中小機構に企業連携で支援求める:イスラエル経産省局長インタビュー

2019年 7月 3日

イゲル局長(右)とアッシャー公使

 中小機構が7月1日に主催した商談会「イスラエル企業ビジネスマッチング デジタルヘルスケア分野等」に参加する企業団に同行して来日した同国経済産業省海外投資産業協力局のジヴァ・イゲル局長が、駐日イスラエル大使館のノア・アッシャー経済公使とともに同機構の独占インタビューに応じた。両国の連携策や同機構に期待することなどを語った。

——イスラエルの概況についてお聞かせください

イゲル「GDP(国内総生産)は3%以上の成長率があり、失業率は4%程度ありますが下がっています。中央銀行と政府が上手く連携して経済危機にいつも備えていることによる底堅い経済力が特徴です。2008年のリーマンショックでもGDPが下がらなかった数少ない国の一つです」

アッシャー「ハイテク産業が経済の原動力となっています。人口868万人の国が革新的な技術を主力とするスタートアップ企業を6000社以上輩出していることは特筆に価するでしょう。人口に占める創業比率の高さは世界一です。政府の推進しているエコシステムも機能しています」

——イスラエル政府のエコステムとは、どのような政策でしょうか?

イゲル「政府が経済発展、教育レベルの高度化、人材育成、研究開発力強化の4つの重点目標を達成するために、産官学の緊密な連携のもと総力を挙げている政策です。特に研究開発にはGDPの4.2%を投じて支援しています」

——イスラエルの主要産業は?

アッシャー「ハイテク産業のうち、とりわけ水関連、生命科学、デジタルヘルスケアに強みがあります。自動車や鉄鋼などの製造業はありませんが、関連するソフトウェアの開発で世界に進出しています」

——イスラエルの中小企業の特徴をおしえてください

イゲル「人材育成や研究開発で政府の手厚い支援を受けて成長しています。経営規模が小さくても高い技術力を活かしてグローバル企業と連携している企業が350社以上あります」

——中小機構が商談会の対象としたデジタルヘルスケア産業が成長した理由などをお聞かせください

イゲル「医療・健康分野でデータとテクノロジーを組み合わせたデジタルヘルスケアという新たな領域の開拓に、政府がエコシステムを活用して多大な資金を投じてきました。医療機関が古くから研究開発に熱心だったことも起因しています」

アッシャー「デジタル技術を導入した日本をはじめとする海外企業との連携で多くの相乗効果が得られています。時には競合相手になりますが、互いに協力し合える良好な関係が築けています。少子高齢化が進む日本では、イスラエル企業が日本のデジタルヘルスケア産業に貢献するでしょう」

イゲル「日本とイスラエル両国の経済産業省が14年7月に産業R&D(研究開発)分野で協力する覚書を交わしたことや、17年5月にイノベーションパートナーシップ(JIIN)を結んだことも大きな揚力になっています」

——イノベーションパートナーシップの成果には、どのようなものがありますか?

アッシャー「日本企業と連携するイスラエル企業が明らかに増えています。日本から多数の企業関係者をイスラエルに招いて、商談会とビジネスミーティングを今年の3月と5月の2回実現できたことも大きな成果です」

——今年の1月15日に機能強化で合意した新たなイノベーションパートナーシップ(JIIN2.0)を概説してください

アッシャー「企業連携強化に合意して、デジタルヘルス分科会と投資分科会を新設しました。企業にハンズオン支援を行う『JIINハブ』をジェトロ(日本貿易振興機構)のテルアビブ事務所に設置したことは大きな後押しになるでしょう。両国企業の需要と開拓したい分野をより的確に把握することで、中小機構のような商談会を増やしていきます」

——中小機構に求めることは?

アッシャー「商談会をはじめとする企業連携支援に尽力していただきたい。中小機構は連携支援の重要機関です。イスラエルの企業がどんなに小さい企業であっても、日本企業とつなげる能力がとても高い。今回は初めての商談会にもかかわらず大成功でした。多数のイスラエル企業が毎月のようにビジネスミーティングで来日しています。産業分野を問わず、多くの商談会を開いてほしいですね。情報交換の仲介機能としても大いに期待しています」

——日本の中小企業には何を期待しますか?

イゲル「イスラエル企業と連携する可能性を模索するためにも、イスラエルにぜひ来てください。政府の支援を受けた企業の環境や、ビジネスの進め方を見て聞いて感じてほしいのです。今やすべての産業が革新的であるべきです。両国の企業には、事業を成功に導くために文化や風習の違いを超越して共有できることがたくさんあると信じています」