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海外展開活用術探る:特許庁「グローバル知財戦略フォーラム2020」

2020年 1月 30日

各社が知財の効力を披露したパネルディスカッションの様子
各社が知財の効力を披露したパネルディスカッション

特許庁と工業所有権情報・研修館(INPIT)は1月28日、東京都港区のTKPガーデンシティ品川で、国内外における知財活動に関する情報収集の場や、知財担当者らのネットワーク形成に寄与する機会を提供する「グローバル知財戦略フォーラム2020~世界で戦うためのビジネス戦略~」を共催した。特許庁や大企業の知財担当者による講演のほか、中小企業の知財活動をテーマにしたパネルディスカッションも展開した。

「地域中小企業の知的財産を活用した海外戦略~地域発の技術を世界に届ける!~」と題したパネルディスカッションには、「輸出・eコマース」「海外事業拠点の構築」などの分野で様々な支援サービスを提供するINPITの「海外展開知財支援窓口」を活用して成果をあげた企業の代表者ら3人が登壇。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの肥塚直人知的財産コンサルティング室主任研究員の司会で進行した。

主力とする直径1mmのプラスチック歯車の技術を足掛かりに医療機器分野に参入したアイカムス・ラボ(岩手県盛岡市)の片野圭二代表取締役は、「自社の超微細な歯車はカメラのオートフォーカス機構に採用されているものの、部品ビジネスには競合他社とのシェア争奪戦に巻き込まれる恐れが伴うため、コア技術を知財で守りながら開発した独自製品で医療機器分野に参入した」と説明。「海外進出では商社を活用したくなかったため、契約書の作成で助言を得られたことが代理店契約につながった」と支援の効果を報告した。

切れ味と耐久性に優れたドリルで国際(PCT)出願手続きを進めているビック・ツール(鳥取県日吉津村)の木村勝世執行役員技術開発本部長は、INPITが派遣した専門家に商標の重要性を指摘されて認識し、国内と進出先の国に商標を出願して権利化したと自社の海外展開対応策を紹介。「取得済みの一部の特許が10年後に失効するため、対応策でも指導を受けた」と語った。社内に知財チームを設置したことで、知財戦略の意識が全社的に高揚した効果もあったとした。

節水できる蛇口ノズルを開発したDG TAKANO(大阪府東大阪市)の高野雅彰代表取締役は「社会に貢献したければ特許を取得することなく、技術を広く公開すべき。技術に自信があれば特許を取得することによって一部の情報を公開せざるを得ない道を選ばず、自社でノウハウを秘匿すべき」としたうえで、「下請け企業の社長を親に持ったことで、大手企業同士の権利闘争水準は極めて高いことを知っているだけに、大手企業と交渉するためにも自社の権利は特許で守るべき。権利を取得することで商談に臨める」と持論を展開した。

「自社の節水蛇口は父が開発したガスコックの技術を受け継いだに過ぎない」として、同製品に追加した意匠デザインの効力を強調。ブランドバッグや羽のない扇風機が、ほぼ同じ性能の汎用品と比べて高価であるにもかかわらず売れている現状を指摘し、多くの日本企業が強みとする技術部分の市場評価は必ずしも高くないと主張。デザインで多彩なアイデアを得るためにも、異なる文化的背景事情にある外国人材を多数採用していることも明かした。うち半数が同社の100%子会社の代表取締役として帰国しているため、海外進出が果たせているとした。

他方、海外展開に伴う知財戦略には高額の費用がかかるとして、3者とも手厚い支援を支援機関に要請。技術向上に本腰を入れれば入れるほど開発期間も長期化するとして、補助申請期間の柔軟な延長にも理解を求めた。