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消費税の転嫁対策-前編-

テーマ:税務

実務編

2014年2月17日

 消費税が8%への改正が直前に迫ってきました。そろそろ準備を始めようと思われる経営者も多いことでしょう。そこで「そろそろ確認したい消費税の経過措置」に続いて消費税転嫁対策について紹介します。


 消費税は、事業者にとっては預り金です。消費税率が5%から8%に、8%から10%に2段階で上がった時、適正に価格に転嫁できない場合には、増税分の5%を本来負担すべきでない事業者が負担する必要が生じてしまいます。
 そこで消費税率の適正な転嫁を促すため、国はいくつかの転嫁対策を設けました。消費税を価格に転嫁することは消費者からみれば値上げになるため、事業者としては判断が難しいところですが、さまざまな商品が一斉に値上げされる時期でもあるため、この時期に実施したほうが消費税の価格転嫁がしやすいと思います。


消費税の転嫁拒否対策

 消費税増税分の価格を変えることが難しいのは、取引には相手があるからです。平成26年4月1日から納品をする分について消費税を5%から8%に変更させていただきますと断ったとしても、素直に取引先に受け入れてもらえない場合もあるでしょう。
 消費税の転嫁ができない場合には、仕入先が消費税増税分を負担することになり、本来負担をすべき消費者に消費税が転嫁されないような状態になってしまいます。そこで買い手による消費税の転嫁拒否等を禁止する「消費税転嫁対策特別措置法」がスタートしています。消費税を転嫁することについて、問題行為のある特定事業者(買い手)に対する調査や、中小企業等のための相談窓口の設置が平成25年10月1日からスタートしています。転嫁対策は、消費税が10%になるまでの平成29年3月31日まで続きます。


 具体的には、次の2つの事業者間の取引が対象となっています。


 (1)大規模小売事業者(売上高100億以上または店舗面積3000平方メートル以上、東京都特別区および政令指定都市の場合)に対して継続的に商品や役務を供給する事業者


 継続的に商品や役務を供給する事業者については、資本金等の大小は関係ありません。この取引については、消費税転嫁対策特別措置法によって消費税の転嫁拒否等の行為に対する取締りが行われます。
 大手スーパーやコンビニに商品や役務を提供している事業者が、納品先から消費税の転嫁を拒否されたような場合に該当します。


 (2)大規模小売事業者以外の法人である事業者に対して、継続的に商品や役務を供給する事業者(資本金の額等が3億円以下の事業者、個人事業者、人格のない社団等)


 こちらは買い手側に売上高や店舗面積の要件がないため、中小企業でも転嫁拒否する側に該当する場合がありますので注意が必要です。中小企業でも売り先の消費税転嫁を拒否することで、(2)の取引に該当する場合は、消費税転嫁対策特別措置法によって消費税の転嫁拒否等の行為に対する取締が行われます。



1.禁止行為

 具体的にどのような行為が禁止対象となるのでしょうか?それは、特定供給事業者(売り手)に対する消費税増税転嫁分の減額や買いたたき、報復行為等が禁止されます。


 例えば、消費税分を支払わない、また、売り手と本体価格に消費税分を上乗せする契約をしていたのに、支払段階で消費税分を減額して支払うというような行為は問題となります。
 一方、通常の商慣習で取引される商品に問題があった場合、納期が遅れた場合などは売り手に責任があるため、相当と認められる金額の範囲内で取引価格を下げる、または大量発注に伴う価格の減額の場合は消費税転嫁拒否ではないため、禁止行為とはなりません。
 また、消費税の上乗せに応じる代わりに売り手に対して協賛金を要求したり、消費税の上乗せに応じる代わりに売り手の従業員やスタッフの派遣を要求するような場合も問題のある行為として禁止されています。


 消費税の増税に伴い新たな価格での取引交渉を行う場合もあるかと思います。そのような場合、売り手が本体価格(税抜価格)で取引交渉を行おうとしても、買い手が税込金額で取引交渉を行うことを強要する場合は問題行為となります。
 例えば、本体価格と消費税額を別々に記載した見積書を拒否し、消費税額を加えた総額の税込金額のみを記載した見積書を提出させて、増税前の税込金額と増税後の税込金額の比較で価格交渉を行うことは禁止行為となります。価格の交渉はあくまでも税抜金額での交渉となります。


 消費税転嫁について問題のある取引があったことを公正取引委員会に知らせたことを理由に取引を停止するなどの報復行為についても禁止されています。政府側は、国等に通報した方々の保護等に万全の措置を講じるとともに、報復行為に該当する行為があると認められる場合、厳正に対処し、消費税転嫁対策特別措置法の規定に基づき勧告および社名の公表といった措置を講じることになっています。


旅客運賃の経過措置

2.違反行為をした場合はどうなるの?

 消費税の転嫁拒否等はどのように防止されるのでしょうか?公正取引委員会、中小企業庁、主務大臣による検査・指導等が行われます。売り手に対する消費税の転嫁拒否等は、政府がきちんと是正することになっています。上述の禁止事項に違反している事業者に対しては、次の指針に基づいた指導が行われます。


(1)転嫁を拒否した消費税額分を支払うこと
(2)遡及的に消費税率引上げ分を対価に反映させること
(3)転嫁と引き換えに購入させた商品を引き取り、商品の代金を返還すること
(4)特定供給事業者(売り手)が従業員を派遣したことにより受けた利益を返還すること
(5)今後、転嫁拒否等の行為を繰り返さないこと


 転嫁拒否等の被害を調査するために、転嫁対策調査官が新たに配置され監視・検査体制の強化に取り組んでいます。


3.転嫁拒否等にあった場合は?

特定供給事業者が消費税の転嫁拒否等にあった場合には、まずは以下の2つの相談窓口に相談をします。
 内閣府消費税価格転嫁等総合相談センター
 公正取引委員会 消費税転嫁対策調査室


 消費税転嫁対策特別措置法の解釈の相談については、公正取引委員会、消費者庁または財務省で相談に応じてもらえます。
 窓口で相談を受けたものについては、公正取引委員会、主務大臣、中小企業庁長官が対象となる事業者に対して報告命令や立入検査を行います。その後違反行為を防止するために、特定事業者(買い手)に対して指導や助言を行います。
 違反行為があると認める場合は、特定事業者(買い手)に対して、速やかに消費税の適正な転嫁に応ずること等を勧告し、その旨を公表します。
 消費税転嫁拒否については、中小企業は検査対象となる買い手にもなりますので、中小企業自身が消費税の転嫁拒否をして検査・指導等の対象とならないように注意しましょう。


佐藤税理士事務所/佐藤昭一>


消費税の転嫁対策-後編-

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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