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不正会計の基礎知識と予防のポイント

テーマ:会計

実務編

2015年12月11日

  数年に1度のペースで不正会計の話題が世間を賑わせているように思います。不正会計の話題が熱い時に、中小企業の経営者が役員や部下の不正会計を未然に防ぐためにはどうしたら良いのかご紹介します。


 本稿でいう不正会計とは、会計帳簿等を操作して利益を実際より多く見せることとします。不正会計に似ているものに、横領や着服がありますが、範囲が広がってしまうため、会計処理の部分だけに限定をして説明します。


起きやすい不正会計とは


 不正会計は大きく分けて3種類あります。
 まずは、(1)売上の架空計上や在庫の過大計上などに代表される資産を水増しする方法です。次に、(2)仕入や経費の計上を翌期に回したりする負債を隠す方法です。
 そして最近増えてきているのは、(3)関係会社間で売上や仕入を回し合う循環取引を利用した不正会計です。


不正会計の種類

 循環取引を具体例で説明をします。下の図のように、まずはA社とB社との間で300万の売上があったように仮想します。支払がないと架空売上となるため支払もB社からA社に行います。
 次にB社は、C社に310万で同じ商品を販売し、C社からB社に支払が行われます。
 最後にC社からA社に320万で同じ商品を販売し、A社はC社に320万の支払を行います。
 この循環取引に際して、A社からB社に販売をした時点で決算を迎えれば、A社は300万の売上を計上したことになります。売上を先行して計上することで、会社の利益を多く見せることができるのです。


「循環取引」の例


「循環取引」の例

 ほとんどの不正会計が上述の3種類のどれかに該当しているはずです。経営者としては、まずは不正会計が3種類あるということを頭に入れて下さい。


どんな時に不正会計は起きるのか

 不正会計はどのような時に行われることが多いのでしょうか?不正会計を行うことで、利益を実際より多く見せることが可能です。利益を実際より多く見せたい時が、不正会計を行おうというきっかけとなります。


 利益を実際より多く見せたい時で典型的なのが、業績が悪化した時です。銀行や投資家、取引先や監督官庁など外部に対して会社の経営状態を報告する必要がある会社の場合、会社の業績が悪化したことはなるべく見せたくないものです。特に外部からのプレッシャーが強い時は、会社の業績が悪化したことを知られたくないと思い、不正会計を行うきっかけとなってしまうようです。


 また、業績悪化時ではなくても、業績が当初の目標値に達していないような時も不正会計が行われやすい環境にあります。投資家に対して、描いた成長ビジョンに実際の業績が達していないような時も不正会計を行おうと思ってしまうきっかけになります。


不正会計を未然に防止するための留意点

 中小企業の経営者が、不正会計を未然に防ぐ方法はあるのでしょうか?全ての取引を経営者が見て回ることができればいいのですが、実際にはそれは不可能だと思います。経営者の立場から、不正会計を防ぐ方法を考えてみました。


 まずは、会社の業績を悪化させないことです。不正会計が行われるのは会社の業績悪化時です。会社の業績さえ良ければ、不正を行おうという気さえおきません。世間を騒がしている不正会計を行った会社は、会社の業績が悪化したことがきっかけと報道されています。会社の業績を悪化させないように経営をすることが、まずは大事なのです。


 また、長期間同じ人に同じ仕事を任せないことも大事です。中小企業の場合には、人員に限りがあるので、難しいかとは思いますが、その人しかわからない仕事があるとそこが不正会計のきっかけになることもあります。会社の中に経営者から遠い存在を作らないようにすることも大切です。経営者が一度も来ない支社などは、経営者の目が行き届いていないため、不正会計が行われやすい場所になります。

 さらに人も重要です。経営者は、少なくとも各部門を代表する人の人柄を見ておく必要があるでしょう。誠実な人柄なのか、見栄を張ってしまう人柄なのかを見極めます。見栄を張ってしまう人柄の場合は、業績をよく見せようと思って不正会計を行う確率が誠実な人柄よりは高いと思います。仕事ができる人も仕事ができない人よりは、不正会計を行う確率が高いでしょう。仕事ができる人は、社内の評価を保つため、自身の保身のために、不正会計を行うことが考えられます。


不正会計の未然防止と発見のために

不正会計を発見するための留意点

 最後にテクニカルな話となりますが、不正会計を発見する方法について紹介をしたいと思います。
 不正会計は、会計帳簿等を操作して、利益を実際より多く見せることです。実際より多く見せるために、つじつまの合わないような会計処理を行っていることが多いのです。


 例えば、製造業の会社が売上1000万円の架空計上をしたケースで考えてみます。売上1000万円を架空計上して、利益を1000万円増やすという不正会計を行いました。ところが、この不正会計はすぐに見つかってしまいました。それはなぜでしょうか?


 製造業は物を作って販売をします。売上1000万円が計上されている時には、製造した物の原価も計上されているはずです。ところが、1000万円の売上は架空売上のため、原価がないので計上されていなかったのです。
 原価が計上されていないと、その月だけ粗利益率が大きくなります。粗利益率が大きくなった原因を探していると、売上1000万円に対する原価が計上されていないことに気づき、処理がおかしいことが発覚しました。

 このように、不正会計の処理は決算書のどこかに傷跡が残るものです。財務分析の手法を使って、会社の数字を分析することで不正かどうかはともかく、会計処理でおかしな所があるのではないか?と気づくことができます。
 他にもキャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローと損益計算書の営業利益の差を比較することで不正会計が行われているのではないか?と気づくことができます。差が大きければ、架空の売上計上や在庫の過大計上が行われている可能性があります。


 実際には経営者が単独で不正会計を発見することは、難しいかも知れません。不正会計を行う側に会計の知識があると、かなり手の込んだ手法を使われることがあるからです。管理部門は、不正に気づいていることもあるので、管理部門と密接に連携をとることも大切だと思います。


解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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