本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  こんなときどうする 中小企業の税金と会計

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

雇用を増やしたい法人への税の特典

テーマ:税務

実務編

2014年2月10日

 法人税では、社会政策的な目的からある条件を満たした会社に対して税金面での考慮があります。いわゆる政策的減税と言われるものです。政策的減税とは、国が、ある社会的または経済的な問題を解決したいと思った時、企業側にその協力を求めた見返りとして行われるものです。


 社会的な問題は毎年変化しているため、毎年の税制改正で期間限定の特例として、政策的減税措置が発表されます。最近ですと消費税増税に対する景気悪化を軽減させるため、経済を活性化させる投資を行った企業に対して政策的減税という特典を付与しています。


 この政策的減税ですが、大きな1つの制度的問題があります。それは、減税は納付する予定の法人税額から控除することです。つまり、赤字で納付する予定の法人税額がない会社の場合、せっかく政策投資減税の条件を満たしていても、特典である減税を受けることができないのです。
 この点が政策的減税の弱点で、補助金や助成金との大きな違いです。補助金や助成金は、法人税の納税がなくても、条件を満たしていれば交付を受けることができます。減税枠を翌年に繰越できれば、少しは緩和されてくると思いますが、繰越できるものと繰越できないものがあり、今回紹介する雇用促進税制は繰越できない制度となります。


雇用問題を解決した企業とは

 雇用促進税制は、雇用情勢が依然として厳しい状況にある中、雇用を増やすことに協力してくれた会社に対して、法人税額から増加した雇用者の数×40万円(平成25年3月31日以前に開始した事業年度については20万円)を控除するという制度になります。


 減税を受けるために雇用を増やす企業はないと思いますが、成長企業では従業員が増えていくと思いますので、増員に合わせて上手く雇用促進税制を使うことで手元キャッシュを増やすことができます。


 雇用促進税制の適用を受けるためには、まずは雇用を増やした企業に該当する必要があります。雇用を増やした企業とは次の3つの条件を満たした企業です。


(1)その法人の基準雇用者数が5人以上(中小企業者等の場合は2人以上)であること
(2)その法人の基準雇用割合が10%以上であること
(3)その法人の給与等支給額がその法人の比較給与等支給額以上であること


 この3つの条件を満たした企業は、雇用を増やした企業として雇用促進税制を適用することができます。条件の中に出てきた基準雇用者数とは、簡単に言うと1年間で増やした雇用の数のことです。中小企業は1年前に比べて雇用者を2人以上増やしていれば(1)の条件を満たします。
 基準雇用割合とは、増加した雇用者の数を前年度の雇用者の数で割って求めた割合です。前年度の雇用者から10%以上増えている必要があります。


 雇用者数の少ない(20名以下)中小企業の場合には、2人以上の雇用を増やせば(1)と(2)の条件を満たします。雇用者が比較的多い(21名以上)中小企業の場合には、前年の10%以上の雇用者を増やさないと(1)と(2)の条件を満たさないことになります。


 給与等支給額とは、その事業年度に損金に算入された給与で、出向で他社から支払を受ける金額がある場合にはその金額を除いた金額となります。役員は雇用者でないことから、役員に支払った給与は除かれます。
 比較給与等支給額とは、前事業年度の損金の額に算入された給与に、前事業年度の損金の額に算入された給与に基準雇用者割合を乗じて計算した金額の30%相当額を足した金額となります。
 基準雇用者割合とは、1年間で雇用者が増加した割合になります。期末直前に急に雇用者を増やした場合には(1)と(2)の条件を満たしていたとしても、(3)の条件を満たさない可能性があります。


どのような場合に雇用を増やした企業となるのか?

適用の対象となるのは?

 雇用促進税制の対象となる法人は、青色申告書を提出する法人で、労働者が雇用される事業を行っている法人になります。ただし、風俗営業または性風俗関連特殊営業に該当する法人はこの制度の適用を受けることができません。


適用される期間は?

 平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度で適用されます。ただし、合併、分割または現物出資による設立以外の設立事業年度および解散(合併による解散を除きます)中の事業年度については適用を受けることができません。

控除される特典の金額は?

 税額控除限度額は、40万円にその法人の増加した雇用者の数を乗じて計算した金額となります。平成25年3月31日以前に開始した事業年度の場合は40万円が20万円になります。


 税額控除限度額は、その事業年度の法人税額の10%(中小企業者等の場合は20%)が上限となりますので、雇用者の増加数が多くても、中小企業の場合は法人税額の20%までしか控除されません。控除できなかった部分は翌年に控除枠を繰越すこともできません。


控除される税額の計算方法

雇用促進税制の適用の注意点

 雇用促進税制の適用を受ける場合には、会社が雇用促進計画をたててハローワークにその計画書を事業年度開始から2カ月以内に提出しなければなりません。雇用促進計画のフォーマットは公開されていますので記載は難しくないと思います。計画はあくまでも計画なので、実際に雇用が増えなくても計画未達のペナルティーはありません。雇用が少しでも増えそうな場合には、雇用促進計画をあらかじめ提出しておくといいと思います。


 ハローワークでは、事業年度が終わった段階で雇用促進計画が達成されたかどうか確認し、達成状況を確認した書類を発行します。会社はその確認書類のコピーと控除を受ける金額とその金額の計算に関する明細書を法人税申告書に添付する必要があります。


 事業年度開始から2カ月以内に雇用促進計画を提出していない場合には、雇用促進税制の(1)-(3)の条件を満たしていても適用を受けることができませんのでご注意下さい。


 また、適用を受ける事業年度とその前の事業年度に、会社の都合による解雇によって離職した従業員がいる場合にも適用を受けることができません。雇用を促進した法人への特典なので、自ら雇用を減らした企業の場合には、適用を受けさせないように制度設計したのだと思います。


雇用促進税制の注意点

雇用促進税制の使い勝手は?

 最低でも2人以上の雇用を増やさなければならないため、ハードルはかなり高い減税制度だと思います。雇用を増やして、しかも利益を出さなければいけません。せっかく雇用を増やした法人でも、人の採用が先行投資となってその事業年度が赤字となってしまったら、適用はありません。
 雇用をたくさん増やして何とか黒字化したとしても、法人税額の20%(中小企業者の場合)が上限となるため、雇用増加数×40万円をフルに受けるのは難しいです。もう少し適用のハードルを下げたほうが、政策効果が出るのではないかと思います。雇用も増やして利益も大きい成長過程の企業にとっては、有効に使いたい制度になります。


佐藤税理士事務所/佐藤昭一>

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

このページの先頭へ

このページの先頭へ