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起業を成功させるには?

テーマ:計画・資金

実務編

2014年3月31日

 筆者は、税理士として多くの起業家にお会いしてきました。その方々を端で見ながら「起業を成功させるにはどうすればいいのか?」について考えたことを紹介します。


○○を選んだ時点で結果は決まってしまう?

 多くの起業家は、自分がやりたいことがあるので起業します。実は、そのやりたいことで成功確率のある程度は決まってしまいます。起業はどなたにも同じ確率で成功する可能性があるのではなく、起業家が選んだ業種によって成功するかどうかの確率がある程度は決まってしまうのです。つまり、業種を選んだ時点で結果は「ある程度」決まってしまうのです。


業種選びが、起業の成功確率に影響する

 それではどのような業種を選べばいいかですが、それはこれから成長する業種です。医療や介護、観光、IT、家事代行サービスなどはこれからも成長が見込まれる業種です。これらの業種を選ぶことで、業界の成長につられて一緒に成長することができます。起業家が多少方向性を間違えた経営判断をしても、市場が広がっていれば間違った経営判断も簡単に吸収されてしまうでしょう。それほどに市場が成長していることはアドバンテージなのです。


 従って、起業の成功を優先するのであれば、業種選びが大切になります。ただし、誤解を招かないよう改めて述べますが、筆者が言いたいことは成長産業で起業すべきということではありません。市場の成長性が起業の成功確率に大きな影響を及ぼすということなのです。当然、成長していないと言われる業種でも成功する起業家はいます。


 ここでちょっと視点を変え、失敗する起業家に共通する事項がありますので典型例を用いながら紹介します。該当する場合は、要注意です。逆に失敗する起業家に共通する事項に該当しないようにすれば、成功確率は確実にあがります。
 失敗する起業家によくあるのが感情的な理由で起業することです。前の職場で上司とケンカをしてしまい、職場に居づらくなったので起業するというような理由です。会社の仕事の仕方が気に入らない、自分の取り分が少ないなど、前の職場での待遇に不満がある場合での起業の場合、失敗する可能性が高いです。なぜ失敗をするのでしょうか?少し考えてみましょう。


 理由は3つあります。1つ目の理由は資金不足です。起業を成功させるには時間がかかります。成功している起業家は準備に余念がありません。資金が必要であればある程度は自己資金で準備しますし、スキルや人脈が必要な業種の場合は、スキルを身につけたり人脈を築いてから起業します。
 ところが感情的な理由から突然起業した起業家の場合、いきなり起業したために資金不足です。資金が不足しているので借入しようとしても、創業融資の審査は自己資金をどのように貯めてきたのかを重視するため、創業融資に申し込んでもよい結果は出ません。準備不足の人は起業家の資質がないと金融機関側は見ているからです。


 2つ目の理由は応援してくれる人が少ないことです。前の職場と同じ業界で起業をする場合、感情的な対立から起業しても、前の職場の人たちは起業を応援してくれないのではないでしょうか。逆に足を引っ張ってくるかもしれません。取引しないようにと取引先に先回りされて嫌がらせをされることもあるでしょう。
 嫌がらせはされなかったとしても、取引先は相手のことをよく見ています。なんで起業したのか?感情的な対立があったからなのだとわかると、ほとんどの取引先は、以前の職場との友好な取引関係を維持するために、わざわざ事を荒げることはしないはずです。つまり起業家が設立した会社は、新たな取引は行ってもらえない可能性が高いのです。 起業は1人で成功するものではありません。周りの応援があって成功するのです。時には前職の会社が一番の取引先となることもあるのです。技術力の高い人や営業力が高い人が起業した場合には、前の職場もその高いスキルを使って引き続き仕事をしてもらいたいため、取引を行う可能性が高いです。ところが、感情的な理由で起業した場合にはその可能性もないでしょう。


 3つ目の理由は認識不足です。起業家として成功する資質と従業員として仕事ができる資質は異なります。自分は仕事ができると思っていたとしてもそれは従業員としての立場での評価にしか過ぎません。与えられた仕事をこなす従業員と事業を作り出す起業家とでは、行う種類の仕事が異なるのです。その点を認識することなく自分の立場でからしか仕事を見ていないと、起業してみたけれど、思っていたのと違ったということで、当初の目論み通りに仕事が進まないのです。形が出来上がった状態での仕事とゼロからイチを作り上げる仕事は違うということです。


感情的な理由で起業する→資金不足、応援してくれる人が少ない、起業家としての認識不足

 いかがでしょうか?感情的な理由で起業した場合にはこの3つの理由でつまずきますが、そうでない理由で起業しても、どれかに該当すればその理由で失敗する可能性が高まります。逆に言うと、これら3つの理由をつぶしていけば、成功する確率を高めることができます。


 まず、資金不足を解消するには、起業する前に準備期間を設けて貯金しておくことで解消できるでしょう。その時間がもったいないと思うのであれば、親族から借入するか投資家を探して資本を集めることも検討していいでしょう。ビジネスモデルが優れていると評価されれば、以前よりは他人から資本を集めやすい環境になっています。


 つぎに応援してくれる人を増やすには、日頃の振る舞いが大切だと思います。今働いている職場の同僚や上司、取引先と対立せず、円満に会社を辞める。家族に対しても起業することで了承を取り付けておく。そうした基本的なことを大切にしておけばいいでしょう。起業を応援してくれる人が多ければ多い程、起業は成功します。


 最後の認識不足については、起業に関する勉強をする、起業家の話を聞くなどにより事業を起こす意味を認識することで解消されるでしょう。できれば仕事をしている段階から、社長や上司の意思決定について、自分ならどうするのか真剣に考えてみるといいでしょう。起業してからは自分でどんどん意思決定する必要があります。時には意思決定のための情報が不足していても意思決定しなければならない状況に遭遇します。イメージトレーニングで鍛えていくと経営者の仕事についての理解も深まります。
 ただし、イメージトレーニングにも限界があります。従業員時代の意思決定のイメージトレーニングでは、会社の資金がなくなっていくという恐怖感が伴っていないからです。それでもトレーニングしないよりはしておいたほうがいいでしょう。


解決策

最後は運

 典型的な失敗事例から成功確率を高める方法について説明してきました。これまでの記述で少し曖昧な表現を使っていたのには理由があります。失敗事例から学んで成功するように準備していたとしても、必ず成功するわけではないからです。最後は、運命が起業の成功を左右します。どれだけ準備してきても、どれだけ画期的な商品を開発しても、どれだけ前職での営業成績が優れていても、事業は失敗する時は失敗をするのです。そして、先程の失敗の3つの理由にすべて該当する起業家でも成功をする人は成功します。それは運命としか言いようのないもので決まるのです。
 それでは今まで筆者が伝えてきたことは意味がないのかというとそうではありません。成功する確率を高めるためには、先程お伝えしたように起業するための事前準備をしておいたほうがいいのです。成功したければ確率を上げる準備はしておくべきでしょう。


 起業が成功したかどうかは起業家自身が決めることです。失敗をしたとあきらめた時点で失敗は確定しますが、あきらめていない場合はまだ失敗ではありません。最後の最後は起業家の「成功したい」という気持ちが大切です。それは怒りのような感情的な気持ちではなく、冷静な気持ちなのです。


「成功したい」という冷静な気持ち

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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