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中小企業の秘密情報漏えい対策術伝授:経産省セミナー

2019年 9月 25日

満席となった会場の様子
満席となった会場

 経済産業省は9月24日、東京商工会議所と連携し、東京都千代田区のステーションコンファレンス東京で「中小企業の技術流出・防止管理強化セミナー」を開催した。会場は、企業の競争力と収益を守るために取り組むべきポイントを理解しようと集まった中小企業の経営者や法務担当者ら約70人で満席となった。

 グローバル化の進展や取引の多様化、技術を知りうる人材の国境を越えた流動化などを背景事情として、中小企業の情報流出が懸念されている。企業秘密が流出して競合他社に利用されれば、技術開発に見合った収益が得られなくなる。とりわけ軍事転用できる技術情報が海外に漏れた場合は、国家の安全保障が脅かされかねない。

 セミナーでは、同省知的財産政策室の関優志調査官が、こうした懸念を抱きながら秘密情報の漏えい対策術を伝授した。従業員らの情報への接近を制御するため、アクセス権を設定して秘密情報を保存したパソコンを不必要にネット環境につながないことなどが肝要として、私用USBメモリーの使用禁止、防犯カメラの設置、秘密保持契約の締結を勧めた。ワーク・ライフ・バランスなどで、社員のやる気を高めることによる転職防止なども有効とした。

 退職者からの情報漏えい事件が非常に多いと指摘したうえで、従業員とは入社時に秘密保持契約を結び、事業のキーパーソンとは競業避止義務契約を結んで企業に不利益となる転職の恐れを排除することも検討すべきとした。

 健全な事業活動を展開しているにもかかわらず、他社から秘密情報を侵害されたと訴えられるケースもあることから、自社の独自情報であることを立証できるよう、情報の取得過程や更新履歴の保管、共同研究・開発時の自社情報との分離管理を勧めた。

 秘密情報が漏えいした場合を想定して、営業秘密は不正競争防止法上の保護を受けられる場合があると紹介。適用の要件となる「情報を秘密として管理していること」「有用な営業・技術上の情報であること」「公然と知られていないこと」の3点を常時満たしているべきとした。これらの対策を網羅した同省の「秘密情報の保護ハンドブック」の積極活用も促した。

 関調査官の講演に先立ち、識名朝恵・安全保障貿易管理自主管理促進アドバイザーが安全保障貿易管理の基本事項を説明。安全保障貿易管理とは、国際的な輸出管理の枠組みや関係条約に基づいて、高度な貨物や技術が懸念国やテロリストに渡らないよう、各国が連携して厳格に輸出を管理し、安全保障を実現することと概説した。

 とりわけ軍と取引している企業との取引では、自社の部品が大量破壊兵器などに利用される恐れがあることから、同省の規制リストを参照して、輸出許可の必要性を確認すべきなどと強調した。

 同セミナーは、同省が東商やジェトロなどと連携して今年6月から年度末まで全国で24回開催する。