資事業は21年目。これまでに約300のファンド組成に参加して、ベンチャーの成長を後押ししてきた。功労感謝状の贈呈は、支援者がベンチャー育成の裾野を広げてきた功績に報いたものだ。

表彰式を彩るプログラムでも支援者に光を当てた。昨年のベンチャーキャピタリスト奨励賞受賞者で、フリマアプリを運営しているメルカリへの投資実績を持つ手嶋浩己・XTech Ventures 共同創業者兼ジェネラルパートナーと、インターネットによる印刷サービスを展開しているラクスルへの投資実績を持つ野内敦・オプトベンチャーズ代表取締役の2人を迎えたパネルディスカッションを実施して、支援者の声を伝えることにも尽力した。

パネルディスカッションは、谷本有香・Forbes JAPAN副編集長兼チーフコミュニケーションディレクターの司会で進行した。手嶋氏はメルカリに投資した決め手を「スマホのアプリはオークションサイトに取って代わり、スマホビジネスの成長株になると確信していた。当たればホームランになると思った」と回想した。

野内氏は、自身に持ち込まれたメルカリへの投資話を「オークションサイトがあるという理由で断ってしまって、後悔している」ことを明かしたうえで、当時研究していたシェアリングエコノミーの普及を信じて、印刷設備を持たないラクスルのビジネスモデルを評価したと同社への投資を決めた理由を述べた。

手嶋氏は、投資を決める際には「この人なら勝ち目があると思えるかどうかや、何をどう始めようとしているかを見る」として、経営者の本質的なキャラクターと事業領域とのマッチングや事業の入り口と入り方、人材の採用力などを判断基準にしているとした。「事業の目標は誰でも語れる」ため、最重要事項ではないという。

野内氏は、投資判断基準を「伴走支援者の話に耳を傾ける力がある経営者と、経営者の弱みを補える経営チームがいるかどうかで半分決まる。あとは市場ニーズとビジネスモデルが伴うかどうか」と説明。「ビジネスモデルの構築に長けている人ほど、事業の収益性もよく見ている」と優れた経営者特有の傾向も話した。

イグジットのうちM&Aに関して野内氏は、買い手となる大手企業に合わせた協議が必要とした。「売り手は現金化して終わり、買い手は新規事業を入手して終わりでなく、対象企業をともに成長に導く意識が幸せな結果をもたらすだろう」と補足した。

ベンチャー経営者が投資要請で2人に連絡する際には、異口同音に適切なルートからの紹介を求めた。「企画書を添付したメールだけ送信してくる人がいるが、リターンを要求する私たちは本気度を問う」「上場を目指すなら行動力を形で表すべき」「私たちを紹介してくれそうな人に、自社事業の魅力を語らせる力は必要」とも言い添えた。

起業を目指すには「伴走支援者を増やすことが第一歩」「デジタル化されていない大きな産業を狙うべき」などと助言。「日本の市場に上場できない企業のグローバル展開は難しい」として、東証マザーズ上場を最初の目標に推奨した。