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SDGsは食品産業と密接:農水省セミナー

2019年 10月 15日

満席となった会場の様子
満席となった会場

 農林水産省は10月11日、東京都千代田区の同省講堂で「SDGs×食品産業」セミナーを開催した。元食料産業局企画課企画官で、10月1日付けで内閣府に出向した河合亮子・政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付革新的研究開発推進プログラム担当参事官による食品産業とSDGsのつながりを説明する講演に、会場を満席にした約200人の食品産業関係者が聞き入った。

 河合参事官は、2030年までには気温上昇による農産物の減収・品質低下、大規模災害の発生による生活・作業環境の悪化、世界人口増加による資源の争奪戦、日本の人口減少による労働力不足や国内需要の減退などが起こり、人類が経験したことのない世界に変わると説明したうえで、SDGsの前提となっている文言「我々の世界を変革(トランスフォーム)する」に着目し、アメリカ映画トランスフォーマーを引き合いに「SDGsは、ボロボロの車が凄いロボットに変わるほどの大きな変革を必要とする目標であると理解している」と述べた。

 環境悪化は、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリ氏の活動が気候ストライキとなって世界に拡大したことに象徴されるように、次世代を担う若者にとっては極めて深刻な問題である一方、SDGs経営は人材・顧客獲得の重要なカギになるとした。

 長野県のSDGs推進企業登録制度を巡っては賛否が別れているとしながらも、自社の取り組みを確認できる「セルフチェックシート」は、自社の弱点を知ることができると同時にSDGsを学べる構成になっているとして試行を勧めた。

 SDGs達成には、サプライチェーン全体を見て社会全体の問題を解決する協働意識などを求めた。過重労働に耐えるのが当然であるかのような考え方をいまだに持っている社内の“ベテラン”が一番の抵抗勢力であるとして、環境意識のあるブラック企業になってはいけないと強調。うわべだけの白塗りでごまかした「SDGsウォッシュ」にならないよう促した。

 農林水産省時代に手掛けた「SDGs×食品産業」特設サイトを紹介しながら、SDGsに取り組んだ理由を自身が企業に聞いたインタビューを振り返り、SDGsの目指すものと会社の方向性が一致していたとの回答が多かったことから、SDGsは企業理念の強化につながるとした。

 多数の食品関係企業の取り組みを個別に見ながら、17ある目標に当てはめてみたところ「すべて埋まった」として、食品産業はSDGsのすべてにかかる稀な産業分野であることから、達成に一体的な協力を求めた。

 河合参事官降壇後は、日本水産と不二製油グループ本社の担当者が、それぞれのSDGsに関する取り組みを概説した。