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適格組織再編成と非適格組織再編成

テーマ:税務

基礎編

2010年7月 2日

 現在では、市場のグローバル化による国際競争あるいは企業再生等の組織構造改革に対応するため、合併や分割といった組織を再編成することが少なくありません。その場合、組織再編法制の不整備や、処理が難解かつ複雑であったため、組織再編が活発に行われていなかった時期もありますが、法体系が整備され、それに伴い組織再編税制も整備されたので今では多くの企業が状況変化に応じて柔軟に組織を組み替えることで経済環境の変化に積極的に対応しています。
 そこで、ここでは組織再編税制について、基本的な考え方を中心に説明していきます。


1.組織再編税制の基本的な考え方

(1)適格組織再編について
 大きく分けると、以下の2種類に分けられる。


    グループの中で事業を編成するグループ内企業組織再編 競合企業同士が事業を編成する共同事業を行うための組織再編

(2)資産・負債の移転があった場合
 企業が合併、分割等を行うことにより、移転する資産・負債の評価、課税関係は以下のようになります。


【原則(非適格)】


1)処理
 資産・負債の評価は時価で行い、譲渡損益を認識し課税の対象となります。


2)考え方
 資産・負債が移転するということは、通常移転前後で当該資産・負債を支配している者は異なるため、資産・負債の売買取引と同様に考えられることから、移転の際に清算(売却)していると考えられます。


【特例(適格)】


1)処理
 一定の要件を満たした場合、資産・負債の評価は帳簿価額のままであり、時価との差額である譲渡損益については繰り延べられます。


2)考え方
 資産・負債の移転前後で、当該資産・負債の支配関係が変わらないような場合(経済的実質に変更がない場合)には、所有が継続しているため、課税を繰り延べるものと考えられます。


*一定の要件:適格に該当するための要件に関しては、合併、分割など各組織再編の形式により異なりますので、下の表のようにケースごとに確認が必要となります。


適格要件の簡易表
グループ内企業組織再編 共同事業を行うための
組織再編
支配関係100% 支配関係
50%超100%未満
(適格)

合併

分割

現物出資
株式以外の資産の交付がない 同左
組織再編後も支配関係が継続する見込み 株式等の継続保有
主要な資産・負債の引継ぎ 同左
従業員の引継ぎ(80%以上) 同左
事業の継続 事業の関連性
規模の割合又は役員引継ぎ
(適格)

事後設立
設立時から100%の株式保有
100%の支配関係が継続する見込み
資産等の譲渡対価が被事後設立法人の資本等の金額とほぼ同額
資産等の移転が設立から6ヶ月以内に実行

表の要件に当てはまらない場合にはすべて「非適格」に該当します。


【具体例】資産の移転(適格・非適格の処理)


2.株主における課税関係

(1)旧株を引き渡す際に発生する譲渡損益


    非適格に該当する場合:譲渡損益を認識する(課税)
     みなし配当が生じる場合には、その額を差し引いた金額を株式の譲渡対価として譲渡損益を計算します。 適格に該当する場合:譲渡損益の課税の繰り延べ(非課税)

(2)みなし配当

    非適格に該当する場合:みなし配当あり
     交付を受けた株式等の価額がこれに対応する資本金等を超える場合、その超えた額がみなし配当として取り扱われます。 適格に該当する場合:みなし配当なし
     資産等が帳簿価額により引き継がれ、利益積立金についても引き継がれることになりますから、株主に対して配当があるとみなされる部分はないので課税されません。

    3.注意・確認事項

    (1)繰越欠損金の引継制限の確認
     合併や分割により繰越欠損金を引き継ぐケースがありますが、繰越欠損金を利用し租税回避を目的とした合併、分割を防止するため、繰越欠損金を引き継ぐためには一定の要件が存在しますので確認が必要となります。
     要件としては、「100%子会社に実施しているか等」があります。「組織再編と繰越欠損金の引継」を参照ください。
     (*DES等を行う場合には、繰越欠損金の使用制限も注意が必要です)


    (2)非適格の場合に生じる、株主のみなし配当
     みなし配当が生じる場合には、同時に源泉徴収も生じることとなりますので注意が必要です。


    (3)役員の退職給与
     合併の際に被合併法人の役員に対する退職給与を支給する場合には、一定の要件を満たすことにより、損金算入が認められます。
     要件としては、合併承認総会において確定されない場合に、退職給与としての金額を合理的に計算し、合併の日の前日の属する事業年度において、未払金として損金経理すること、があります。


    組織再編を行う上で適格・非適格の判断を誤ると、多額の損益が発生してしまうことが想定されますので、税理士等の専門家に十分な確認、相談が必要と考えられます。


解説者

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