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消費税の転嫁対策-後編-

テーマ:税務

実務編

2014年2月17日

 消費税が8%への改正が直前に迫ってきました。そろそろ準備を始めようと思われる経営者も多いことでしょう。そこで「消費税の転嫁対策-前編-」に続いて消費税転嫁対策について紹介します。


消費税還元セールの禁止

 消費税が増税される平成26年4月1日以後は消費が冷え込むことが予想されます。そのため、増税後に消費税還元セールを考えている事業者の方が多いと思います。消費税は、価格に転嫁して最終的には消費者に負担をしてもらう税金であることから、消費税の負担を事業者が行うというのは、消費税本来の趣旨とは異なることです。そうならないようにするため、消費税還元セールなどの広告宣伝に一定の規制が入ることとなりました。


 新聞報道等でこの話題を追っていた方ならご存知でしょうが、禁止表現について商売人の知恵を規制が過度に邪魔するものにならないよう二転三転しました。禁止表現の趣旨としては、消費者に消費税の負担について誤認されないようにするとともに、仕入先に対する買いたたき、競合する小売業者の転嫁を阻害することにつながらないようにすることも狙いの1つとなっています。そのため、事業者が消費税に関連するような形での安売りの宣伝や広告を行うことは禁止されています。


 規制の対象となるのは、すべての事業者がセール等で行う表示になります。具体的には、商品や容器、包装、チラシ、電話、ネオン・サイン、インターネットによる広告等、お客さんの気を引くために利用するあらゆる表示が対象となります。広告ということで文章などのように形のあるものが規制対象と思われるかもしれませんが、営業パーソンや電話によるセールストークのような口頭での広告も規制の対象となります。


 具体的には、以下のような消費税分を値引きするなどの宣伝や広告表示が禁止されています。



 表示について違反行為があると認められるときは、消費者庁が速やかにその行為を取りやめることを勧告し、その旨を公表することになっています。規制対象は、大企業だけでなく、中小企業を含むすべての事業者が対象となっていますので、違反とならないよう広告表現には注意が必要です。


 消費税とは関連しない以下のような表示は禁止されていません。



価格表示 総額表示義務に特例

 消費税の価格表示については、総額(税込)表示が定着してきたと思います。ところが、消費税が2段階で増税される期間については、消費税の総額表示について一部緩和される特例ができました。消費税が平成26年4月1日に8%に変更になった時に、総額表示をするために値札をその日に変更し、平成27年10月1日に10%に変更になった時、また値札をその日に変更するという事務負担を軽減させる目的から特例ができました。


 特例ということであくまでも原則は総額表示であることに変更ありません。平成25年10月1日から平成29年3月31日までは総額表示の特例が認められていますので、消費税が増税される日に合わせてあわてて値札を変更する必要はなく、時間をかけてまた総額表示に値札を戻していけばよいことになります。


 総額表示の対象者は、消費者に対して商品やサービスを販売する課税事業者ですので、企業間取引については引き続き総額表示の規制の対象外となります。
 総額表示の対象となっているものは、値札などの価格表示、チラシやパンフレットの価格表示、ポスターや看板などの価格表示、インターネットなどの価格表示などお客さんに対して価格を表示する所が総額表示の規制対象です。


1.特例で認められる表現

 総額表示の特例で平成25年10月1日から平成29年3月31日までは、以下のような価格表示が認められています。



 なお、消費者が、価格が税抜表示であることを明瞭に認識できる方法で行う必要があるため、値札を税抜価格に変更した場合には、値札に価格が税抜きであることを明示する方法のほか、店内における掲示等で当店の値札は税抜表示となっていますといった掲示を行う方法も認められています。


 ただし、店内における掲示等で行う場合には、消費者が誤認しないように店内レジ周辺だけでなく、目につきやすい場所で行う必要があります。カタログやインターネット上でも申込書や申込画面上のみに「価格は税抜き」であると記載するのではなく、消費者が誤認しないようにそれ以外の場所でも価格が税抜表示であることを明示して誤解が生じないようにしておく必要があります。
 税抜き価格と税込み価格を値札に併記することも認められていますが、税込み価格を小さく表示したり、税込み価格を見えにくい色にするようなことは認められていません。


 個別の価格表示について、税込価格が明瞭に表示されているかどうかは、消費者庁が平成25年9月10日に公表した「総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示日防止法の適用除外についての考え方」に基づき、個別に判断されます。


転嫁カルテル

 消費税の転嫁や表示方法について、業界で統一してほしいという要望もあると思います。一部の企業だけが消費税を転嫁し、ライバル企業が消費税を転嫁しないと顧客がライバル企業に流れてしまうため、業界で統一して消費税を転嫁していくことや消費税の表示方法について業界団体が指針を示すというような場合です。
 通常は、複数の企業が話し合って取決めをすること(カルテル)は独占禁止法によって禁止されています。ただし、消費税率引上げに際しては、消費税の転嫁方法や消費税の表示方法についてのカルテルが特別に認められています。カルテルが実施されていてもそれに参加するかどうかは個別の事業者の判断に委ねられています。


 カルテルを行う場合、具体的には事前に公正取引委員会に対し、業界団体等で決めた共同行為の内容等を届け出る必要があります。共同行為が認められる期間は、消費税が8%になる平成26年4月1日から平成29年3月31日までです。その期間における、商品の販売やサービスの提供を対象とするカルテルが対象です。
 転嫁カルテルで認められている共同行為は、事業者がそれぞれ自主的に定めている本体価格に消費税分を上乗せする旨の決定や消費税を上乗せした結果生じる端数価格を切上げ、切捨て、四捨五入のいずれかで処理する旨の決定についてです。
 また、消費税についての表示の方法の決定(例えば、消費税込価格と消費税額とを各社とも並べて表示する等)に係る共同行為も認められています。


 消費税引き上げ後の税抜価格や税込価格を統一する旨の決定(例えばA商品を各社税込108円に統一するなど)や消費税率の引き上げ分と異なる額(率)を転嫁する旨の決定は共同行為としては認められません。
 転嫁カルテルについては、共同行為の参加者(事業者団体の場合は構成事業者)の3分の2 以上が中小事業者であることなど実施できる者に制限が設けられております。
 表示カルテルについては、すべての事業者・事業者団体に認められています。

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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