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有能な人材確保のための助成金活用

テーマ:資金調達

基礎編

2018年5月28日

 非正規労働者は正社員に比して雇用が不安定、賃金が安い、能力開発の機会が少ないなどといった格差が生じています。平成27年9月「正社員転換・処遇改善実現本部」の設置、平成28年1月「正社員転換・処遇改善実現プラン」の策定等、キャリアアップ助成金の活用によって、非正規雇用労働者の正社員転換を促進する狙いがあり、また、同一労働同一賃金の実現など非正規雇用労働者の処遇改善を後押しすることが期待されています。
 他方、無期転換ルール(平成24年8月に成立した「改正労働契約法」/平成25年4月1日施行)によって、無期転換申込権が発生する有期契約労働者への対応も必要となってきます。
 少子高齢化による労働力減少が見込まれる中、助成金を積極的に活用することは、有能な人材確保のために有効ではないでしょうか。

~キャリアアップ助成金~

 平成25年度から創設されたこの制度は、有期契約労働者等(契約社員、派遣社員、パートタイマー等)を正規雇用に転換等した場合、職業訓練を行った場合、または処遇改善を行った場合等に支給されるものです。これまで36種類、71メニューあった助成金が平成29年度は16種類の助成金に統廃合されています。
 また、平成29年度から「生産性向上」要件が加わり、目標値(6%)を達成することにより、助成金が割増されます。

(1)支給対象事業主

  1. ●雇用保険適用事業所の事業主であること。
  2. ●適用事業所ごとにキャリアアップ管理者(有期契約労働者等のキャリアアップに取り組む人)を置いていること。
  3. ●事業所ごとに、対象労働者のキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格認定を受けていること。
  4. ●該当するコースに係る対象労働者に対する賃金の支払い状況を確認する書類の整備ができていること。
  5. ●キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んでいること。

(2)支給額

 各コースの概要と支給額です。 ※( )内は生産性要件を満たす場合

①正規雇用等転換コース
 正規雇用等に転換または直接雇用する制度を規定し、雇用期間が原則として通算6ヶ月以上の有期契約労働者等を正規雇用等に転換等した場合

(一人当たりの支給額) 中小企業 大企業
有期→正規 57万円(72万円) 42万7,500円(54万円)
有期→無期 28万5,000円(36万円) 21万3,750円(27万円)
無期→正規 28万5,000円(36万円) 21万3,750円(27万円)

※1年度1事業所当たり15人まで支給。対象労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合、1人当たり47,500円~120,000円が加算されます。

②人材育成コース
 有期契約労働者等に一般職業訓練(Off-JT)または有期実習型訓練(「ジョブ・カード」を活用したOff-JTとOJTを組み合わせた3~6ヶ月の職業訓練)を行った場合

  • Off-JT
    賃金助成・・・1人1時間当たり760円(960円)/大企業475円(600円)
    経費助成・・・訓練時間数に応じた額(一人当たり)
支給対象
となる訓練
企業規模 20時間以上
100時間未満
100時間以上
200時間未満
200時間以上
一般職業訓練
有期実習型訓練
中小企業 10万円 20万円 30万円
大企業 7万円 15万円 20万円
中長期的キャリア
形成訓練
中小企業 15万円 30万円 50万円
大企業 10万円 20万円 30万円
  • OJT
    実施助成・・・1人1時間当たり760円(960円)/大企業665円(840円)

※1年度1事業所当たりの支給限度額は1,000万円

③賃金規程等改定コース

  • すべての有期契約労働者等の基本給の賃金等を2%以上増額改定した場合
中小企業 大企業
1人~3人 95,000円(120,000円) 71,250円(90,000円)
4人~6人 190,000円(240,000円) 142,500円(180,000円)
7人~10人 285,000円(360,000円) 190,000円(240,000円)
11人~100人 (一人当たり)
28,500円(36,000円)
(一人当たり)
19,000円(24,000円)
  • 一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規程等を2%以上増額改定した場合
中小企業 大企業
1人~3人 47,500円(60,000円) 33,250円(42,000円)
4人~6人 95,000円(120,000円) 71,250円(90,000円)
7人~10人 142,500円(180,000円) 95,000円(120,000円)
11人~100人 (一人当たり)
14,250円(18,000円)
(一人当たり)
9,500円(12,000円)

※中小企業において3%以上増額改定した場合に助成金を加算

  • すべての有期契約労働者等 一人当たり14,250円(18,000円)
  • 一部の有期契約労働者  一人当たり7,600円(9,600円)

※「職務評価」(職務の大きさに応じた評価になっているかの現状把握方法)の手法を活用した場合、1事業所当たり19万円(24万円)上乗せされます。
※1年度1事業所当たり100人まで支給。

④健康診断制度コース
 有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合

  • 1事業所当たり38万円(48万円)/大企業285,000円(360,000円)

※1事業所当たり1回のみ支給

⑤賃金規定等共通化コース
 労働協約又は就業規則の定めるところにより、有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合

  • 1事業所当たり57万円(72万円)/大企業427,500円(540,000円)

※1事業所当たり1回のみ支給

⑥諸手当制度共通化コース
 労働協約又は就業規則の定めるところにより、有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した場合

  • 1事業所当たり38万円(48万円)/大企業285,000円(360,000円))

※1事業所当たり1回のみ支給

⑦選択的適用拡大導入時処遇改善コース
 労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施する事業主が、有期労働者等につて、当該措置により新たに被保険者とし、基本給についても増額した場合

  • 基本給の増額割合に応じて
    1人当たり19,000円(24,000円)~95,000円(120,000円)
    (大企業)14,250円(18,000円)~71,250円(90,000円)

※1事業所当たり1回のみ、支給申請人数は30人まで支給。

⑧短時間労働者労働時間延長コース
 有期契約労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長※A、または労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長し、新たに社会保険適用に加え「⑤賃金規定等共通化コース」または「⑦選択的適用拡大導入時処遇改善コース」を実施※Bした場合

  • ※Aの場合
    1人当たり190,000円(240,000万円)/大企業142,500円(180,000円)
  • ※Bの場合、延長した週所定労働時間に応じて
    1人当たり38,000円(48,000円)~152,000円(192,000円)
    (大企業)28,500円(36,000円)~114,000円(144,000円)

※A、Bを合計し、1年度事業所当たり15人まで支給。

(3)注意事項

①次のいずれかに該当する場合はこの助成金は支給されません。

  • 不正受給をしてから3年以内に申請をした事業主、または申請日後、支給決定日までの間に不正受給をした事業主
  • 支給申請した年度の前年度より前の年度の労働保険料を納入していない事業主
  • 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
  • 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業、またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主
  • 暴力団と関わりのある事業主
  • 支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主
  • 不正受給が発覚した場合に行われる事業主名等公表について、同意のない事業主

~人材開発支援助成金~

 平成27年度の企業内人材育成推進助成金、平成28年度のキャリア形成促進助成金から引き継がれた助成金で、正社員のキャリアアップのための助成金です。
 職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練などを計画に沿って実施した場合や人材育成制度を導入し労働者に適用して際に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。

(1)主な支給要件

  1. ①雇用保険の適用事業主であること。
  2. ②労働組合などの意見を聴いて事業内職業能力開発計画およびこれに基づく年間職業能力開発計画を作成し、その計画の内容を労働者に周知していること。
  3. ③職業能力開発推進者を選任していること。
  4. ④年間職業能力開発計画または制度導入適用計画届の提出日の前日から起算して6ヶ月前の日から支給申請書の提出日まで間に、雇用する雇用保険被保険者を事業主都合により離職させていないこと。
  5. ⑤年間職業能力開発計画または制度導入適用計画届の提出日の前日から起算して6ヶ月前の日から支給申請書の提出日まで間に、雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3Aに区分される離職理由によって離職した者が支給申請提出日における被保険者人数の6%以下であること。
  6. ⑥職業訓練などを受けさせる期間中も通常(所定労働時間労働した場合に)支払われている賃金を支払っていること。
  7. ⑦支給対象経費を事業主が全額負担していること。

(2)訓練関連

●特定訓練コース(メニューは以下の7種類)

  • Off-JTによる実施訓練であること
  • 訓練時間が10時間以上であること
  1. ①労働生産性向上訓練
  2. ②若年人材育成向上訓練
  3. ③熟練技能育成・情景訓練
  4. ④グローバル人材育成訓練
  5. ⑤特定分野認定実習併用職業訓練
  6. ⑥認定実習併用職業訓練
  7. ⑦中高年齢者雇用型訓練

●一般訓練コース(特定訓練コース以外の訓練)

  • Off-JTによる実施訓練であること
  • 訓練時間が20時間以上であること
  • セルフ・キャリアドック(定期的なキャリアコンサルティング)を規定すること

※助成額(助成率)は以下の通り ( )内は生産性要件を満たす場合

支給対象となる訓練 賃金助成
(1人1時間当たり)
経費助成 実施助成
(1人1時間当たり)
中小企業 中小以外 中小企業 中小以外 中小企業 中小以外
特定訓練コース Off-JT 760円
(960円)
380円
(480円)
45%
(60%)
30%
(45%)
OJT 665円
(840円)
380円
(480円)
一般訓練コース Off-JT 380円
(480円)
30%
(45%)

※経費助成の限度額(一人当たり)

支給対象となる訓練 企業規模 20時間以上
100時間未満
100時間以上
200時間未満
200時間以上
特定訓練
コース
中小企業
事業主団体等
15万円 30万円 50万円
中小企業以外 10万円 20万円 30万円
一般訓練
コース
中小企業
事業主団体等
7万円 15万円 20万円

(3)制度導入関連

●キャリア形成支援制度導入コース

  • 定期的なセルフ・キャリアドック制度を導入し、実施した場合
  • 教育訓練休暇等制度または教育訓練短時間勤務制度を導入し、実施した場合

●職業能力検定制度導入コース

  • 技能検定に合格した従業員に奨励金を支給する制度を導入し、実施した場合
  • 社内検定制度を導入し、実施した場合
  • 業界検定制度を導入し、当該検定を受験させた場合

※適用人数と適用日数

雇用する被保険者数 最低適用人数
50人以上 5人
40人以上50人未満 4人
30人以上40人未満 3人
20人以上30人未満 2人
20人未満 1人
教育訓練休暇制度導入における適用日数
25日以上
20日以上
15日以上
10日以上
5日以上

※制度導入関連の助成額は以下の通り

支給対象制度 助成額
生産性向上要件達成
キャリア形成支援制度導入コース 475,000円 600,000円
職業能力検定制度導入コース

【受給のための手続】

 受給のためには都道府県労働局又はハローワークへの事前届出が必要となります。
 また、これらの助成金は経済情勢その他の状況等により要件が変更される可能性もあります。受給を検討される際は、必ず管轄の都道府県労働局、ハローワークまで事前に問い合わせ、又は下記ホームページにて、適用条件等の確認をお願いします。

●キャリアアップ助成金
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

●人材開発支援助成金
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000159233.html

解説者

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