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中小企業投資促進税制の上乗せ措置

テーマ:税務

実務編

2014年3月27日

 平成25年10月1日に消費税を5%から8%に引上げることが決まりました。消費税引上げに伴う景気悪化に備えるため、「民間投資活性化等のための税制改正大綱」が同日発表されました。
 前回は生産性向上設備投資減税について紹介しました。今回は、中小企業投資促進税制の上乗せ措置について紹介します。中小企業投資促進税制は従来からある制度ですが、今回の税制改正で、対象となる設備の範囲を限定し、減税額を大きく拡大する措置が採られました。今回の改正の前提となる中小企業投資促進税制の概要を説明すると共に上乗せ措置の対象となる設備の条件について紹介します。


中小企業投資促進税制とは?

 中小企業投資促進税制とは、一定金額以上の投資を行った中小企業に対して行われる設備投資減税です。減税方法として設備投資した事業年度の減価償却費を上乗せする特別償却と設備投資を行った事業年度の法人税額を減税する税額控除の選択制となります。


対象者と減税期間は?

 中小企業投資促進税制の上乗せ措置は、青色申告している資本金1億円以下の中小企業等・個人事業主であれば適用を受けることができます。業種については、適用の対象となる事業が指定されています。ほとんどの業種が対象となりますが、性風俗関連特殊営業やバー、キャバレーなど一部対象外となる業種があります。
 上乗せ措置の適用期間は、平成26年1月20日から平成29年3月31日までに取得して事業の用に供した設備が対象です。中小企業という名称を使っていることからもわかるように大企業は対象となっていません。それが他の設備投資減税と異なっている箇所になります。


対象設備は?

 中小企業投資促進税制の対象となる設備は、下の表の中小企業投資促進税制の対象設備のうち、生産性向上設備投資減税の対象設備である「先端設備」または「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」の要件を満たしている設備です。先端設備となる機械装置のうち「ソフトウエア組込型機械装置(あらかじめプログラムが組み込まれた専用のコンピューターが搭載され、そのコンピューターからの指令に基づいて作動する機械装置)」については、最新モデルに加え、1代前モデルも対象となり、要件が緩和されています。


中小企業投資促進税制対象設備

 簡単に生産性向上設備投資減税の対象設備についておさらいをします。
 先端設備とは、一定の設備のうち、最新モデル要件、生産性向上要件、最低取得価額要件の3要件をすべて満たしたものをいいます。生産ラインやオペレーションの改善に資する設備とは、企業が作成した投資計画における設備投資の効果として、年平均の投資利益率が15%以上(中小企業者等にあっては5%以上)となることが見込まれるものであることにつき、経済産業局の確認を受けたもので、最低取得価額要件を満たしているものをいいます。


 先端設備に該当するかどうかについては工業会等が証明書を発行し、生産ラインやオペレーションの改善に資する設備については経済産業局が確認します。
 生産ラインやオペレーションの改善に資する設備については、税理士または公認会計士が投資計画を確認し、その後経済産業局の確認を受けるという流れのため、設備投資の1カ月以上前に投資計画を作成しておく必要があります。


最低取得価額要件の留意点

 中小企業投資促進税制の上乗せの対象となる設備については、以下の表のように最低取得価額要件が設けられています。


対象設備の取得価額要件

 この中で、生産性向上設備投資減税と異なるのがデジタル複合機の取扱いです。中小企業投資促進税制の上乗せの場合には、デジタル複合機は単体で120万円以上の場合に適用があります。
 一方の生産性向上設備投資減税については、デジタル複合機は単品30万円以上でかつ合計120万円以上という要件になります。また、電子計算機については中小企業投資促進税制の上乗せの場合には、単品30万円以上でかつ合計120万円以上という要件になります。
 中小企業投資促進税制では、単品での最低取得価額要件がありませんので、上乗せ措置の適用を受ける場合のみ、単品30万円という要件を満たす必要があります。


上乗せ措置

 中小企業投資促進税制の上乗せ措置については次の通りとなります。まず、資本金3000万円以下の法人と個人事業主は、特別償却については通常30%の償却率のところが即時償却(取得価額100%を購入時に損金処理)に上乗せになります。税額控除については、通常7%の税額控除が10%の税額控除となります。


 次に資本金3000万円超1億円以下の法人は、特別償却については通常30%の償却率のところが即時償却に上乗せになります。税額控除については、従来の中小企業投資促進税制では認められていませんでした。それが上乗せ措置で税額控除の適用も可能となり、7%の税額控除が適用できるようになりました。


減税方法と手続き

 中小企業投資促進税制の上乗せ措置の減税方法は、即時償却か税額控除の選択制となっています。なお、税額控除についてはその年の法人税額の20%が上限となっています。上限を超えた分については1年間の繰越しが認められています。
 減税を受けるためには、確定申告書に工業会等が発行した最新設備であることを証明する書類を添付するか、利益改善のための設備であることを経済産業局に確認した書類を確定申告書に添付する必要があります。設備投資減税の金額の計算に関する別表の添付も必要となります。


留意点

 中小企業投資促進税制の上乗せ措置の適用を受ける際の留意点が2つあります。
 平成26年1月20日から購入した設備が減税対象となりますが、平成26年1月から同年3月の間に決算期を迎える企業の場合、決算期までに購入して事業の用に供した設備については、減税を受けられるのがその期ではなく、1事業年度ずれて翌期に減税が適用となりますのでご留意下さい。
 平成26年4月1日以降に決算期を迎える企業からは、設備を取得して事業の用に供した事業年度と減税を受ける事業年度は同じ事業年度となります。


 生産性向上設備投資減税と中小企業投資促進税制の両方の要件を満たす設備投資に該当する場合には、両方の減税を受けることができないため、どちらかを選択する必要があります。
 特別償却は、生産性向上設備投資減税が平成28年4月1日から即時償却ではなく50%償却(建物・構築物は25%)と償却率が削減となります、税額控除は当初から中小企業投資促進税制のほうが控除率が多いので、両方の要件を満たす場合は、中小企業投資促進税制の適用を優先すると覚えておきましょう。


即時償却と税額控除の有利不利

 中小企業投資促進税制の上乗せ措置は、即時償却か税額控除のどちらかの選択性となっています。どちらが有利となるのか、簡単に考え方を紹介します。
 即時償却は、減価償却でいつか経費になる金額を先取りすることを意味します。即時償却で購入して使い始めた年に全額経費計上することが魅力ですが、その代わりにその年以降、その設備については、簿価が1円となっていることから経費として計上する減価償却費がなくなります。つまり、即時償却とは、経費を先取りしていることになります。どこかで経費になるものを早めに経費に計上しているだけとも言えます。
 一方で税額控除については、取得価額の○%の税額を減税しますという措置になりますので、その年に納税する法人税の額がある企業であれば、税額控除の適用を受けたほうが有利となります。それでも即時償却を採用する場合もあります。それは投資した資金をすぐに回収したいというような場合です。即時償却で一気に経費計上ができれば、その年の納税額を節税することで、資金を早めに回収することができます。
 回収した資金でまたさらなる投資を行うというような企業の場合には、即時償却の適用もありではないかと思います。また、税額控除は1年の繰越があるといっても、法人税の納税がない場合は控除されませんので納税がしばらく発生しないような企業も即時償却のほうが有利となる可能性があります。


解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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