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多彩なプログラムで起業家支援:中小機構「Japan Venture Awards 2020」

2020年 2月 26日

「クロストーク」の小泉氏(左)
「クロストーク」の小泉氏(左)

桜庭喜行・Varinos代表取締役の経済産業大臣賞受賞で幕を閉じた中小機構の「Japan Venture Awards 2020」では、表彰式を彩る多彩なプログラムを併催して、ベンチャー企業支援に努めた。

式典のオープニングを飾った「クロストーク」は、フリマアプリを展開しているメルカリの小泉文明取締役President(会長)を迎えた「~メルカリ流 倍速経営の組織づくり~」と題する講演。日経BP「日経ビジネス」副編集長の原隆氏と対談する形式で進行した。

小泉氏は、アプリ分野進出では後発組だった自社が、事業化してほどなく市場を席巻した理由について「市場という大きなパイを連携企業と分け合う戦略を立てた。連携希望企業には、人生でやりたいことを聞いて、成し遂げたい夢の部分でシンクロし、相思相愛の関係になれるかどうか確かめた。自社単独ですべての事業をやり遂げたい人は誘わなかった」などとパートナー企業選定が成長の決め手になったことを明かした。

従業員の仕事は、会社が定めた方法に基づいて評価している。「上司や担当者の好き嫌いが反映されがちな人為的な評価手法では、従業員のストレスがかさむだけ」と一般的な人事考課には異を唱えた。志願者にとって重要な福利厚生については一定でなく、幼児保育やベビーシッター代、不妊治療代など個人に不都合が生じた場合に支援策を講じているという。

今後の課題には、従業員の増加に比例して業績が向上しているとは限らないとして、人材の能力を発揮しきれる環境整備の強化を挙げた。起業家には「このままだと良くない方向に向かうと感じていることは、良くない方向に大抵向かう。従業員の内なる声に誠実に向き合って成長すべき」とエールを送った。

「クロージング・キーノート」の山﨑氏
「クロージング・キーノート」の山﨑氏

式典を締めくくったのは、山﨑敦義・TBM代表取締役による「クロージング・キーノート」。「石灰石を主原料にした紙やプラスチックに代わる新素材『LIMEX(ライメックス)』の可能性」と題して、自社の成長ストーリーを披露した。

中学校を卒業し、大工見習として社会に出た山崎氏。30代で初めて訪れた欧州で「何百年も前に何百年もかけてつくった建造物が維持されている姿を見て感動した」ことから、「今から大手企業には勤められないかもしれないが、何百年と続く会社は作れるかもしれない」と思い立ち、世界に豊富にある石灰石を活用した台湾の紙「ストーンペーパー」の輸入元としてエコビジネスに参入した。

が、重くて高い同製品の売り上げは伸び悩み大赤字。関係機関から督促状を受け取るほどの窮状に追い込まれた。当時出会った元日本製紙専務取締役で現同社取締役会長、角祐一郎氏の助言で自社開発を決意し、「ダメ元で申請した」経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業「先端技術実証・評価設備整備等補助金」に採択されたことで展望が開ける。

補助金を基に宮城県白石市に建てた工場で製品化した「ストーンペーパー」をベースとする紙やプラスチックの代替素材「LIMEX」は市場に受け入れられ、今では国内5200超の企業に採用されるまでになっている。

世界的に求められているサステナビリティやプラスチック規制に応えるため、今後はアップサイクル(創造的再利用)に挑戦していく。LIMEX製品は破砕してペレットを製造~再成形できることから、製品化には既存の樹脂加工工場の設備を転用できるという。

500超の海外企業からも引き合いがあることなどから、LIMEXの循環型モデルをグローバルで推進していく方針。紙製品の代替による水・森林資源の保全、プラスチックの代替による海洋プラスチックごみの削減、石灰石の使用による材料調達時の温室効果ガス排出抑制の3分野で、世界のトッププレーヤーになるとコミットしている。