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電子帳簿保存法

テーマ:税務

基礎編

2018年6月 7日

1. 電子帳簿保存の概要

 電子帳簿保存法とは、今まで紙で保存しなければならなかった国税関係帳簿および国税関係書類を、電子データによる保存に代えることを認める法律です。電子保存ができるようになることで、保管場所や印刷コストを節約することができ、また帳簿書類を探す時間を短縮することができます。

2. 電子帳簿保存法の歴史

 新しい時代の流れに対応し、納税者の帳簿書類の保存の負担軽減を図るために、「電子帳簿保存法」が平成10年7月に施行されました。これにより、自己が最初から一貫してコンピューターを使用して作成する帳簿・書類については、税務署長の承認を受け、所定の要件を満たすことで、電子記録による保存が認められるようになりました。

 <所定の要件>

  1. ①訂正・削除履歴の確保(帳簿についてのみ)・・・履歴の保存
  2. ②相互関連性の確保(帳簿についてのみ)・・・伝票番号の記録
  3. ③システム関係書類等の備付け・・・システムの仕様書やマニュアル
  4. ④見読可能性の確保・・・ディスプレイに表示でき、速やかに印刷できる状態
  5. ⑤検索機能の確保・・・複数の条件で検索できる状態

 その後、「e-文書通則法」「e-文書整備法」が施行されることに伴い、平成17年4月に電子帳簿保存法が改正されました。これにより、最初から一貫して電子記録であったものの保存に加えて、特に重要な文書(帳簿、決算関係書類、3万円以上の契約書・領収書)以外の書類については、紙の保存に代えてスキャナ保存することができるようになりました。

 <スキャナ保存の要件>

  1. ①解像度200dpi以上・カラー画像によるスキャン
  2. ②一定期間内にスキャン
  3. ③電子署名+タイムスタンプ+バージョン管理
  4. ④帳簿との相互関連性の確保

 さらに平成27年の税制改正により、スキャナ保存要件が一部緩和されました。

  1. ①契約書・領収書が金額に関わらずスキャナ保存の対象になった
  2. ②電子署名が不要になった
  3. ③一部書類につき、「書類の大きさ情報」が不要・「グレースケール」による読取が可能

 また平成28年の税制改正により、スキャナ保存要件がさらに緩和されました。

  1. ①スマートホンなどによる写真読み取りが可能
  2. ②小規模企業者の事務処理要件の緩和

3. 電子帳簿保存法の対象

4. スキャナ保存のタイムスタンプ付与期限

  1. (1)特に速やかに入力(3日以内)・・・書類を作成、受取った本人がスキャンする場合
    書類受領後、3日以内にタイムスタンプを付与。
    スキャンする書類(原本)に本人の署名(氏名の記載のみ)が必要。
    書類の大きさに関する情報が必要。(A4サイズ以下であれば大きさ情報は不要)
  2. (2)速やかに入力(7日以内)・・・書類を作成、受取った本人以外がスキャンする場合
    書類受領後、7日以内にタイムスタンプを付与。
    書類の大きさに関する情報が必要。(A4サイズ以下であっても必要)
  3. (3)業務サイクル後、速やかに入力・・・書類を作成、受取った本人以外がスキャンする場合
    書類を受領し、業務サイクル(最長1ヶ月)経過後、7日以内にタイムスタンプを付与。
    書類の大きさに関する情報が必要。(A4サイズ以下であっても必要)
  4. (4)適時に入力・・・保険契約申込書、ローン申込書など、資金や物の流れに直結しない書類
    期限なし

5. 適正事務処理要件

・データの改ざんを防止するために必要な、内部統制の仕組み

  1. (1)相互牽制
    書類を作成または受領してからタイムスタンプを付与するまでの過程を二人以上で行う体制
  2. (2)定期的な検査
    作業手順とスキャンデータの確認などで、最低でも年1回実施
    この定期的な検査を受けるまでは、原本の書類は廃棄できない
  3. (3)不備が生じた場合の改善体制
    定期検査で判明した不備の原因を特定し、必要に応じて手続き規定の見直しをする体制

※小規模事業者の特例
常時使用する従業員の数が20人以下(主たる事業が商業・サービス業の場合は5人以下)の事業者は、事後の定期的な検査を税理士に委託することができる。
税務代理人が定期的なチェックを行う場合には、相互牽制の要件については不要となる。

6. スキャナ保存要件

(1)帳簿との相互関連性の確保
   書類と帳簿を相互に確認できるようにしておく

(2)検索機能の確保

  1. ①取引年月日その他日付、取引金額、その他主要な記録項目で検索できる
  2. ②日付、金額に関しては、範囲を指定しての検索ができる
  3. ③2以上の任意の項目を組み合わせて検索できる

(3)入力者等の情報確認
   記録事項の入力者、その監督者に関する情報を確認できるようにしておく

(4)バージョン管理
   記録事項について訂正・削除を行った際に、この事実および内容を確認できるようにしておく

7. 電子帳簿保存法の導入

  1. (1)電子化したい書類を決定する(全てを電子化する必要はない)
  2. (2)事務処理規定の策定・・・改ざん等の誘因を制限するもの
    書類の受領等→原本と電子データの確認→原本の廃棄 の過程を決め、スケジュールを作成
  3. (3)適時事務処理規定の策定・・・読取前の改ざん等の不正を防ぐもの
    二人以上の監督体制や、定期的な検査、不備があった場合の改善体制
  4. (4)業務フローの策定・・・適切な入力を確保するためのもの
    書類の発生する場所や、各業務ごとの手順をフロー化
  5. (5)入力機器の選定
  6. (6)見読可能性の確保
  7. (7)対応システムの導入検討

⇒導入の3か月前までに税務署へ申請書を提出

「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」

  • 電子計算機処理システムの概要を記載した書類
  • 電子計算機処理に関する事務手続の概要を明らかにした書類
  • 記載事項を保管するために必要となる書類その他参考となるべき書類

「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」※元帳を会計ソフトで保存する場合

「国税関係書類の電磁的記録等による保存等の承認申請書」※請求書を販売管理ソフトで保存する等

【参考】

解説者

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